見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

ブラジルの豊かな食

2007-12-27 10:55:15 | 南米
ブラジルは農産物輸出国だけあり、概して食は豊かだ。
毛布やダンボールに包まって路上で眠る人がいる一方で、厚くジューシーな牛肉や野菜食べ放題の焼肉店(シュラスカリア)はいつも人で溢れ返っている。

■基本の日常食

基本は、ご飯と煮豆(feijao/フェイジョン)。カフェテリアのランチやビュッフェスタイルのレストランでは、必ず登場する。パンタナールのロッジの夕食でも、毎日白いご飯とフェイジョンにメインの肉料理だった。白米の種類は多様。日本人宿「ペンションサウダージ」のご主人ゴウさんは、香りの強い米をバターとニンニクを加えて炊いていた。


日本在住の日系3世のマリアさんは「日本の『ご飯と味噌汁とおかず』が、ブラジルの食卓の『ご飯とフェイジョン(煮豆)と肉とおかず』かな」と説明してくれた。
フェイジョンは、玉ねぎの微塵切りやニンニクなどと一緒によく煮込み、さっぱりとした所味で仕上げる。フェイジョンに使う豆は様々だが、日本の小豆によく似た黒紫色の豆をよく見た。私は豆類が大好きなので、この基本食は嬉しい。

<牛肉シチューランチは500円>

塩出しした塩漬け肉を豆で煮込んだものが、代表的なブラジル料理のひとつフェイジョアーダ(feijoada)。ずっと昔、県庁の担当の人たちと一緒に国際理解イベント「各国料理講習会」を開いたときに、マリアさんが作ってくれたものを思い出した。あの時は、「塩漬け肉」を手に入れるのに苦労した。塩漬け肉の存在もその時に初めて知ったのだが、その味を現地ブラジルで食べることができて感慨深い。あの時の県職員の感動的な奮闘ぶりを思い出して懐かしくなった。
フェイジョアーダは、リスボン(リスボン)の食堂にもあったが、元祖はポルトガル料理なのだろうか。ポルトガルにも塩漬け肉と塩漬けタラを使った料理がたくさんある。

■ファストフード

ポップコーン、チェロス、サンドウィッチ・・・街角の歩道で売られている屋台料理は粉製品が多い。他の国であまり見かけなかった料理が、タピオカ粉を使ったピザ。粉のままフライパンに広げチーズやハムを乗せて焼く。粉に火が通ると、粉は透き通って粘りが出て、もちもちした食感がなんとも言えず美味しい。1枚(60円)で小腹も気持ちも満たされる。



日本のベーカリーでも見るようになった、「ポンデケージョ(pao de queijo)は軽食にぴったり。チーズ(queijo)入りパン(pao)という名称そのままのもっちりしたチーズパンは、カフェやファーストフード店に必ず置いている定番パン。ピンポン大から野球ボール大まで大きさも値段も様々だが、私は大好物になった。




■焼けた肉の塊を目の前で削ぎ切りする「シュハスカリア」

「シュラスコ」という魅力的な肉料理の名称は、もう四半世紀も前の大学生の時に、東京西荻窪の飲み屋で知った。粗塩と黒胡椒を擦り付けた拳大の豚肉の塊を、オーブンの中でじっくり焼き、目の前で薄く削ぎ切りしてくれたことが強烈な印象で残っている。
それが、ブラジル料理だと知ったのはここに来てから。
日本人宿のゴウさんが、シュラスコ専門店「シュハスカリア(churrascaria)」の建ち並ぶ郊外へ、同宿者を案内してくれたのだ。シュラスコは、ここでは「シュハスコ」と聞こえる。ポルトガル語では「r」を発音しないことが多いらしい。



シュハスカリアは、賑やかで華やかな食の戦場、というイメージだった。
30種類ほどのサラダ、ピクルス、パスタ類が食べ放題。テーブルに座るとすぐに、フロアーを忙しく歩き回る「焼肉担当者」たちが次々とやってくる。肉の部位や種類を説明してくれるのだが、ポルトガル語なのでわからず残念。美味しそうな肉がやってくると、とにかく食べてみる。一抱えもある焼けた肉の塊を長い鉄の串に刺して、担当者は笑顔でテーブルを回る。周囲の焼けた部分を客の目の前でそぎ落とし終わると、厨房に戻って再び表面を焼くという作業の繰り返し。回ってくる肉の種類は、牛肉を中心に鶏肉、ソーセージなど様々。



客は、目の前に差し出された肉の種類と焼き具合を吟味し、「この部分を切って」などと指示して切り落としてもらう。担当者も、冷めないうちに美味しいところを客に賞味してもらいたいので、手早くテーブルを周り切り落とす作業で大忙しだ。
私は普段あまり肉を食べない方なのだが、芳ばしい香りを放つ大きな肉を目の前に、いくつか削ぎ切りしてもらった。が、肉の味を噛み締めない内に、別の肉の塊が差し出される。徐々にせわしさ追い立てられるような気持ちになる。

「この肉はどこの部分でしょうねえ。」などとゴウさんやマサトさんと話そうとすると、「○○○?」と目の前に魅力的な焼き具合の肉の塊が現れる。
欲が出て、つい「じゃあ、ここをほんの少し」などとお願いするので、対話が進まない。結果的にもくもく食べ続ける。



「もういいですよね」とゴウさん。テーブルの上にあった「はい」「いいえ」の小さな回転板を「いいえ」に回転させた。「はい」のうちは、これでもかと担当者が回ってくるのだ。でも、・・・「いいえ」にしても結局、担当者は回ってきた。目が合うといけない。彼らは、「『いいえ』でも、ちょっと食べたくなったのだな」と深読みするのだろうか、笑顔でやってくるのだった。



■甘党の多いブラジル人

ブラジルのカウンターカフェでコーヒーを注文するとたっぷり甘いコーヒーが出てくることがある。生絞りのジュースも、注意しないと甘味を入れて出すことも少なくない。「甘味を入れますか?」と聞いてくれる人もいるが、とにかく甘党が多いようだ。

<ボニートYHの朝食>

ユースホステルの朝食には必ず、甘い自家製ケーキがついていた。そうは言っても、健康に気を使う人たちが多いのだろう。カロリーゼロの人工甘味料が、どこの飲食店でも常備されていた。試しに甘味料をコーヒーに入れてみたところ、一滴で砂糖スプーン2杯分以上の甘さになった。



■ブラジルコーヒー

苦味走ったブラジルコーヒーは美味しい。
ブラジルでは、思い切り濃いコーヒーをちょっとだけ飲むエスプレッソの飲み方が主流だ。私は日本のコーヒーも倍に薄めて飲むのが好きなので、この濃さにはついていけない。



定食屋で、自由に飲めるコーヒーが置いてあったが、置かれていたカップは、いつもの小さなプラスチックカップ。ほんの少しだけ入れて熱湯で薄めようと思ったら、隣に置いてあるポットはお湯ではなく、極甘のコーヒーだった。





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