見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

居心地のいいガウディの空間

2007-10-12 17:37:11 | スペイン
サグラダ・ファミリアに見たアントニ・ガウディ(Antoni Gaudi1852-1926)の意匠に惹かれ、バルセロナ市内の彼の作品を探し歩いた。「建築家の宿命は、依頼があってはじめて創作し得ること」とどこかで読んだ。確かに創作の機会は他者の意思に左右されるという意味では、「運」がモノを言う芸術分野なのかもしれない。
バルセロナの丘一面を占める不思議な形態の公園「グエル公園」は、ガウディがそのイメージを惜しむことなく発揮し、自然をモチーフが各所にちりばめられた遊び心に満ちた市民の憩いの公園である。ガウディにその才能を発揮する機会を与えた事業家グエル氏は、ガウディのみならず、多くの芸術家のスポンサーとしてその資産を惜しみなく放出した人物であるという。

彼の建築デザインには、放物線アーチが多く用いられ、自然界の木々、花等の植物、爬虫類、魚介類、哺乳類等の動物など、具体的かつ時にアニメチックな形態のモチーフで人々を和ませてくれる。


↑実業家の依頼による邸宅「カサ・ミラ(Casa Mila 1906~1910)」。波打つ曲線のファサード。地中海の巨石を思わせる造形。内部や屋根に破砕タイルや植物のモチーフが満載。サグラダ・ファミリアに使われているモチーフも見える


↑ グエル公園(Parque Guell 1900~1914)の遊歩道。放物線アーチを用い、斜めに柱が組まれている。バスカーズたちが思い思いの演奏を楽しんでいる。


↑ 実業家の邸宅「カサ・バトリョ(Casa Batllo 1901~1906)」の正面。地上6階建。海をイメージした内部空間は圧巻。外観を観るだけでもその特異なデザインに圧倒される。


↑グエル公園の広場を取り囲む破砕タイル張りのベンチ。裸の人を座らせて型をとったというだけあり、背もたれ部分が実にぴったりと体にフィットして座り心地がいい。この広場からバルセロナ市内と海岸線を見渡すことができる。


↑カサ・バトリョの窓手すりは、仮面のように見える。


↑広いグエル公園の上部遊歩道は、石をふんだんに用いた野外装飾で飾られ、至るところに腰を下ろすベンチや木陰(岩陰)が工夫されている。


↑グエル公園広場から公園入り口に建つ案内所の建物の屋根を臨む。お伽噺に出てきそうな夢のある家が並ぶ。


↑グエル公園入り口で出迎えてくれる破砕タイル張りのトカゲは観光客の人気者。ガウディの建築物には爬虫類や魚介類の姿も目立つ


↑トカゲが張り付くサグラダ・ファミリア教会の壁
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