見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

スペインの多文化性 「バレンシアの日」の風景

2007-10-16 01:52:01 | スペイン
スペインに移住したいという日本人は少なくないという。魅力は、太陽の光、温暖な気候、温厚な人柄、海鮮や米食などの豊かな食、帝国が気付いた歴史、エキゾチックな文化と様々だろうが、アラブ人統治の歴史もスペインの魅力に深みを与えているようだ。

バレンシア市に入った日、ホステルのスタッフがキッチンの冷蔵庫に「明日は祭日。すべての店が閉まります」と注意書きを貼った。
何の祭日かと聞いたところ、「バレンシアの日」だとスタッフは答えた。バレンシア市が始まった記念日。アラブ人(イスラム教徒ムーア人)とキリスト信者との融和の始まりでもあったという。そのムーア人とキリスト教信者の融和の歴史を示す盛大なパレートや催し物が展開するらしい(らしい、というのはインターネットで調べた情報、彼女は北スペインの出身なのでバレンシアの詳細は知らないと言った)。

その夜、午前0時に市内公園から盛大な花火が上がった。午前0時に辺りを華やかに照らす大輪の花火だ。
そろそろ、スペイン時間にも慣れつつある。が、レストランが21時から開き、サッカーは22時が試合開始、それでも、朝9時からちゃんと仕事は始まる。
「それが一般的。週末になればたいていのバーやディスコは朝5時までやっているわ。夕食は23時頃には済ませて、お楽しみは、0時からが本番。」と彼女は言った。うーん、それって、若い人だけのことでしょ。その体力が信じられない。だから、1日5食なのだろうか・・・。

翌日のバレンシアの日。
市内を歩く盛大な時代絵巻パレードは、午後5時頃から始まり、延々と夜23時過ぎまで続いた。多数の宗教グループが、時代絵巻の衣装を着こんで練り歩く。その数100グループ以上。パレートが練り歩く沿道には、一席3ユーロの即席観覧席が並び、人々は、夜遅くまでそのパレートを参観した。きっと、途中で帰ってしまうと後番のチームが気の毒と、遅くまで沿道で声援を送る心優しい市民も多かったに違いない。何しろ、17時から23時、6時間延々と続いたののだから。
この辛抱強さとお祭り好きもスペインの特性だろうか。


↑ パレードの先頭は民族服の男女の鼓笛隊


↑ 市長や議員の行進に続いて、時代絵巻集団のパレード


↑ 13世紀から14世紀のバレンシアで活躍した騎士、淑女たちの行進


↑ 様々な甲冑のファッションショーさながら。50チーム以上が登場


↑ 各チームの交尾では、必ずドラムを含めた音楽隊が勇壮な行進曲を演奏する


↑ 沿道の観客からは盛大な声援が。沿道席に並べられた観覧席料3ユーロを徴収して歩く実行委員会のスタッフ。


↑ パレードを尻目に、市当局に障害児教育の充実を訴えるシュプレヒコールとデモ集団も登場。祭り予算の一部を、障害児教育にと訴えてる人々も。


↑ キリスト教グループのパレードに続いてアラブ人(ムーア人)のパレードが登場。


↑ アラブ人(ムーア人)の象徴衣装はアフリカ民俗も入って奇抜


↑ ムーア人の戦闘衣装行進


↑ ムーア人の女性たちのエキゾチックな衣装


↑ 夜が更けて22時。ムーア人の行進は続き、沿道の観客は少しずつ減っていった。





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