桜の開花宣言を待ちわびるこの時期、一足早く春の訪れを探しにお花見や行楽客で車内は混雑している。
車窓より眺める限りピンクに染まった景色は目に止まらない。
多くの人々はそれを今かと待ちわびている。
楽しい雰囲気の客に混じり一人感慨深い想いで新大阪への到着を待つ。
米原駅を通過すると間もなくお城が瞬間見える。彦根城である。
その直ぐ側に亡き父のお墓がある。何時も列車が通過する時に墓参もままならず親不孝のこの娘の私を父はどんな風に思っているだろうと、詫び合掌する。
施設で人生の最期を迎える母の残された日々が人間らしく心穏やかな日々で在って欲しいと父に見守って下さいとお願いする。
義母は自宅にて足腰が弱っているが息子である私の夫と元気にボチボチと暮らす。
数日間のふたりの老母との生活を考えると何故か心が騒ぐ。
宝塚の我が家の庭には今年もはくれんが見事に咲き誇っている。
私の帰りを待っていてくれる。
施設の母は私を覚えていてくれるでしょうか?
母が懐かしく感じる。