次の世代のために 今できることを

この地域でどんな子どもを育てるのか③

そうした経緯の中で今年度から開校となった京都大原学院ですが、義務教育9年間を小・中の枠を取り払い6・3制から4・3・2制という形をとっています。

中1ギャップという言葉を聞いたことがあるかと思いますが、発達段階でとらえた時には、この4・3・2制は非常に有効であるようです。


校舎の配置にも発達段階の特性を意識した工夫をしています。

前期(小1~小4)と後期(中2~中3)の教室を隣に配することで、小学校低学年と中学生との交流のしやすい状況を作っています。

掃除は縦割りで行い、前期の子どもに後期の子どもが優しく教える姿なども見られ、何よりも、中2~中3の掃除などを嫌がる時期にもかかわらず生徒たちが真面目に掃除に取り組む姿が見られるそうです。

職員室はもちろん小学校教員も中学校教員も同じです。
広い職員室の席の配置も小中の教員が交流しやすい配置を工夫しているようです。



当然、小中一貫校ならではの取り組みも多く行っています。
・小中合同給食
・合同行事の開催(運動会、文化祭、スケート教室など)
・地域行事への参加
・合同部活動~中学校の少人数化を補う(小学校高学年を部活に参加させる)、小学生への指導の中で中学生にも自覚を促す。
・教職員の連携体制~合同職員会議
・特別教室の共有化(理科室・音楽室・調理室・図書室・コンピューター室など)
・キャリア教育

こうしたことを小中という枠組みを意識せず行っていくことで、一貫性や継続性を、かかわっている教職員が意識していくようになるのでしょう。

中学校現場は、高校に進学させるというゴールがありますから、基礎学力をつけなければならないという意識が高くなります。
しかし、小学校現場では基礎学力をどれだけつけなければならないという意識が低くなりがちであるそうです。

もちろん、発達段階や個人差によって身に付けるべき力に多少の違いはあると思いますが、9年間でどんな子どもを育てるのか、そして地域と一緒に、この地域でどんな子どもを育てるのかということを、教職員、住民、PTAが、それぞれ認識を共有した上で継続的にかかわり続けるということが、この小中一貫校の枠組みによってやりやすくなるのだと思います。

地域主導でできたこの『京都大原学院』は、公立という言葉よりも「地域立」という言葉で呼ばれているそうです。



大原小中学校の教育目標は、「大原のゆとりある心を自信をもって伝えられる子に!」です。

今の益田市の教育環境について、改めて考えさせられます。

これから学校再編が実施計画の段階に入っていく中で、どれだけの地域が、それぞれの地域の未来、そこで育つ子ども達の未来について、責任ある議論ができるのか、各地域の地域力が問われることとなります。

一部の意見だけでなく、多くの意見に耳を傾けながら、より良い形を作っていかなければなりません。
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