次の世代のために 今できることを

今、余命を宣告されたら・・・

昨日は昼に市長への要望書提出への同席が一件あった後、その足で午後、大田に向かいました。

目的は県内の若手市会議員の意見交換。

 他市の状況、議会の中でそれぞれが同じような立場で、同じような悩みを抱えながらも、地道に頑張っておられるお話に、有意義な時間を過ごすことができました。

帰りに、9号線を走りながら、反対車線をまたいできた車にヒヤっとしながら、先月益田東中学校で行われたPTA主催の研修会のことを思い出していました。

冒頭で先生が参加者に問いかけたのがこの言葉。

「今、余命を宣告されたらあなたは何をしますか?」


 研修会では、最初に、6歳の娘を残し昨年7月に乳がんでお母さんが亡くなられたという親子の話をされました。
 娘、はなちゃんのお母さん千恵さんは乳ガンのため、昨年の7月11日に33歳で永眠されました。その78日前に「心の準備をしている。ムスメには、できることは何でも自分でさせようと思っています。一人でも強くたくましく生きていけるように」とはなちゃんに当てた文章をブログ(「早寝早起き玄米生活 ~がんとムスメと、時々、旦那~」)につづりました。

 余命を宣告されたお母さんは、はなちゃんが5歳になった時から朝ご飯が自分でできるように練習し、今も小さな手で毎朝ご飯を作っています。


“子どもに伝えるべきことは子どもが自分で生活していく力をつけること。”

 講師の竹下和男先生は現職の中学校長でありながら、年間90本もの講演をして全国を回っている有名な先生です。何が有名なのかと言うと、小学校の高学年や中学生が、自分でお弁当を作る「お弁当の日」という取り組みを、全国の学校に呼びかけていることが有名な先生です。


 

 その話の後、“弁当の日”をつくるに至った経緯をお話されました。
 「子ども達が自分で給食の代わりに弁当を作ってくる“弁当の日”」。たったそれだけのことがなぜそんなにすごいのか。と思われると思います。

それはなぜか。

まずは親の同意が得られないそうです。

 「親は手伝ってはいけない」という約束事とはいえ、まったく無関心というわけにはいきませんし、それでは意味がありません。少なからず親にも手間がかかる話になります。 共働きで忙しい親が多い中で「なぜわざわざ…」というところが本音でしょうか。しかし、一番のハードルは「何かあったときの責任の所在をどうするのか?」という責任論になってしまうのです。 子供が包丁でケガをしたら… 家が火事になったら… 一体誰が責任を取るのか?などなど...


今の子ども達は過保護な環境の下に置かれていると言われますが、リスクと責任という点で、子ども達の体験できる環境を大人が奪ってしまっている場面が多いのでしょう。


“子どもを守ってやろうとするたびに、結局は子どもが育つ大切な環境を奪ってしまうことになる”

 ちなみに益田東中学校では、今年度からこの「弁当の日」に取り組むことになっているようです。

 全市的に取り組めると良いと思います。

 この「弁当の日」の効果はたくさんあるようですが、この校長先生が、お弁当の日を経験して卒業していく子どもたちに次のような言葉を贈るそうです。

○食事を作ることの大変さがわかり、家族をありがたく思った人はやさしい人です。


○手順よく出来た人は、給料をもらう仕事に就いたときにも仕事の段取りのいいひとです。

○食材がそろわなかったり、調理を失敗したりしたときに、献立の変更が出来た人は工夫できる人です。

○友達や家族の調理の様子を見て、ひとつでも技を盗めた人は自分の感性を磨ける人です。

弁当の日が全市的に行われれば、小中学生が市内のスーパーで野菜を品定めしている姿が見られるようになるのでしょうか。

益田市では『食と農の基本条例』の制定に向けて動いていますが、その条例のもとで、「弁当の日」のような、子ども達が食に興味を持ち、生活力をつけていくような活動を実践していってもらいたいと思います。

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