台風一家

きかんぼういっくん

今日は朝から所用でジョーシンや、コーナン、ムサシと車で移動を繰り返す忙しさであった。
私の携帯電話を新調することになり、その書類手続きなどをしてくれている伴侶の邪魔をせぬよう、こいちゃんといっくんを連れてゲームコーナーなどであそばせたりしていたのだが、それにも飽きた子供たちは退屈だと騒ぎ立てた。
そして特にいっくんは退屈に我慢が出来ない。
サメの様に常に動き回るいっくんにとって、退屈は拷問であるらしく、人にぶつかる事も考えずに走り出し面白いものを見つけてはいなくなる。
そしてこいちゃんがトイレに行きたいというのでいっくんにも来るように声をかけようが、ひっぱろうが、興味あるものからは離れようとしない。

お昼になると「眠い」とすし屋の椅子でごろごろしたり、食べかけの寿司を私たちから取られないようにけん制するくせに最後はたっぷり食べ残してだらだら。
しょうがなく食い散らかされた寿司は伴侶が処理し、すし屋を後にすると車の中でいっくんはしばし昼寝。
充電が完了して元気になったいっくんはムサシというホームセンターで人ごみの中を走り回り、お姉ちゃんに意地悪。
どんなにやめてと嫌がってもにやにや笑いながらこいちゃんを追いまわすいっくんを見て伴侶も根気よく説明を繰り返し、いっくんも「もうしません」と言う。
ところが、しばらくたつと走り出し伴侶にタックル。
いい加減キレ気味だった伴侶がおやつ代わりに買ってあげるつもりだったジュースを「もう上げない!」といっくんに言うと、いっくんは突然大号泣。
単純なもので、先ほどまで生き生きと意地悪をしていたいっくんは大粒の涙をこぼしながら「飲みたい~!!」と哀願するのだ。
その様子に伴侶の決意も30分と持たず、意地悪をしないように、と約束させてジュースを与えた。

悪さをしては「ごめんなさい、もうしません」を連発し、のどもと過ぎればすぐに調子にのるいっくんに私も伴侶も辟易しているのだ。
そして、今夜本当にどうしようもなくいっくんにがっかりさせられる事件が発生した。
伴侶がこいちゃんといっくんをお風呂に入れていたときである。
「あ!こら、おしっこしたらだめやろ!」と伴侶の怒声。
あちゃ~、洗い場でおしっこしちゃたのかな?と聞き耳をたてていると、なんと浴槽に張られたお湯の中にしたというのだ。
しかもさらに驚いたことに今まで何度もそんなことをしているといっくんが白状したというのだ。
今夜はたまたま浴槽に身を沈める前にフライングしてしまい、伴侶に見つかったということらしい。

これには私も言葉を失った。
お風呂のお湯で体はもちろん、顔にかかることだってある。
いっくんにだって、浴槽の中でしてはいけないことは充分すぎるほど判っていたはず。
逆に考えれば、だからいつもは身を沈めてからしていたのだ。
考えると嫌悪感と同時に、どーしようもない悲しさと怒りが湧いてきた。
伴侶と私はいっくんを甘やかしすぎたのだろうか。
こいちゃんがこんなひどいことをしたことはない、と言うだけで「性格の違い」で終わらせてしまって良いものだろうか。
大げさなようだが裏切られたような失望感でいっくんを厳しくしかりつけた。
いっくんは涙を流し「もうしません」とあやまり神妙な表情を見せるが、それは一瞬で、すぐに興味あるものを見つけて遊び始める。
その様子を見ているとどうしてもにこやかに相手をする気にならず、こいちゃんと伴侶が歯磨きを済ませて寝室に上がっても、いっくんには寝る前の仕上げ磨きもしてやらず、私だけでシャワーを浴びに行った。
「ごめんなさい~歯磨きしてぇ~、虫歯なる~!」としばらく風呂の外で叫んでいたが、しばらく静かになったのち、落ち着いた声で「自分で歯磨きをしました。うそじゃないよ、本当だよ」と言った。
外に出てみると本当に歯磨きを済ませ、洗面所に運んでいた。
表情も幾分落ち着き、じっと私を見て「本当だから、自分でしたから」と繰り返す。
「自分でしたのはえらかったね。だけど、もうあんなことしたらだめだよ」と言い、仕上げ磨きをしてやるといっくんは本当に嬉しそうに「おやすみなさい」と2階に上がっていった。

先に2階の別室に上がっていた伴侶の話だと、いっくんはすでにこいちゃんの眠っている真っ暗な寝室に入り、一人で「誰もいない…寂しい…」と言って泣いたらしい。
その後何故か布団にもぐりこみながら「おかあさん、ありがとう、ありがとう」と一人でつぶやいたというのだ。
それを聞いて添い寝する気が無かった伴侶も、なんとも言えない気持ちになり結局いっくんが眠るまで一緒に眠ってやったらしい。

こんないっくんに、落胆させられたり、厳しく叱ったりすることは多い。
やさしくしすぎると、調子にのるし、厳しくするとすぐに泣く。
いっくんを信じて、何度も諭しながら判るようになるまで根気よく育てなければいけないのかもしれないが、本当に加減が難しい。
私も伴侶もなんともいえない切なさに後味の悪い思いをしたが、いっくんにはまだまだ振り回されそうである。
こんなことでめげていては、この先いっくんを育ててはいけそうもない。
子育てとは本当に根気がいる仕事である…。
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