台風一家

つまらない自慢話

春休みに入ってから、毎日、朝昼晩と子供たちは喧嘩する。
私は二人の叫び声が聞こえるたびにため息をつき、二人のどちらかに呼ばれて間に入ることとなる。
もうお決まりのパターンである。
今日は天気もよく、昼に外で食べたがった。
実は私はこれもとてもストレスである。
子供たちだけで縁側がわりのステップに座って、昼ご飯を食べるだけなのだが、その間も例外なく喧嘩である。
そのため、しょうもない喧嘩の原因と、罵り合う声が近所中に丸聞こえである。

うんざりしながらも二人にとっては実に楽しみな昼ご飯の時間を壊したくはなく、しぶしぶ食事を縁側に運ぶと、居酒屋で酒をまつオヤジたちのようにコッチコッチと喜んだ。
二人の間に介入することに疲れきっている私はいつものように食事を運ぶと窓を閉めてしまう。
二人は、私がいない状態で食事をするわけだが、声は聞こえてくるので自然と話の内容が耳に滑り込んでくる。

食事をしながらも二人は静かに喧嘩を進める。
「いっくんはな、マジレンジャーのソックス持ってるで、お姉ちゃん、持ってるか?」
と自慢するいっくんにこいちゃんは冷静に「じゃぁ、いっくんはプリキュアのソックスもってる?」と返す。
すると持っていないいっくんは「もぎレンジャーのソックス持ってるか?」と架空のヒーローで優位にたとうとするが「そんなんおらん」と一蹴され、しばし沈黙。
しばらくするとどうしても何か自慢したいいっくんは「じゃぁ、穴のあいたズボンもってるか?」と言う。
近所に聞こえる…止めてくれ…。
しばらくこいちゃんが考えあぐねているといっくんが「いっくんは、持ってるで!」と自身満々。
するとこいちゃんも思いついたらしい「じゃぁ、いっくんは穴のあいたソックス持ってる?」
「………」「こずちゃんは持ってるで、ほら」
すりガラスごしのいっくんが興味深そうに上半身をかがめてこいちゃんの足を覗き込んでいるのが判る。
「ほんまや…」といっくんのつぶやきが聞こえる。
どうやら、いっくんは敗北を知ったらしく、それから静かになり、喧嘩に発展することはなかった。
なんとも情けない自慢話であったのだが、ほほえましいやらハラハラするやら…。あぁ、もう破れたもので自慢するのはやめてくれ…。
早くお外でのランチには飽きて欲しいものである。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「子供 育児 学校行事」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事