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台風一家

病院のはしご

こいちゃんの気管支炎が薬のおかげでマシになり、やっと幼稚園に行かせた金曜日。
こいちゃんが3時になって帰ってきたところに、同じバス仲間から「遊ぼう」と電話が。
私は連日の看病疲れもあり、頭がぼう、としていたがこいちゃんといっくんが遊びたがったので連れて行くことになった。
変に気分が悪く、食欲も全くなかったのだが、出されたチョコレートケーキやコーヒーを飲んでいるところに突然いっくんがそのお宅で出して貰った牛乳を吐いたのだ。

服は牛乳くさいしソックスもびしょぬれ。
どうも目元もぼんやりして様子がおかしいので慌てて帰宅し、着替えをさせた。
すると機嫌良くこいちゃんとテレビを見始めてほっと安心したのもつかのま、今度は私が急に吐き気がし始め、壮絶な嘔吐と下痢が始まったのだ。

悪寒はするし、少しでもヒーターの前に…とはいずっていけば「おうまさん~」と二人が乗ってくる。
怒鳴る気力もなく、ヒーターとトイレを何往復もしながら吐いては下し、吐いては下し…
すでにパンツをあげる気力もなく、殆ど全裸で冷たい廊下に転がって、伴侶に現状報告をしたが、伴侶が帰宅する8時まで3時間以上、まとわりつく子供達にうめきながら苦しんだ。
今思うと、タクシーでも呼んでさっさと夜間救急にかかればよかったのだが、自分が運転できない状態である先入観が強すぎてとにかく伴侶の帰宅を待ち続けていたのだ。

伴侶が帰宅したものの、すでに体力を消耗しきって寝転がったままの私は自分の保険証すら探すことも出来ず、立つことも出来ず、抱えられて車の中へ。
病院までの道のり、何度もおそってくる吐き気に耐えながら、到着したときには涙が出るほど嬉しかった。
受付を済ませて呼ばれるまでの間、殆ど飲むことも出来ないはずの水がほしくてほしくて堪らなくなり、「トイレの水でもいいから!」と言ってしまった。
それほど喉が渇いて仕方なかったのは脱水の症状のひとつだ。
子供達は眠たいのと、私が診察室に吸い込まれていくことに泣きわめいていたが、すでにフォローする元気もなく寝台に寝ころび吐き気止めと栄養剤の点滴を受けた。

はっきりとは覚えていないが点滴は2時間近くかかっていたのではないだろうか。
ぼんやりとした頭で点滴が落ちるのを眺めていると、吐き気が和らぎ、現代医学のすばらしさにひたすら感謝した。
安心してくると眠気すら覚え、うとうととした。
点滴が終わり、子供達の所に行ってみるとすでに二人とも病院の長いすの上で眠っていた。
長い一日になった…可哀想に…と思いつつまだまだ強い吐き気に耐えながら車に戻り倒れるように就寝…。

夜中にこいちゃんの鳴き声で目が覚めた。
私は体を起こすのも一苦労なほど体力を消耗していたので、慌てて伴侶を起こすと何とこいちゃんが、豪快に吐いたのだ。
私と同じ症状。
再び悪夢の始まりである。
夜中じゅう、気分が悪くなれば泣いて吐き、少し寝入っては起きてきて泣いて吐く。
動けない私に変わって、伴侶が土曜日、朝一番の小児科にこいちゃんを連れ込み、泣く泣く点滴を受けさせてやっと帰宅してからこいちゃんはぐっすり眠った。
こうなると吐き戻しも下痢もましになってきて、時間ごとにどんどん元気になってきた。
私も横になったままではあったがほっとして昼寝なんてし始めた頃、こいちゃんといっくんがそろって「耳が痛い…」と言い始めた。

嫌な予感にすぐ耳鼻科に連れて行かねばと思った。
朝に小児科で点滴したばかりである。
時間は3時すぎで、土曜日のためすでに開いている小児科はない。
おまけに夜間救急対応の病院でも耳鼻科はいないとのことで、大慌て。
なんとか5時まで開いている耳鼻咽喉科を探し行ってみると、二人とも急性中耳炎。
こいちゃんに至ってはすでに膿まで出始めていて、発熱がないことを不思議そうに何度も確認された。
さすがに急性中耳炎となると薬をぬるの一つ、かなり痛いらしく、二人は豪快に暴れた。
腹に力が入らずへろへろの私の代わりに伴侶が必死で二人を押さえ、何とか治療終了。

帰宅して服を着替えさせ、嫌がる二人に薬を飲ませた。
少し調子が良くなったこいちゃんは機嫌も良くなり止める私たちの声も聞かずに水をごくごく。
思った通り、寝る直前になってから「気持ち悪い…」と一生懸命飲ませた薬を含め、全て吐き戻してしまった。
一旦吐いてしまうと楽なため、「もう気持ち悪くない」とケロリ。
腹が立つやら可哀想やらでイライラした。
しかしさすがに本人も判ってきたらしく少しずつ水を飲むようになり、薬も頑張って飲んだ。

そのせいか、翌日の日曜日、吐き気はあるものの起きあがれるように。
こいちゃんも固形物は食べられないのだが「お腹空いた~」と言うほどご機嫌に。
起きあがって普通の食事を出来る人間は伴侶といっくんのみ。
外は雨だし、しっかり横になって早く治そう、とたっぷり休養をとった。
翌日の月曜日になんとか普通の状態に戻すことが出来そうだ、と安心して一日を終えてからベッドに潜り込んだ。

のもつかの間。
なんといっくんが泣いている。
嫌な予感に、起きあがってバケツを受けたが遅かった。
今度はいっくんが枕に向かって思い切り吐いたのである。
今年の風邪はたちが悪いとは噂に聞いてはいたものの、ここまでとは…
安堵してベッドに潜り込んだあとのぬか喜びはかなりのショックである。

こいちゃんが朝に貰ってきた座薬の吐き気止めを思い出し、伴侶と二人がかりでいっくんを押さえつけて座薬を入れた。
座薬の効き目は凄い物で、あれだけ私とこいちゃんが吐き続けたのに、いっくんは朝までぐっすり眠った。
心配で眠れなかった私であったが、6時にいっくんにたたき起こされトイレに連れて行かれた。
いっくんも可哀想に下痢をたっぷり出したが、それも殆ど苦しめられることなく、その朝からしっかりうどんを食べた。

今日は水曜日。
食が細くなってしまったことを除いては普通食を食べられるようになったこいちゃんは明日から幼稚園に行くことに。
もうこれ以上、何も起こらなければ…であるが…。
今年の風邪にはくれぐれもご注意を…………………………。
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