台風一家

花だらけ

よく晴れた土曜日。
滋賀県琵琶湖のほとりに建つホテルで義妹の結婚式があった。
前回実弟の着付けで気分が悪くなり、何度もチャレンジしつつも帯びの段階でリタイヤし、泣く泣くドレスでの出席となった苦い思い出がある。
今回も着物を着用せねばならず、本当に始終緊張しっぱなしであったが、心細くなったこいちゃんが、目を真っ赤に晴らして着付けの部屋まで来て、幼稚園の話をしてくれた事で、気がまぎれ、やっと着物を着ることが出来た。
助けられたのは私のほうだったのか。

料理は豪華であったが、着物が気になり思う存分とはいかなかった。
が、魚料理も肉料理も抜群においしく、おまけにデザートのアールグレイプリンなども実に美味。
伴侶などはイチゴのウエディングケーキをなんと2個も食べたのだ。
いくら子供の食べ残しが勿体無いとは言え、いやに几帳面だ。
料理の中でも驚いたのは子供達のお子様ランチ。
まずウサギの形に焼かれたかわいらしいパンが運ばれ、それだけでこいちゃんといっくんのテンションはあがりまくり。
中には甘いクリームが入っていたことから二人ともウサギにかぶりついた。
さらに間を開けずにどんどん運ばれてくるプレートには、様々な揚げ物や焼き物、星型のポテトなど、子供心をわしづかみ。
サラダやジュースが一著前にすべて並べられると、もう子供達はどれが自分の分なのか判っていない状態に。
とにかく目の前にある食材に目移りしながらも食べる食べる、ただ食べるのみ。

がつがつと食べ物に夢中で取り組む子供達を見ていると、つくづく「成長したなぁ…」と実感。
親もゆっくりコース料理を味わいながらも、調子に乗ってジュースをがぶ飲みした子供達に、なんと5回も6回もトイレに連れて行かされた。
私の隣では今回結婚する義妹の兄である義弟が親戚に説教を受けており、始終「早く結婚しろ」と言った内容で、渇を入れられていた。
義弟は料理とお酒を時折口にしつつ、ただひたすら困ったように頷いていた。

何だか両極端なテンションの人間にはさまれ、義妹のなれそめなどを聞きながら和やかなムードで式は終了した。
終了してすぐに駆け込むように着付け室に飛び込み、もどかしく紐を解いて着物を脱ぐと、生き返ったようであった。
やはり慣れない和装では、体力と精神力をすり減らしてしまうようだ。
式が終わってみて帰路に着く頃は真っ暗であった。
美しい琵琶湖の噴水がイルミネーションで色づき、対岸の夜景が美しい。
また次はここにキャンプに来たいものだ、とぼんやり運転しながら考えた。

そして帰宅して荷物を降ろしてびっくりである。
荷物をあわただしく車に積んだ段階で、ある程度想像はしていたものの、ものすごい花の量である。
伴侶が水切りを施し、大きな発泡スチロールに水を張り、そこに花束を浸すと、ものすごい迫力であった。
なんと言ってもカサブランカ類や、バラなどの高級な花がごっそりと無造作に発泡スチロールに突っ込まれている様は圧巻である。
ペットボトルや、花瓶、ミニバケツまでを駆使して埋けてみたところ、居間やトイレ、キッチンや玄関にどっさり花束を飾れるほどの量であった。

後でわかったのだが、その日、結婚式が終了してからすぐ帰宅する人は少なく、ほとんどがホテルに宿泊することになっていたらしい。
豪華で美しいはずの花束は実は邪魔だったわけである。
そんなときにホテルのボーイさんがまとめてくれた花束をもらった「綺麗大好き」のこいちゃんが大げさに喜んでいたものだから「おれのも」「うちのも」「わたしのも」となったわけである。

家中、すばらしい花束とその芳香に包まれ、芳香剤いらずである。
様々な部屋に飾ったが、どうしても飾りきれず、玄関はパチンコ店でも開店するかのような豪勢な様相に…。
いずれは枯れてしまうと思うと実に惜しい。
なんともいえない、寂しい気持ちになってしまうのだ。
このままいつまでも、美しくずっとここにあれば…と思いつつも、きっと儚いから美しいのだろう、と、矛盾を感じつつも思うのであった。
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