録画人間の末路 -

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ロン・チェイニーJr最後の大暴れ ドラキュラ対フランケンシュタイン

2019-04-28 16:07:56 | 特撮・モンスター映画
連休に入りましたね。ウチの弟Bの会社はさっそく、連休にするために合間の平日を社員全員に対し強制的に"働き方改革の義務有給休暇"扱いにして事実上義務の消化済にしてしまったそうです。あれって従業員との相談のもと、ある程度自由に決めなきゃいけないものじゃなかったっけ? でも、とりあえずそうしてる企業少なからずありそうだよなぁ。

それとはまぁ関係なく。今回買うのを迷ったBDがあります。それは「恐竜100万年」です。1966年に作られた架空の原始人と恐竜が併存する世界を描いた作品で、レイ・ハリーハウゼンによってモデルアニメイトされた数々の恐竜が素晴らしく、「ジュラシック・パーク」が出るまでは恐竜映画の決定版として長く君臨し続けていたとされる映画です。手抜きなしのフルアニメートされた映像はおそらくFluid Motion Videoとの相性も良いと思われ、すでにDVDを所有しているわたしですが、BD版を楽しみにしていました。が、発売が告知され、その情報を見ると、うーーーーーーーん。
データに、上映時間が92分、ってあるんですよ。本来の恐竜100万年はWikipediaに書かれているように105分なんですよね。13分短縮されているんです。これは発売元が20世紀フォックスなせいでしょう。恐竜100万年自体はイギリスのハマーフィルム・プロダクションが作った映画で、アメリカでの配給は20世紀フォックスによって行われました。理由は分からないのですが、その際にシーンを削って上映時間を短くしてしまったのです。まぁセリフがほぼなく、複雑なストーリーが出来ない作品なので、少しくらい削っても支障はないし、むしろダラダラする部分を引き締める効果があった可能性もありますので、それが一概に悪いとは言えないわけですが、別途オリジナルが存在するとなるとそっちがいいなぁと思ってしまいますよね。迷ったのですが、パスしました。一応ハマーフィルム版が出る可能性もゼロではありませんので。
というのも、DVD以前、レーザーディスクで発売された「恐竜100万年」は105分版だったからです。また、かつて日本放送協会が衛星放送で放送したときの「恐竜100万年」もこのハマーフィルム版でした。ただ、レーザーディスクはもちろん衛星放送版もSDの4:3画角にレターボックスなので解像度が低く、画質面ではDVD版にもかなり見劣りします。わたしも衛星放送版をキャプチャーしてエンコードしたものを保存してはいるのですが、いろいろと間違って処理してしまってかなり無残な保存状態となってしまってます。だからなおのこと高画質版の登場を待っているんですけどねぇ。一応特撮部分に関しては目立ったカットはないようなので20世紀フォックス版でも十分ではあるのですが、東宝チャンピオン祭り版の短縮「キングコング対ゴジラ」が見られればオリジナル版の「キングコング対ゴジラ」は見られなくてもいいだろ、と言われても納得できないのと同じで、むずかゆく感じるわけです。と、いうわけでパス。DVD版は安いので中身が見たいだけならこれで十分かと思います。

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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代わりに・・・と言っても恐竜100万年と全く関係なく買うんですが・・・買った映画のDVDが「ドラキュラ対フランケンシュタイン」。ダメモンスター映画ファンの間の中でも底辺の一本として定評のある映画です。と、言っても画角はほぼ4:3で、若干周囲に黒い帯があるところから、おそらくテレビ向け映画でしょう。パッケージには「ワイド16:9」なんて書いてありますが、間違ってます。ついでに言えばパッケージの絵に描かれているドラキュラと怪物がなかなかかっこいいですが、本編に登場する怪物とは似ても似つかないデザインとなっていますが、これは昔VHSなどで発売されていたときに使われた絵を流用したものですので、本パッケージだけが嘘つきというわけではありません。
一般に本作の評価はほとんどその一点、ドラキュラとフランケンシュタインの怪物のデザインという部分だけに集中しています。ドラキュラは濃いひげにチリチリのカーリーヘア、暗黒の紋章をかたどった指輪からはビームを発射して人を焼き殺す特殊能力もあり。青白い顔は夜間シーンではうっすら光って見え、場面によっては目の周りが真っ黒で不気味さを感じさせるものとなっています。このドラキュラ役は黒人、それも俳優ではない素人さんと聞いています。ドラキュラ役にピッタリなのは背が高くて痩せた男。そんな役者が確保できなくて素人でもいいからと連れてきたはいいが黒人・・・。ドラキュラは日の光を浴びることができないので、当然不健康な青白い肌になるだろうに黒人ではその真逆になってしまいます。それを真っ白に塗ったメイクでごまかしたからああなった、とかなんとか。夜間シーンで光るのは、メイクを盛り過ぎて塗料みたいになったから、時々目の周りが真っ黒なのはメイクではなく、むしろメイクが落ちたから・・・。そんな感じですかねぇ。ただ、わたしとしてはそれがうまく不気味さを出していて言われるほど悪くないと思ってます。
問題なのはフランケンシュタインの怪物の方。映像作品至上最悪の醜悪さ・・・とも称されるほど不細工です。フランケンシュタインの怪物と言えばボリス・カーロフが演じたあの怪物のメイクが誰しも思い出されますが、アレは制作会社のユニバーサルが肖像権を持つデザインで、他社は使えないのです(藤子不二雄A氏のマンガ、「怪物くん」に出てくるやつは"フランケン"という名のオリジナル怪物だからOK!としておこう)。ですが、見た目のインパクトが強烈すぎてアレから大きく逸脱することもできず、各社苦労しながら似過ぎず離れ過ぎず、のデザインを行っているところに苦労がしのばれますが、本作もその結果、さらには低予算で多分短期間で作ったデザインのため、かなりひどいものとなっています。しいて言うなら日本のヒーロー番組「イナズマン」に出て来たサナギマンが少し似ているかも知れません。


それと同時に、ですが、なんとなく似てるんですよねぇ、この怪物、本作に出てくるロン・チェイニーJrに。
ロン・チェイニーJrは「狼男」で主演したことで怪奇映画のスターとなった人物で、本作はその最後の出演作としても知られています。ただ、本作は先のデザイン面で揶揄されるばかりで、そこについて触れられることが少ない気がします。なんかもったいないですね。ただ、この時のロン・チェイニーJrに往年の風格はありません。正直最初に見たとき、「え? この人なの?」と驚いてしまったほどです。もともと恰幅のいい人ではありましたが、どちらかというと太った、としかいいようのない体型で頭は禿げ、肌はボロボロで見る影もありません。ロン・チェイニーJrはおそらくこの時点で所謂アルコール中毒になっており、2年後にこの世を去ります。晩年ゆえのあの姿だったのでしょうか。そして本作では事実上の主人公であるドゥエリー博士、の助手で物言わぬグロートン役です。セリフが一言もなく、声はうなるだけなのです。そして作中で一番人を惨殺するのがこのグロートンなのです。
大きな斧を振って若い女性を襲い、首を切り落として(予告編にもあるけど、やたら登場人物の首が転がる作品である)その死体を持ち帰るのがグロートンの仕事。ドゥエリー博士は遊園地の見世物小屋を隠れ蓑にしながら首を切り落とした死人を再生させるという悍ましい研究を行っている人物で、その際に失われた血液を人工で作り上げたもので代用できるようにするのが実験の第二段階、らしい。だが今は人工血液が完成していないため、一度首を切り落とした死体を維持するには他人の血液、それも若い女性の血液が必要ということ、らしい。結果、次々と若い女性を殺しては血液を前に殺した女性に使い、また今殺した女性に使うために次の女性を・・・と言った殺人の連鎖が起こっている、ということみたいです、なんとなくしっくり来ませんが、ドゥエリー博士は「人類のため」としているこの実験、本当の目的は車いす生活を送る自分の足を治すためだったりします。ちなみに首を切り落とされた女性は先の実験が半分成功していて生きているようですが、完全再生には至っていないらしく全く動きません。ただし、頻繁に瞬きだけはしているので生命維持が行われているのは間違いないようです。
ここで出てくるのが先のグロードン。彼もまた「普通の生活を送るのに人工血液が必要。だが、今は別の手段で」とのことで、おそらく女性から採取した血液だろう注射を受けることで、なにやら元気になる様子が描かれています。ストーリー途中には「変身する」可能性がかたられており、おそらくは、このロン・チェイニーJr演じるグロートンを往年の「狼男」のごとくフランケンシュタインの怪物風に変身させたかったんじゃないか、と思えてなりません。あの怪物の不細工なデザインも、ロン・チェイニーJrのために作ったマスクだったのではないかと。が、グロートンの謎は明かされることなく、刑事の銃弾を受けて呆気ない最期を遂げます。また、ドゥエリー博士も半ば自爆する形で死ぬため、ここで物語は終了・・・かと思いきや上映時間はまだタップリ残っており、ここでやっとドラキュラと怪物がメインとなって活躍するようになります。ここまでの内容でドラキュラと怪物は序盤と中盤、ドゥエリー博士以外のメイン登場人物とは接触しない形でしか登場していないのです。いかにも"後で継ぎ足した"という感じです。それほど出展がはっきりとした資料を参照したわけではないようですが、もともと本作は全く別の映画を取っている最中にいろいろ手直しが入った結果、ああなったという話があります。その説では主演は「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」でも主演だったあのラス・タンブリン、本作では「スペシャルゲスト」という肩書でヒロインにちょっかいを出すチンピラ役というチョイ役ですが、彼を主演にしたものだったと。スペシャルゲストと言えば所謂特別出演、ギャラが俳優の格に見合ってないけど頼んで出てもらう、というものでしょう。いくら内容を変更したとはいえ、主役として読んできた俳優をそんな扱いにするとはちょっと信じられません。が、少なくともドラキュラとフランケンシュタイン設定は継ぎ足しで間違いないようです。ドゥエリー博士を「ドゥエリー家に育てられたが、本当はフランケンシュタイン博士」と呼ぶのもドラキュラだけですしね。ロン・チェイニーJrのグロードンがいい加減な扱いになったのは、その継ぎ足しに何かしらの理由で参加できなかったので怪物を別に用意した、という気がしてなりません。どんな作品でも継ぎ足しすればダラダラな展開になってつまらなくなるのは当たり前、それに何より低予算ですし多分撮影時間も短かったでしょう。そこを棚に上げて揶揄するのはちょっと違うかな、と思います。ラス・タンブリンやジム・デイヴィス(ガーフィールドの作者とは別人の俳優)ですらスペシャルゲスト扱いなのに、ある意味格で言えば彼らより上の扱いを受けてももおかしくないロン・チェイニーJrが通常扱い(Jrは父と区別のためにつけられているため、クレジットでは単にロン・チェイニー)。あの姿でわざわざテレビ映画で、セリフもない役柄を与えられてでも仕事が欲しかったのか、そんな晩年の彼の事情を想像せずにはいられません。ドラキュラもフランケンシュタインも無視してロン・チャイニーJr最後の大暴れを堪能するのが本作の正しい鑑賞の仕方だと思います。まぁ、そこまで考慮に入れても出来がいいとは言えませんが。
ドラキュラ対フランケンシュタイン(日本語吹替収録版) [DVD]
J・キャロル・ネイシュ,ザンダー・ヴォルコフ,ロン・チェイニー・Jr,ラス・タンブリン,ジム・デイヴィス
有限会社フォワード


さてさて、いよいよゴジラの公開が近づきました。前売り券買おうかな・・・と思ったんですが、おそらく割引の夜間上映を見に行く、というより初日に見に行こうとするとそれ以外無理だから前売りでない方が安いわけです。ただ前売り券の残りそのものは手元に置きたいんですよねぇ。休日の昼間にも一回見に行こうかな、どうせ複数回いくだろうし。だから頼みますから夜間上映は店が終わってからでも十分間に合う遅い時間帯になりますように・・・。いや、いっそその日だけでも早く店を閉めるか・・・。

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