参議院選挙が公示されました。今回は「初めて選挙権が18歳まで下げられた」ことをクローズアップされているようですが、それよりも大幅な選挙区の変更により、地方から当選する議員が大幅に減らされ、代わりに都心部での当選者が増える合区選挙になったことのほうがはるかに重要だと思ってます。つまり、国会議員は都心部から選ばれた人の割合が今まで以上に多くなり、事実上都心部の在住者でなければ選挙を通じて意思を示すことができなくなっていくわけです。地域差の拡大が政治レベルで加速する境界となるほうがずっと重要かと。18歳選挙権も「諸外国では当たり前だから」みたいな軽いノリで決まった印象しかないのですが、「若い人も投票できる」より「選挙権を与えられた年齢が拡大したことで、権力側がより若い世代に負担を拡大する政策、あるいはより若い人が負担を強いることを前提とした政策をより作りやすくなった」ことの方がはるかに大きいんじゃないかなぁ。ちゃんと選挙権があって、それを通じて意思表示ができるんだから、それによって負担が出てもしょうがないでしょ、ってなもんで。何やらせるか、までは分からないですよ、各党公約にももちろん書いてないですし。まぁどうなるかは選挙終わってしばらくたってみないと分かりませんが、若い人は覚悟しておいたほうがいいかと。また、投票に行く人は自分らよりも若い世代のこともちょっと頭の中に入れて投票先を決めてくださいませ。
さて、国政選挙と言えば選挙公約。多分日本中でもわたしくらいしか興味を持っていないだろう、各党公約のうちメディア・放送・コンテンツ関連を、今回も抜き出して並べてみたいと思います。争点はいろいろありますが、マスコミで取り上げられている問題ばかりでなく、自分の興味ある分野においてどの党がちゃんと考えているか、その中でも自分の考えに近いのはどこか、という視点から政党を選んでみるのも一つのやり方かと思います。せっかくインターネットで簡単に調べられるのですから、やらなきゃ損でしょ。
なお、抜き出しは各党のサイトからこの参議院選挙用に作られた選挙公約・マニフェスト・政策集の中から、メディア・放送・コンテンツ関連のものと思われるものを対象として行っています。政党は現状国会議員を輩出している党はもちろん、諸派扱いであってもある程度の候補者を擁していると思われる党を可能な限り抽出したつもりです。抜けがあった場合はご容赦ください。リンクは参議院向け政策集のあるページを優先しておきました。なお、党の背後関係などは無視して書いています。
自由民主党
デジタル時代にふさわしい著作権制度やライセンシング体制の整備や知財紛争処理システムの機能強化を図るとともに、インターネット上の知財侵害への対応強化など海賊版・模倣品対策を一層強化します。
「クール・ジャパン戦略」を推進し、日本のものづくり技術と世界に誇る日本のアニメを掛け合わせた他の追随を許さない真のJAPANオリジナルコンテンツの創造を図ります。具体的には、東京国際映画祭のグリーンカーペットをアジアのステイタスとすること、大規模展示会場や国際会議等のMICE施設の建設を促進すること、世界のコンテンツの中心として秋葉原を街ごとバージョンアップさせること等、観光資源としてだけでなく世界的イベントのホスト国となる機会を増やすための取組みを進めます。
さらに、人気のあるコンテンツを迅速に海外に売り込めるようにするために、権利処理一元窓口の整備(映像コンテンツ権利処理機構の機能強化等)、海外展開も含めた権利処理契約の促進等により、権利処理の円滑化を図ります。
世界に先駆けて次世代テレビの開発を進め、高画質(4K、8Kテレビ)でスマートテレビなどの双方向の送受信にも対応できる新たな受像機と放送システムを確立し、TVとインターネットの融合サービスにおける国際競争力を確保するとともに、これに対応した日本発のコンテンツ制作を推進します。また、クールジャパン戦略等の一環として、わが国の地域それぞれがもつ魅力を発信する放送コンテンツの海外展開を推進するとともに、日本の文化・食・製品の市場開拓やインバウンド観光の拡大にも貢献します。
自民党の公表している政策は他の党の政策集全部合わせたよりも多いほど膨大で、正直読むのがキツいです。その中で放送や映像関連を抜き出すと上の文が出てきました。放送規格・映像コンテンツとも海外への売り込み、海外からの観光客の誘致を前提としたものと位置付けています。
公明党
なし
自民党と同じく与党である公明党ですが、放送コンテンツ関連の記述は全くなし。まぁこの党は放送分野には興味がないらしく、デジタル放送移行の時も同じ文章をコピペして複数の選挙で公約として使いまわしていたところなので、何もなくても不思議ではないのですが。
民進党
通信・放送行政を総務省から切り離し、放送免許の付与・更新や番組規制などを行う規制監督部門を独立性の高い独立行政委員会として設置する通信・放送委員会(日本版FCC)に移し、国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するとともに、放送に対する国の恣意的な介入の排除を進めます。
放送と通信の融合の時代の進展に見合うよう、放送法の改正を検討します。
放送については、地域社会・文化の振興、ユーザーである市庁舎の利便向上、わが国経済の成長への寄与をめざし、スマートテレビ等の放送サービスの高度化、デジタル放送日本方式(ISDB-T)の海外普及の促進、コンテンツの海外展開の強化等の施策を推進します。また、インターネットを介した放送番組の流通など、コンテンツの2次利用の促進を図ります。
電波オークション(電波利用権限の入札による取得)の導入などを通じて、国民の財産である電波の公平・構成な利活用を計ります。また、電波利用料の引き下げを検討し、多様な通信サービスの開花を促します。
工芸・芸能・マット利などの伝統文化の保護と後継者養成、映画や音楽、アニメ、漫画等の振興助成を推進します。
海外への売り込みもありますが、まず国内の改革をという主張となっており、自民党とは異なる物となっています。映画やアニメの振興が伝統文化の保護と同列の扱いになっているのは良いのか悪いのか。
日本共産党
安倍政権による放送への権力的介入を許さず、政府から独立した規制機関の確立をもとめます
(中略)
日本共産党は、憲法21条と放送法にもとづき、放送番組への権力の介入を許さず、表現の自由を守っていきます。
日本共産党は放送番組を編集・作成する事業者の認定制度などを導入する放送法の改悪等に反対してきました。
また、言論・表現の自由にかかわる放送行政の規制は、政府から独立した規制機関が行うのが世界の常識です。総務大臣の監督ではなく、新たに「放送委員会」(独立行政委員会)を設置し、放送行政を規律するように制度改正をもとめます。
公共放送としての役割をもとめる
安倍政権が放送内容への権力的介入をつよめるもとで、憲法21条と放送法の原則を確固として堅持する放送事業者の姿勢が問われています。
しかし、籾井勝人NHK会長は、就任以来、放送法の趣旨を理解しない発言を繰り返し、NHKには、かつてない国民の批判が寄せられています。さらに、NHKと子会社では相次いで不祥事が繰り返され、真相の解明と情報の公開に基づく対策に対する国民の不信が広がっていることも重大です。国民の受信料によって支えられる公共放送として役割を果たすよう、NHKに改善を求めていきます。
共産党は書かれた政策は多いんですが、前置きが長くて引用しにくいので一部省略しました。放送の監督を総務省から独立行政委員会に移行するという考えは民進党と全く同じですね。なお、日本放送協会に関する記述がある党はここだけでした。
社会民主党
アニメや漫画などのクリエーター、プログラマー、デザイナーの賃金・労働条件の実態把握と雇用環境の改善に取り組み、離職者の再就職を支援します。
言論や報道の自由を侵害するメディア規制の動きに反対します。
かなり簡潔な内容しかありません。が、社民党の政策は明らかに税・経済関連に力を注いだものとなっており、他は二の次なのでしょう。無視されずに書いてあるだけマシとも言えます。
生活の党と山本太郎となかまたち
なし
冒頭あいさつにに"本来、政権チェックが役割のメディアを萎縮させる発言等々・・・」と言った言葉はあるものの、政策集本文中には見当たりませんでした。矛盾を感じます。
おおさか維新の会
周波数オークション導入のため電波法を改正する。
電波利用料の引き下げで、電力のスマートメーター、遠隔医療はじめ経とうな通信サービスの開花を促す。
周波数オークションとは、民進党の掲げる電波オークションと同じものとみていいでしょう。また電波利用料の引き下げも行うと言う点も同じです。電波利用料の引き下げ分をオークション収入で補う、という発想は表裏一体のようですね。
新党改革
日本には閉塞感が渦巻いていますが、世界に向けて発信している文化・産業には活気が満ち溢れています。その代表といえるのが、アニメ・ドラマ・音楽・映画・ファッションです。1990 年代後半から海外進出が急拡大しました。これら日本の文化を海外にもっと効果的かつ積極的に発信し、クールジャパンとして競争優位性を高めることで、ビジネスとしての文化戦略を実行していきます。
簡潔になってはいますが、自民党の考えとほぼ同じ、あれらコンテンツは海外に売り込むべきと言う主張になっています。なお、新党改革代表の荒井広幸氏はあのエコポイントを考え、実行させたことが自慢らしく、サイト内でも政策集本文中でもたびたび誇っていました。
日本のこころを大切にする党
なし
見つかりませんでした。立候補者の中にはこちらの分野の専門家もいるようですが、党として公約を掲げるほどの関心はないようです。
幸福実現党
電波オークションの導入
競争入札方式で落札した事業者に周波数を与える電波オークションの導入により、電波利用の開放と効率性の向上を推進します。
民進党・おおさか維新の会同様の電波オークションが挙げられていますが、利用料に関しては触れられていませんでした。
国民怒りの声
自由な言論空間を回復する
私たち人間は、皆、本来的に各自個性的な存在である。
だが、共同生活を進めて行くために、意見を集約してひとつの方針にまとめて行かなければならない。だからこそ、異論をぶつけ合える自由な言論空間なしに民主政治は成り立たない。
ところが、最近のわが国では異論を許さない空気が支配してしまっている。自由な言論空間を回復する方法はただひとつ、政府はメディアに対する直接・間接の介入を止める。それで十分である。
具体的な提案はありませんが、民進党・共産党の上げる独立委員会に放送監督権を移す、に近いものと考えておきます。
全くの余談ですが、当初同党からは俳優の宝田明氏か出馬を予定していました。宝田明氏は映画「ゴジラ」に出演したことを前面に押し出して選挙戦を行うようでしたが、直前になって取りやめになりました。「ゴジラ」を政治的メッセージに使うことなく済んで、個人的には本当に良かったと思っています。
とりあえず上げてみました。大雑把に見て
・放送規格・映像コンテンツは海外に売り出す(自民党・新党改革)
・放送の監督権を総務大臣から切り離す(民進党・共産党・国民怒りの声)
・電波オークションを導入する(民進党・大阪維新の会・幸福実現党)
この3つが主な項目として挙げられます。
海外展開は、見方を変えれば国内軽視とも取れ、国内の現状の流れを変える必要なしと考えている感があります。海外に売れるものは積極的に振興するが、国内需要しか満たさないものは排除する、ということにならなければいいのですが。
総務省の監督権云々の問題は、少し前の高市総務大臣の発言を踏まえたものでしょう。省略しましたが共産党の政策にははっきりとそれが書かれています。あの発言は主に総務大臣視点から見た政治的公平性を要求し、警告する、改善しなければ電波停止措置を取ることもありうる、その判断は一番組だけでも行えるという趣旨の発言だったと思いますが、総務大臣でもそれは簡単ではないのですね。放送法百七十四条には総務大臣による業務の停止命令ができる、とある項目ですがその中に"特定地上基幹放送事業者を除く"とはっきり書かれています。この特定地上基幹放送事業者は、第二条二十二項によると"自己の地上基幹放送の業務に用いる放送局の免許を受けた者"とあります。ようするに地上波のテレビとラジオは放送法に違反したところで総務大臣から業務停止命令を受けない特権を持っている、ということなんです。一応同様の存在として電波法第七十六条に「総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法 若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」とあったりします。なぜか放送法の違反を総務大臣に限り電波法でさばけるとあるんです。まぁ放送法は放送の業務の停止、電波法は電波の制限や無線局の運用の停止とありますから厳密に言えば処分方法は違うわけですし、制限できるだけで電波を停止させることができると言うわけでもありませんが、法をまたいで罰則を施行できる権限を大臣に限って持っているあたり、なんか納得いかないものを感じます。放送局も第四条の解釈だとか言ってないで、ここら辺の矛盾やおかしさの方を追及すればいいんですよ、地上波は放送法で特別扱いされてるんだって報道で訴えればいい。
話それましたね。電波オークションは諸外国では割と普通に行われている制度だそうです。が、個人的には必ずしも賛成はしていません。オークションで完全オープンになれば一部の人間しか活用できない電波が多くの周波数を占めることになりかねませんからね。諸外国がどうしているのか知りませんが、日本の場合たとえ導入してもオークション参加の基準が厳しくなる制度になるでしょう。実質現行の総務省審査方式と変わらない、ある程度絞ったうえで最後の判断だけお金にゆだねる、ということになるんじゃないかと思います。
かなり好き勝手なことも書いちゃいましたが、大切な一票、ぜひ行ってください。その判断基準の片隅にでも、放送規格・映像コンテンツのことを置いてみてくださいね。
さて、国政選挙と言えば選挙公約。多分日本中でもわたしくらいしか興味を持っていないだろう、各党公約のうちメディア・放送・コンテンツ関連を、今回も抜き出して並べてみたいと思います。争点はいろいろありますが、マスコミで取り上げられている問題ばかりでなく、自分の興味ある分野においてどの党がちゃんと考えているか、その中でも自分の考えに近いのはどこか、という視点から政党を選んでみるのも一つのやり方かと思います。せっかくインターネットで簡単に調べられるのですから、やらなきゃ損でしょ。
なお、抜き出しは各党のサイトからこの参議院選挙用に作られた選挙公約・マニフェスト・政策集の中から、メディア・放送・コンテンツ関連のものと思われるものを対象として行っています。政党は現状国会議員を輩出している党はもちろん、諸派扱いであってもある程度の候補者を擁していると思われる党を可能な限り抽出したつもりです。抜けがあった場合はご容赦ください。リンクは参議院向け政策集のあるページを優先しておきました。なお、党の背後関係などは無視して書いています。
自由民主党
デジタル時代にふさわしい著作権制度やライセンシング体制の整備や知財紛争処理システムの機能強化を図るとともに、インターネット上の知財侵害への対応強化など海賊版・模倣品対策を一層強化します。
「クール・ジャパン戦略」を推進し、日本のものづくり技術と世界に誇る日本のアニメを掛け合わせた他の追随を許さない真のJAPANオリジナルコンテンツの創造を図ります。具体的には、東京国際映画祭のグリーンカーペットをアジアのステイタスとすること、大規模展示会場や国際会議等のMICE施設の建設を促進すること、世界のコンテンツの中心として秋葉原を街ごとバージョンアップさせること等、観光資源としてだけでなく世界的イベントのホスト国となる機会を増やすための取組みを進めます。
さらに、人気のあるコンテンツを迅速に海外に売り込めるようにするために、権利処理一元窓口の整備(映像コンテンツ権利処理機構の機能強化等)、海外展開も含めた権利処理契約の促進等により、権利処理の円滑化を図ります。
世界に先駆けて次世代テレビの開発を進め、高画質(4K、8Kテレビ)でスマートテレビなどの双方向の送受信にも対応できる新たな受像機と放送システムを確立し、TVとインターネットの融合サービスにおける国際競争力を確保するとともに、これに対応した日本発のコンテンツ制作を推進します。また、クールジャパン戦略等の一環として、わが国の地域それぞれがもつ魅力を発信する放送コンテンツの海外展開を推進するとともに、日本の文化・食・製品の市場開拓やインバウンド観光の拡大にも貢献します。
自民党の公表している政策は他の党の政策集全部合わせたよりも多いほど膨大で、正直読むのがキツいです。その中で放送や映像関連を抜き出すと上の文が出てきました。放送規格・映像コンテンツとも海外への売り込み、海外からの観光客の誘致を前提としたものと位置付けています。
公明党
なし
自民党と同じく与党である公明党ですが、放送コンテンツ関連の記述は全くなし。まぁこの党は放送分野には興味がないらしく、デジタル放送移行の時も同じ文章をコピペして複数の選挙で公約として使いまわしていたところなので、何もなくても不思議ではないのですが。
民進党
通信・放送行政を総務省から切り離し、放送免許の付与・更新や番組規制などを行う規制監督部門を独立性の高い独立行政委員会として設置する通信・放送委員会(日本版FCC)に移し、国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するとともに、放送に対する国の恣意的な介入の排除を進めます。
放送と通信の融合の時代の進展に見合うよう、放送法の改正を検討します。
放送については、地域社会・文化の振興、ユーザーである市庁舎の利便向上、わが国経済の成長への寄与をめざし、スマートテレビ等の放送サービスの高度化、デジタル放送日本方式(ISDB-T)の海外普及の促進、コンテンツの海外展開の強化等の施策を推進します。また、インターネットを介した放送番組の流通など、コンテンツの2次利用の促進を図ります。
電波オークション(電波利用権限の入札による取得)の導入などを通じて、国民の財産である電波の公平・構成な利活用を計ります。また、電波利用料の引き下げを検討し、多様な通信サービスの開花を促します。
工芸・芸能・マット利などの伝統文化の保護と後継者養成、映画や音楽、アニメ、漫画等の振興助成を推進します。
海外への売り込みもありますが、まず国内の改革をという主張となっており、自民党とは異なる物となっています。映画やアニメの振興が伝統文化の保護と同列の扱いになっているのは良いのか悪いのか。
日本共産党
安倍政権による放送への権力的介入を許さず、政府から独立した規制機関の確立をもとめます
(中略)
日本共産党は、憲法21条と放送法にもとづき、放送番組への権力の介入を許さず、表現の自由を守っていきます。
日本共産党は放送番組を編集・作成する事業者の認定制度などを導入する放送法の改悪等に反対してきました。
また、言論・表現の自由にかかわる放送行政の規制は、政府から独立した規制機関が行うのが世界の常識です。総務大臣の監督ではなく、新たに「放送委員会」(独立行政委員会)を設置し、放送行政を規律するように制度改正をもとめます。
公共放送としての役割をもとめる
安倍政権が放送内容への権力的介入をつよめるもとで、憲法21条と放送法の原則を確固として堅持する放送事業者の姿勢が問われています。
しかし、籾井勝人NHK会長は、就任以来、放送法の趣旨を理解しない発言を繰り返し、NHKには、かつてない国民の批判が寄せられています。さらに、NHKと子会社では相次いで不祥事が繰り返され、真相の解明と情報の公開に基づく対策に対する国民の不信が広がっていることも重大です。国民の受信料によって支えられる公共放送として役割を果たすよう、NHKに改善を求めていきます。
共産党は書かれた政策は多いんですが、前置きが長くて引用しにくいので一部省略しました。放送の監督を総務省から独立行政委員会に移行するという考えは民進党と全く同じですね。なお、日本放送協会に関する記述がある党はここだけでした。
社会民主党
アニメや漫画などのクリエーター、プログラマー、デザイナーの賃金・労働条件の実態把握と雇用環境の改善に取り組み、離職者の再就職を支援します。
言論や報道の自由を侵害するメディア規制の動きに反対します。
かなり簡潔な内容しかありません。が、社民党の政策は明らかに税・経済関連に力を注いだものとなっており、他は二の次なのでしょう。無視されずに書いてあるだけマシとも言えます。
生活の党と山本太郎となかまたち
なし
冒頭あいさつにに"本来、政権チェックが役割のメディアを萎縮させる発言等々・・・」と言った言葉はあるものの、政策集本文中には見当たりませんでした。矛盾を感じます。
おおさか維新の会
周波数オークション導入のため電波法を改正する。
電波利用料の引き下げで、電力のスマートメーター、遠隔医療はじめ経とうな通信サービスの開花を促す。
周波数オークションとは、民進党の掲げる電波オークションと同じものとみていいでしょう。また電波利用料の引き下げも行うと言う点も同じです。電波利用料の引き下げ分をオークション収入で補う、という発想は表裏一体のようですね。
新党改革
日本には閉塞感が渦巻いていますが、世界に向けて発信している文化・産業には活気が満ち溢れています。その代表といえるのが、アニメ・ドラマ・音楽・映画・ファッションです。1990 年代後半から海外進出が急拡大しました。これら日本の文化を海外にもっと効果的かつ積極的に発信し、クールジャパンとして競争優位性を高めることで、ビジネスとしての文化戦略を実行していきます。
簡潔になってはいますが、自民党の考えとほぼ同じ、あれらコンテンツは海外に売り込むべきと言う主張になっています。なお、新党改革代表の荒井広幸氏はあのエコポイントを考え、実行させたことが自慢らしく、サイト内でも政策集本文中でもたびたび誇っていました。
日本のこころを大切にする党
なし
見つかりませんでした。立候補者の中にはこちらの分野の専門家もいるようですが、党として公約を掲げるほどの関心はないようです。
幸福実現党
電波オークションの導入
競争入札方式で落札した事業者に周波数を与える電波オークションの導入により、電波利用の開放と効率性の向上を推進します。
民進党・おおさか維新の会同様の電波オークションが挙げられていますが、利用料に関しては触れられていませんでした。
国民怒りの声
自由な言論空間を回復する
私たち人間は、皆、本来的に各自個性的な存在である。
だが、共同生活を進めて行くために、意見を集約してひとつの方針にまとめて行かなければならない。だからこそ、異論をぶつけ合える自由な言論空間なしに民主政治は成り立たない。
ところが、最近のわが国では異論を許さない空気が支配してしまっている。自由な言論空間を回復する方法はただひとつ、政府はメディアに対する直接・間接の介入を止める。それで十分である。
具体的な提案はありませんが、民進党・共産党の上げる独立委員会に放送監督権を移す、に近いものと考えておきます。
全くの余談ですが、当初同党からは俳優の宝田明氏か出馬を予定していました。宝田明氏は映画「ゴジラ」に出演したことを前面に押し出して選挙戦を行うようでしたが、直前になって取りやめになりました。「ゴジラ」を政治的メッセージに使うことなく済んで、個人的には本当に良かったと思っています。
とりあえず上げてみました。大雑把に見て
・放送規格・映像コンテンツは海外に売り出す(自民党・新党改革)
・放送の監督権を総務大臣から切り離す(民進党・共産党・国民怒りの声)
・電波オークションを導入する(民進党・大阪維新の会・幸福実現党)
この3つが主な項目として挙げられます。
海外展開は、見方を変えれば国内軽視とも取れ、国内の現状の流れを変える必要なしと考えている感があります。海外に売れるものは積極的に振興するが、国内需要しか満たさないものは排除する、ということにならなければいいのですが。
総務省の監督権云々の問題は、少し前の高市総務大臣の発言を踏まえたものでしょう。省略しましたが共産党の政策にははっきりとそれが書かれています。あの発言は主に総務大臣視点から見た政治的公平性を要求し、警告する、改善しなければ電波停止措置を取ることもありうる、その判断は一番組だけでも行えるという趣旨の発言だったと思いますが、総務大臣でもそれは簡単ではないのですね。放送法百七十四条には総務大臣による業務の停止命令ができる、とある項目ですがその中に"特定地上基幹放送事業者を除く"とはっきり書かれています。この特定地上基幹放送事業者は、第二条二十二項によると"自己の地上基幹放送の業務に用いる放送局の免許を受けた者"とあります。ようするに地上波のテレビとラジオは放送法に違反したところで総務大臣から業務停止命令を受けない特権を持っている、ということなんです。一応同様の存在として電波法第七十六条に「総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法 若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」とあったりします。なぜか放送法の違反を総務大臣に限り電波法でさばけるとあるんです。まぁ放送法は放送の業務の停止、電波法は電波の制限や無線局の運用の停止とありますから厳密に言えば処分方法は違うわけですし、制限できるだけで電波を停止させることができると言うわけでもありませんが、法をまたいで罰則を施行できる権限を大臣に限って持っているあたり、なんか納得いかないものを感じます。放送局も第四条の解釈だとか言ってないで、ここら辺の矛盾やおかしさの方を追及すればいいんですよ、地上波は放送法で特別扱いされてるんだって報道で訴えればいい。
話それましたね。電波オークションは諸外国では割と普通に行われている制度だそうです。が、個人的には必ずしも賛成はしていません。オークションで完全オープンになれば一部の人間しか活用できない電波が多くの周波数を占めることになりかねませんからね。諸外国がどうしているのか知りませんが、日本の場合たとえ導入してもオークション参加の基準が厳しくなる制度になるでしょう。実質現行の総務省審査方式と変わらない、ある程度絞ったうえで最後の判断だけお金にゆだねる、ということになるんじゃないかと思います。
かなり好き勝手なことも書いちゃいましたが、大切な一票、ぜひ行ってください。その判断基準の片隅にでも、放送規格・映像コンテンツのことを置いてみてくださいね。
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