録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

バカを突き抜けた狂気 「フランケンフッカー」

2022-09-18 10:44:33 | 特撮・モンスター映画
全く関係ない話から。
今年の夏は予想通り暑かったですし、台風の影響もあって地域によっては未だに暑かったりしてますね。で、その季節にありがちなのがPCのHDDの故障(泣)。今のHDDは昔のように少々無理をしてでも高速を追求したりせず、低めの回転速度で安定性を重視する構造になっているので夏の暑さでもそう簡単に壊れたりしない、という話もありますが、やはりわたしの場合故障率が上がる気がします。
手持ちのPCのHDDの一台が、接続しているとPCのOSが起動しなくなるレベルでおかしくなったんです。リセットボタンを押すとやっとOSが起動するんですが、その場合該当のHDDがOSからは見えなくなっている、つまりアクセスしなくなったから起動できた、という状況になっちゃったんです。まぁここまで来た故障の場合HDDはもちろん中のデータもあきらめてしまうのが筋なんでしょうが、今回の故障は頑張ればファイルの救済が出来たのである意味質が悪いものでした。原因は分かりませんが、電源を入れて初めの数個分のファイルのアクセスは問題なくできて、それ以上になるとアクセスできなくなっておかしくなってしまう・・・という現象になっていたのです。したがって、該当HDDを内蔵から外してUSB経由で外付けにし、PCのOSが起動してからHDDの電源を入れれば中のファイルにアクセスできたのです。しかもアクセスがおかしくなるのが容量に一切関係なくファイルの個数(もしくはファイル単位のアクセスの回数)のため、細かいファイルがたくさん入っているフリーソフトのフォルダとかを移動させようとすると一瞬で読めなくなりますが、録画ファイルのような巨大容量だとたとえ1ファイル30GBだったとしても少なくともそのファイルをコピーないし移動し終えるまではHDDが読めなくなったりは決してしなかったんです。なのでフリーソフトとかはまた落とせばいいからあきらめて、動画ファイルだけフォルダごと別のHDDに移動させて救出することにしたのです。その場合でも5ファイル前後移動させると読めなくなるので、その都度HDDを差し込んだUSBアダプタの電源を切り、また電源を入れなおせばアクセスが復活するのでまた移動させて・・・を延々と繰り返していました。入れ直しの回数は少なくとも数十回、実質百回以上電源を切っては入れ直しを繰り返したでしょうか。なんとか救出できるに越したことはない動画ファイルを全部他のHDDに移すことに成功しました。そのうちのいくつかのファイルを無差別にアクセスして正常かどうか試したところ全部問題なかったので他のも大丈夫でしょう。
さらにもう一台、別のPCがHDDのアクセス速度がPIO接続でもしているのか? と思うくらい極端に遅くなる現象も発生していましたが、こちらはHDDが原因ではなくSATAのケーブルがおかしくなったためでした。ケーブルの交換で問題なく動作するようになっています。

この作業に一週間もとらわれて他の作業が滞ってしまいました。なにせ手順を守ればファイルを取り出せるのですから、それを終わらせたいという欲求が頭の中で最優先を占めてしまうのですよ。おかげでもう少し前に届いていたこの映画のBDを鑑賞するのがすっかり遅れてしまいました。と、いうわけで本日のお題はわたしが円盤を監督買いする監督の一人、「バスケットケース」シリーズのフランク・ヘネンロッター作品「フランケンフッカー」です。

 
特典として表にかぶさっている紙ケースはかつてVHSで発売されていた同作のパッケージを再現したものとなっており、スペースの足りないサイドはテープがはみ出たデザインとなっていて、なかなかいいです。古い映画を円盤化する際にはどんどんやってほしいデザインです。そのため翻訳が違っている部分が存在します。BDの本編中では「外反母趾」とされている足のパーツの不満部分がパッケージでは「魚の目」と書かれているのです。その直後やすりで削っているところを見ると魚の目の方が正しい気がしますが、ひょっとしたら翻訳では外反母趾の方が正しいのかも知れません。
表には「「バスケットケース1、2」の鬼才フランク・ヘネンロッター監督が放つ」とあり、「なんで「3」を無視するんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!」と憤慨。ただ、これはVHSソフト販売時点では「バスケットケース3」はまだ公開されていなかったのが理由のようなので一安心。
パッケージの書き方やそれまでの評価のされ方からみて、本作は当然バカ映画として製作されたものだと見ていました。ただ、同じようにバカ映画だと思って観た本作より2年前に作られた「ブレインダメージ」が思ったよりまともなB級ホラー映画だったのでひょっとして本作も・・・という期待もありました。

序盤は実際そんな感じもありました。事故で婚約者のエリザベスがバラバラになって死ぬ、という悲劇を経験した医学と電気機器の知識を持つ主人公、ジェフリー・フランケン。つまり「フランケンフッカー」というタイトルは彼の苗字とフッカー(娼婦)の組み合わせというわけです。もちろん名前の由来は「フランケンシュタイン」からなんでしょうが。その彼は頭部を始めとしたエリザベスの体のうち回収できた部分を保管しており、彼女をよみがえらせるべく家に引きこもって研究を続けていたのでした、という割と典型的なマッドサイエンティスト型ホラー展開。設計図にエリザベスの顔写真を貼ってあることを除けばそれなりにリアリティを感じる研究の展開を始め、演出もなかなか良くてやはり真面目に作ったB級ホラーか・・・と頭を切り替えておりました。しいて言うならジェフリーが頭をはっきりさせるための手段が自分の頭にドリルを挿す(!)点であるところですが、これは主人公が序盤から脳の、おそらく人工的に作った脳を使った研究を行っていた副産物であると考えれば許容範囲。気になった点は「ブレインダメージ」の造形がブヨブヨ感があっていい意味で不快感を感じるものだったのに対し本作の、エリザベスの頭部を始めとする造形は固い感触を感じる、いかにもマネキンというものでちょっと残念。BDによってなされた高画質化がその作り物感に輪をかけて浮き出させてしまっています。まぁものが人体なだけに歯止めがあったのかも知れません。
と、序盤はまともなのが中盤からちょっとおかしくなっていきます。失ったエリザベスの体を人工的な再現だけではなく、他の女の体を使おうと考えます。「どうせいつかは死ぬ。それが少し早まるだけだ」というような極めて身勝手なセリフを言い訳に怪しさ爆発の娼婦街にありったけの貯金を持ちだし、オンボロの自動車にのって娼婦を集めにいきます。数人の中から一番いいのを選ぼうというわけです。その時に籠ったホテル、ひょっとして「バスケットケース」のアパートホテルと同じ物件? 違うかも知れませんが、そういうところに籠ります。その際に一応言い訳の理由にしていたとはいえ、ジェフリーは白衣を着てお医者さんごっこを始めるので、「ああ、壊れた、やっぱりバカ映画だった。もちろんそれはそれでいいけど」と気分を切り替えて鑑賞継続。その際にカバンに隠していたクラックを見つけられてしまい、娼婦たちはいっせいにそれに群がって吸い始めてしまいます。実はこのクラック、エリザベスの部品にするための娼婦を殺すために強化した改造クラックで、しかも失敗作。そんなものを全員で一斉に吸い始めた娼婦たちは次々と・・・倒れるのではなく、なんと爆発します。多分ここは世間では「わけがわからん」「発想がバカ」と失笑を買うシーンなんでしょう。でも、わたしは笑えませんでした。実際の爆発は改造したマネキンを使っているでしょうし、その瞬間に造形物であることは分かるのですが、実際の人物との編集を使った入れ替えがなかなか巧で見ごたえのものである点も一つあります。が、もっと大きな理由は全くのモブやイメージ映像ならともかく仮にもそこまで数分間映像に出続けていた人物の死亡シーンの描き方です。間違いなく演出側もリアリティを重視するよりバカっぽく作って「ほらバカ映画だろ、笑え」というのが意図だと思います。でも、人の死というのは恐ろしく、あるいは悲しく描くべきなんです。そこをバカに描いた、というやり方に映画の内容ではなく演出陣に狂気を感じてしまいました。
その考えが間違っていなかったと思われるのがクライマックスに登場する怪物(そう呼ぶことにします)。あえて外見や正体には触れませんが、そのおぞましさたるや絶対正気では造形することも演出することも出来ないシロモノです。BD化したのはこの怪物をより高画質で描きたいから、が最大の理由だったのかも知れません。これと比べたら、もう一人の主人公たる復活したエリザベスもそれほどインパクトをもたらさないものでしかありませんでした。
本作は監督の演出方向としては、あきらかに「バスケットケース2」につながる作品です。映画に出演する演者はその登場人物になりきるべく役作りをしますが、ひょっとしたら本作は監督が自らを「狂人」になって作品を作ろうと役作りをしてから挑んだ作品なのかも知れません。そうでもしないとああはならないんじゃないか、なんて思ってしまいます。
最初見ていた時は「おっぱいもポロリ、首もポロリ、で「究極の「ポロリもあるよ」映画、とかのサブタイトルにしようかな」と考えていたのですが、書いているうちにそれが全くできなくなるほどクライマックスは強烈で、オチもどうでもよくなる作品でした。わたしの趣味をもってしても何度も見たいとは思えない作品ですので、視聴はいろんな意味で要注意。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 訂正:録画補償金からディス... | トップ | Windows11 22H2の罠 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Beep)
2022-09-19 00:01:26
夏といえば熱さもあるけど、雷からの停電コンボが怖いかも。
録画PCにUPS付けてるから復旧すれば多分問題ないでしょうけど

https://www.logitec.co.jp/data_recovery/column/vol111/
最近のHDDは、SMR方式という一種のフラッシュメモリ的な書き込みをしているので、特定の部分以上に壊れるかも?

>PCのOSが起動しなくなる
前回の書き込みの後で、同様に常用しているPCが起動しなくなりました。
BIOSのPOSTすらしない、再起動させようと電源ボタン長押しも、リセットボタンも効かない。日曜の夜なので諦めました。
結局、次の休みに全バラ、ついでにi3-7100から買っておいたi5-7400(中古)に変更しました。
何故かM/Bのサウンドが使えなくて、仕方なくディスプレイの出力からスピーカーに繋いでいたのも治ってラッキー♪

>フリーソフトとかはまた落とせばいいから
大容量のファイルコピー、移動にFireFileCopy使っているんですが、公開終了しているんですね。
あちこちのPCに残ってるから問題ないけど、さすがに次を探すべきかな

>PIO接続でもしているのか?
https://aprico-media.com/posts/4558
へー、PIO病って昔あったけど、Win10にもあるんだ(ほんまかいな)

>究極の「ポロリもあるよ
隣の部屋のPCがネットワークから見えなくなったので調べたら、OAタップの電源スイッチが中にポロリしてました。
直ぐに気が付いたから良かったけど、不在時や就寝中だったらと考えると怖いポロリです。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06515/
↑こんなこともあるんですね。

P.S.
ヘルドッグスすごく面白かったです。キャストが濃すぎる
返信する
Unknown (krmmk3)
2022-09-21 00:01:11
>Beepさん
CMRのHDDにこだわる人もいるみたいですね。わたしんとこは通販頼りなので適当に買ったのがまずかったのかも知れません。
今回の減少はヘタにコピーソフト使うと止まる原因になるのでエクスプローラー頼みでした。
今のHDDはPIO持ってないんじゃないですかね。
ポロリはホビーの中に限りますね。
そろそろ劇場で映画みたいなぁ。ヘルドッグスもいいな。
返信する

コメントを投稿

特撮・モンスター映画」カテゴリの最新記事