わたしの仕事である中古取り扱い業には一般的自営業と大きな違いはなにかと考えると、その一つに「ただの一般人が平気でサギや恐喝を行ってきてお金を不当に奪おうとする」ことが多いことがあります。一般のお店でそれをやろうとすると明らかな犯罪行為ですが、中古品取扱業の場合お客さんにお金を渡すことが多いため、そこからなら騙したり脅したりしてお金を取っても「店の自己責任」だ、と思われやすいからでしょう。なので最低限の腕っぷしとハッタリの効く武器、それに脅しに負けない性根の悪さなどが必需品だったりします。
で、わたしに明らかに押されだした時にその手の人たちがよく言うセリフが「警察呼ぶぞ」「警察に訴えてやる」です。これがなんで脅しになるのか一時わかりませんでした。警察呼ばれたくらいでなんでわたしが不当なお金を出す気になると思ってるんでしょうか。少なくともその場や商売で悪い事は絶対していない自覚はありますし、その状況で警察呼ばれたところで全然怖くありません。警察は脅しに使える暴力組織でもなければ通報した人間の言いなりになって非合法的活動もしてくれる便利屋でもありません。立派な公務員の、法を守って地域や日本の治安を守ることを仕事にしている人たちの所属する組織です。仮に「警察呼ぶぞ」が脅しに使える相手があるとしたら、それは日ごろから警察に厄介になるような行動をしている人の方ではないでしょうか。
なのでその「警察呼ぶぞ」も大抵わたしの「はい、どうぞ」の一言で終わりで呼ぶことはしないんですが、ごくまれに実際に呼ばれることもあります。その時感じる感情はもちろん恐怖などではなく怒り。警察を呼ばれるということはこちらを犯罪者扱いしているということなので、ものすごく腹が立つんです。しかも仮にも110番通報で警官が出動した以上、おそらく警察に記録が残され、その際に当店の名前が記載されるかも知れません。そうだったら酷い汚点が残るわけです。後で記録を確認した際に出動場所に当店の名があったら細かい事情を知らない警察官がそういう目でウチを見るじゃないですか。実際の通報の方は、警察官の方はまず一目で事情を察知してくれるのでアチラを適当にあしらい、「ああいう人もいるんだから気を付けて商売しなくちゃダメだよ」と言うだけで終わるんですが、それだけに詳細までは記録に記載されないでしょうし。
ただし、一度だけ警察の通報で実際にこちらが注意を受けたことがあります。理由はなんと計量法違反の疑い。
わたしではなく父親が店をやっていた時の話なんですが、その時はあまり貴金属を重視しておらず、かつ0.1g単位ではかれるような電子量りもなかったので匁(もんめ)量りを使っていたんです。匁は尺貫法に属する重さの単位で、一匁は3.75g。これで重さを計っていました。これの何が悪いのかと言うと、計量法の改正でメートル法に統一すべく尺貫法の取引や証明での使用が禁止されたからなんです。ただ、あくまで取引や証明での使用が禁止されただけで個人的に使う分にはお咎めなく、かつウチの場合も3.75を掛けてグラムに直し(端数は適当に調整)てから計算していたので取引には使っていない、と思っていたのですが、そのグラムの根拠が匁である以上尺貫法を取引のデータとして使っている、と言えなくもありません。ちなみにこれも一般市民からの「あの店では匁量りを使う違法行為が行われている」という通報からだったそうです。通報である以上警察としても一応確認する必要がある、とのことで来たのですが
「まぁ、その、なんだ、一応違法かも知れないので使わない方がいいよ(苦笑)」
程度だったようです。そりゃそうだ。土地の単位として尺貫法の坪はいまだに使われていますし、本来警察がわざわざ調べるようなものでもないでしょう。この通報が行われたキッカケがなんだったかはわかりませんが、ひょっとしたら嫌がらせ目的があったのかも知れません。現在は当然100%合法なグラムで重さを出す電子量りを使っています。
これからはわたしも「警察呼ぶぞ」と言われたら「警察は暇じゃないんですから迷惑ですよ」と言うことにしましょう。「どうぞ」は相手の脅しが効いていないことを示すにはいいですが、怒りを買って本気で110番されることが増えたら業務妨害ものですし、「迷惑ですよ」の方がわたしの怒りを抑える効果があるかも知れませんし。
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