読書とかいろいろ日記

読書日記を中心に、日々のあれこれを綴ります。

『佐野洋子の「なに食ってんだ」』 オフィス・ジロチョー:編 佐野洋子

2019年11月15日 | 読書日記

『佐野洋子の「なに食ってんだ」』 オフィス・ジロチョー:編 佐野洋子
¥1,800+税 NHK出版 2018/3/10発行
ISBN978-4-14-081731-5

佐野洋子の絵本、童話、エッセイなどから食べることについての記述を抜き出してまとめた本。

幼いころの佐野洋子から、若いころ、年を重ねたころ、いろんな佐野洋子の写真が現れる。各種の料理、それにイラスト、もちろん文章。

 


『ネット右翼とは何か』 樋口直人/永吉希久子/松谷満/倉橋耕平/ファビアン・シェーファー/山口智美

2019年11月12日 | 読書日記

『ネット右翼とは何か』 樋口直人/永吉希久子/松谷満/倉橋耕平/ファビアン・シェーファー/山口智美
¥1,600+税 青弓社 2019/5/28発行
ISBN978-4-7872-3454-4

> 個人情報(ライフログ)と利便性をトレードオフするインターネットの仕組みは、アルゴリズムを用いて情報をパーソナライズする方法を洗練させ、ユーザー一人ひとりの端末それぞれに向けての「おすすめ」や「広告」を提示するシステムが主流になる。その結果ユーザーは「見たいものしか見ない」で自分の世界に「閉じこもる」ことになり、ホモフィリー(同質選好)のエコーチェンバー(共鳴空間)のなかで同質的なユーザーとだけ共振する空間へとインターネットは変容した。(108頁 第4章 ネット右翼と参加型文化 倉橋耕平)

 

そうして思い込みは強化され、自分以外みんなバカの構図が確立し、歪みは正されることなく突き進む。

うーん。であっても、理解不能ではあるなあ。
種類を問わずすべての「差別」を生理的に不快に感じてしまうのは、理屈ではない。その逆に、あらゆるものに差別をしたがる感覚……。しかもそれを隠そうともせず、正しいと信じてオープンにして声高に叫べる感覚。わからん。

 


『自由思考』 中村文則

2019年11月08日 | 読書日記

『自由思考』 中村文則
¥1,400+税 河出書房新社 2019/7/30発行
ISBN978-4-309-02814-9

……おもしろかった!!

うわ、びっくりした。中村文則はずっと気になっていた作家なのだけど、純文学系に苦手意識のある私としては手に取るのに勢いが必要というか、手を出しあぐねていたのだよね。本書はエッセイ集ということで、これならば、と読んでみたらこれがまあ、おもしろいったら。

これは、小説も読まねばなるまい。

 

 

> 最近、自分がいつから歪んだのか考えているのだけど、どうやら根は深いようである。今思い出したけど、現在小説家である僕が初めて書いた物語は、多分小学一年生の時の、「浦島次郎」という話だった。浦島次郎は老人にされた兄への復讐で亀を脅し、竜宮城へ乗り込む途中で亀の策略にあい溺死し、老人になってしょんぼりしている兄の元にその遺骨が慣れてくるというシュールな物語である。(24頁)

小学一年でこのストーリーを考えたというのか!
中村すげえ…!

 

ドストエフスキーと太宰治をこよなく愛する中村文則。
太宰は高校の頃にほとんど義務感のように読んで、おもしろいと思いはしたが、引き込まれるとまでは行かなかった私としては、私の感受性というのはしょせんこんなもんだなと思う。熱く語る中村文則は、小説家になるべくしてなった人の文学への愛を感じる。中村の文を読んでるとドストエフスキーおもしろそうかも、読んでみようかなという錯覚を覚える。いや、私が読んでもたぶん中村のようには楽しめないから。残念なことに。

 

> 文学は国や政治や時代を超え、人を救う。(287頁)


『ホロヴィッツ・ピアノの秘密』 髙木裕

2019年11月01日 | 読書日記

『ホロヴィッツ・ピアノの秘密 調律師がピアノをプロデュースする』 髙木裕
¥1,800+税b 音楽之友社 2019/6/19発行
ISBN978-4-276-21059-2

そうか、ピアノってそんなに制作年代によって音が違うのか。というか、一台一台違うのか。
調律って薄紙一枚で云々って思ってたけど、そういうんでもないんだ。
いろいろ勉強になりました! 

29頁の〈ローズウッド〉との出会いのエピソードはいいな~。
大喜びのホロヴィッツ。居合わせた人たちはなんて幸運だったんだろう!

ピアノって、ていうかピアノに限らないけど、楽器は奥が深いなあ。
ていうか、更に楽器に限らないわけだけど。
何についても、なにかを知ると、そこにはさらになにかがある。
世の中、知りたいことがいっぱいだ。


『パリの「赤いバラ」と言われた女』 遠藤突無也

2019年10月23日 | 読書日記

『パリの「赤いバラ」と言われた女 日本初の国際女優 谷洋子の生涯』 遠藤突無也
¥2,000+税 さくら舎 2019/8/11発行
ISBN978-4-86581-2209-1

美人の家系。
鏑木清方の「築地明石町」のモデルが、洋子の祖母・万世だという。おやおや。

谷洋子という名を聞いたことはなかったけれど、興味深く読みました。


『コケはなぜに美しい』 大石善隆

2019年10月17日 | 読書日記

『コケはなぜに美しい』 大石善隆
¥1,200+税 NHK出版(NHK出版新書588) 2019/6/10発行
ISBN978-4-14-088588-8

コケブーム。
私も苔玉を持っている。瀕死ですが。ていうか、もう枯れてるのかも……。蘇生してくれるだろうか。毎日ハラハラです。
苔の美しさを愛でる、カラー写真満載の一冊。
しかし写真がアップで美しすぎて、参考にならん。普段目にする道端の苔がどれなのかよくわかんないー。
文章は軽妙で面白い。今どきは大学の先生も面白おかしい文章をかけなきゃなのねー。

> 神社ならではのコケの見どころは、狛犬である。ただ、これは生物学とは全く無関係で、完全に私の趣味だ。神社にいくと、コケよりも懸命に狛犬を探しており、もはや何の研究をしているのかわからない。(113頁)

114頁のコケに覆われた狛犬がすてき!
うちの近所ではさすがにないなー。てことは、うちの近所はちゃんと清掃してるってことか。神職さん方、お疲れ様です。ちょっとサボってくれてもいいよ(笑)。


『釜ヶ崎合唱団』 釜ヶ崎炊き出しの会:編

2019年10月11日 | 読書日記

『釜ヶ崎合唱団 労働者たちが波乱の人生を語った』 釜ヶ崎炊き出しの会:編
¥2,500+税 ブレーンセンター 2018/12/10発行
ISBN978-4-8339-0552-7

合唱サークル作って、歌う中で安寧を得た労働者たち……みたいな内容をタイトルから勝手に連想してたら、全然歌ってません。釜ヶ崎炊き出しの会が発行している機関誌『絆通信』に掲載してきた《こんにちは、がんばってます!》というコーナーを編集したもの。労働者たち、サポーターたち、読者たちが語ってます。様々な人々が語る様々な人生が織りなすハーモニー。ああ、これが合唱団だったのか。

 


『ソウルメイト』 馳星周

2019年10月10日 | 読書日記

『ソウルメイト』 馳星周
¥1,600+税 集英社 2013/6/10発行
ISBN978-4-08-771515-6

『ゴールデン街コーリング』で久しぶりに馳星周を読んだので、作者つながりでもう一冊。
馳星周の犬好きは有名ですが、こんな本も出してたのね。
私は犬も猫も好きだけど、飼いたいとは思ってなくて、こういう魂の触れ合いレベルは正直よくわからない。わからないからこそ憧れるという部分ももちろんあって、この本もうっとりと読みました。泣けた…!


『胎児のはなし』 増﨑英明 最相葉月

2019年10月08日 | 読書日記

『胎児のはなし』 増﨑英明 最相葉月
¥1,900+税 ミシマ社 2019/2/4発行
ISBN978-4-909394-0

増﨑先生、ステキ。
妊娠・出産で精神的に不安定になった時、こんな先生が主治医で励ましてくれたら患者は力強いだろうなあ~。

> お産って半分おまじないみたいなところがあっていろんなものが入り込みやすいんです。一つが、母乳ですよ。どんなことをしてでも母乳だけで育てるとか、意地になって母乳出すとか。いいじゃん、ミルクで。きわめて上等なミルクができとんのに、そんなぎゅーぎゅーきつか目にあわんで。母乳が出るならあげればいいし、出ないならミルクをあげればいい。それより子育てを楽しまんねといいたいね。(227-228頁)

うんうん、同感。
楽しまなきゃだよねー。
楽しめないと、育児鬱になる…。それは不幸。誰にとっても。

 

 

 

> 先生 新生児は、大人の三千倍しゃっくりやってるって書いた論文を読んだことありますよ。
> 最相 三千倍?
> 先生 なんてつまんないこと調べるんだと思って、ついうれしくなった。(140頁)

いいなあ、先生! バカバカしいことを楽しめる感覚がすてき(≧▽≦)。

 

> 先生 エイズって、お母さんがエイズになると、胎児も一定の確率で先天的にエイズになるんです。普通にお産すると20~40パーセントくらいです。でも、陣痛が来る前に帝王切開で生まれると2パーセントくらいまでガタンと減るんですよ。もちろん帝王切開だけでなく、抗ウイルス療法とかも必要ですが。おそらく出産で子宮がぐーっと収縮するときに母体のウイルスを胎児に押し込んでるんです。(183-184頁)

これで先天性のエイズ患者がガタ減りしたという。すげ。
陣痛がくると、母親のDNAが胎児に行く。陣痛がくる前にも、微量ながら母親から胎児へDNAが行っている。胎児から母親へも流れている。そして胎児のDNAは父親からも受け取っているわけだから、母親は胎児を通して父親のDNAも受け取っているのだ!
夫婦は血のつながりがないけど、DNAはつながってるんだよー。

胎児経由だけでなく、セックスだけでも父親の精子由来のY染色体が母親に流れているらしい。X染色体も流れてるんだろうけど、それは検査では調べようがないので予測のみ。
うわー。すごい話だなあ。

 

おもしろかったです!