『オランダ商館長が見た 江戸の災害』 フレデリック・クレインス・著 磯田道史・解説
¥960+税 講談社(講談社現代新書) 2019/12/20発行
ISBN978-4-06-518179-9
鎖国時、出島のオランダ商館では毎年商会長が新たに着任し、江戸参府するのが恒例だった。
そのタイミングで明暦の大火に出くわしてしまった商館長ワーヘナール。炎に追われて逃げ惑う。
古地図が掲載され、火の手がどう進んだか、人々がどう逃げたか、解説が分かりやすい。そうか、明暦の大火ってこんな感じだったんだ。臨場感がある。
「将軍の御殿の後ろ側の三の丸に会った、小判で覆われていたイルカのある美しい塔は見えなかった」
金のしゃちほこをイルカと呼ぶワーヘナール。なぜイルカ。
元禄地震に見舞われた直後の江戸に参府したのはタント、宝永地震についての見聞を残したのはメンシング、備前長崎地震で怯えまくったハルトヒ、京都天明の大火にはファン・レーデ…。
毎年長崎と江戸を往復してれば、そりゃ当時の日本の大方の災害にはなにかしらの形で接するよな。
皆が口をそろえて言うのは、日本人の明るさ。
火事の最中、地震のさなかはもちろん日本人も泣き叫んで逃げ惑うのだけど、小康状態でオランダ人たちが神に祈って震えているときに、日本人は面白おかしく笑い話にするのだという。災害とともに生きるしかない、笑うしかない日本人のメンタリティをオランダ人たちは驚き、感心している。
そして彼らの日記はオランダをはじめヨーロッパで読まれ、日本は災害大国として知られていたのだという。
この頃からかー。
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