神戸大学オフショアセーリング部

神戸大学体育会所属「神戸大学オフショアセーリング部(KUOSC)」のブログです

2019 J/24全日本 総まとめ

2019年10月02日 | J/24クラス全日本選手権

第39回J/24クラス全日本選手権

Team KOBE MD レポート

 

来年以降の全日本挑戦の役に立てばと思い、

ヘルムス兼スキッパーの沢口が書きます。

文章だけの、ただただ文章だけのレポートみたいなものなのです。

 

まず概要から

 

深江のポンドにて管理しているKOBE MDを福岡小戸まで陸送して参加。

これまでは10年前の2009年の西宮で行われた全日本にECLで宮田さんがスキッパーとして挑戦して以来、参加していない年もあるけれども、私が把握している限りでは2コ上の東浦さんが2017年の関西選手権・全日本に2-4年生で挑み、宮田さんが2018年の全日本にOB主体で挑み(東浦さんも同乗)ましたが、どれもチャーターでセールのみ持参しての参加でした。

KOBE MDは過去何度かにわたって全日本に挑戦した経緯があり、KUOSCにやってきたのは2016年。和歌山でJ/24世界選手権(いわゆるワールド)があった年に当時3年生だった藤野さん、東浦さんたちが引き受けています。当時まだMDを入れてもj/24は4艇。その後ほどなくしてfantasian、Clarisの順に深江にやってきました。私が調べたところではおそらくMDは16年の全日本終了後に。Clarisは16年のワールド終了後にきています。

2016年からのMDの扱いは、練習艇というもので、fantasianは2018年に練習艇として本格的に使用され、Clarisは全日本を見据えながら保管されていました。2019年の今年、当初はClarisの使用を考えていました。

神戸須磨ヨットクラブ主催の宝船レガッタ(4年に一度、行われるレガッタ。須磨YCはアメリカのシアトルYCと姉妹関係にあり、その友好のしるしとして宝船レガッタという形でレースを行っています。次の4年後はシアトルで行われます)でJ/24のワンデザインレースをするということで須磨にあるJ/24(HANGOVER, UPWIND,COWBELL,いちもくさん)に加え、KUOSC所有のKOBE MD,fantasianの2艇を加えた計6艇でレースが行われました。

そこでMDが異様な速さを見せたために懇意にしていただいているHANGOVERの飯塚さんの助言もあり、MDで全日本に挑戦することになりました。

 

さしあたっての問題は、船底とマストカラーの調整でした。

船底は、塗料をすべて落として#600で表面を仕上げ、マストをたてたときにJ長さがクラスルールに適合するようにマストカラーを調整しました。

そのほかにこまごまとやったことはありますが、取り上げるべきことはこのぐらいです。

 

さて、おそらくクラスルールという名前が出てきたので、知らないという人のために詳述しておきます。

J/24は今でも世界選手権が毎年開かれ、日本でも全日本選手権が毎年続いています。

F1のレギュレーションを引き合いにだせば理解が早いかもしれません。J/24クラスルールというレギュレーションがあります。たとえばスピンポールの全長は、これ以上はダメですよ、、重さは軽すぎてはダメですよ、、艇体重量は各種ハリヤードをつけたマストを積んだりした状態(ほんとはもっと細かく何を積んだ状態か明記されています)で1270kg以上じゃないとダメだよ、、、とかいう具合にルール付けされています。

今回全日本に出るにあたって最も神経を使ったのはこれらの部分です。

全日本では、クラスルールに適合しているかどうか確かめるために、計測が行われます。そのための計測委員会があり、今回は大会のだいぶ前から髙野ユンタさんという優しい御姉様に質問させてもらったりしていました。

これらに関する資料、たとえばクラスルールや計測するときの測り方のマニュアル(Measurement Manualといって図で示されていたりしてめちゃめちゃ便利で手離せません)などは神戸大のanioru用のGoogleドライブに全て残しています。IDとPassは各学年から引き継いで教えてもらってください。何か得た情報などはそこに溜めていくようにしてもらえればいいと思います。ちなみにKAZIのセーリング知識コラムを演習室が使えなくなるドタバタの中でなんとか一部だけですが、それでも十分勉強になる量を残しています。ぜひ参照してください。

 

さて、話がそれましたが、そろそろ大会4日間の話に移ります。

9/20:計測+プラクティス

9/21:レース

9/22:レース

9/23:レース+表彰式

日程としてはこのような形です。おそらく来年もこのようになるでしょう。

 

9/20

計測では、MDだけがフル計測となりました。それ以外の船は全て簡易計測のみ。理由はここ2,3年ずっと出ている船だからです。そのためかなり時間がかかりました。プラクティスは海保からの制約などのために中止となりました。

ちなみに、MDは船体重量1270kgぴったりでさすがに驚きました。でも、そもそも全日本に出ていた船なので当然といえば当然かもしれませんね。

 

9/21

3レース消化しました。

9/22

1レース消化しました

9/23

2レース消化しました。

 

ここからレースの内容を振り返りたいのですが、最初の4本と最後の2本で分けて話します。

最初の4本

まず第1レースからブロックの破損が相次いで起こりました。これは我々の管理不足でもありますが、練習艇の管理不足とみることもできます。注意してください。バングに使っていたブロックを減らしたりしてなんとか3レース走り切ったという具合です。

また、この大会に向けてロクに練習を重ねられなかったことがレースの随所に見受けられました。ヘルムとトリマーの責任ですが、タックのひどさは目を覆いたくなるほどでした。中風以上のコンディションでタックの練習をしこたまやるべきです。それにスピンアップも毎回ジェノアに引っ掛けてしまう始末で、来年挑戦するチームは4年生主体なので前期は切羽詰まるのは間違いないでしょうが、船底の仕事が減る分練習に回してアニオルに挑むぐらいの気持ちでやれば解決できるでしょう。

J/24のジェノアで走っているときのタックは、なるべく減らすのが定石ですが、我々はタックを打ちすぎていました。

また、スタートがてんでうまくいかなかったことも順位に響いていました。

和歌山カップで唯一実践的なスタート練習ができた記憶がありますが、ある理由で私はほんの2回しかできませんでした。次回の和歌山カップに挑む人たちは貴重なスタート練習の機会にもなるので、ぜひ習得して帰ってきてほしいです。

唯一救いようがあったのはアップウインドレグのボートスピードとしか言えません。

 

最終日の2本

この日の集中力はかなり高かったように記憶しています。学生でチームを組んで大会に出る最後のレースと心に決めていたことも原因の一つだったと思いますが、最後の日というのは不思議な力が出るものです。

まず大きく変わったのはスタートです。ようやっと落ち着いて自艇を並べることができるようになってきました。それでも間違いなく我々のスタートの技術は9チーム中最低水準だったと思います。次に変えたのはリグのテンションです。二日目はリグを落として走ったところ思っていたほどオーバーヒールがきつくなることがありませんでした。

最終日は台風通過後ということで風が落ちてくる予報だったわけですから、むしろ少しオーバー気味にするという対応をしました。実際最終レースの4レグ目からはかなり風が落ちました。

最終日の第1レースでは、最終レグの後半まで3番でフィニッシュできる位置にいましたが、惜しくも2つ順位を下げざるを得えませんでした。このあたりも未熟さが出ていましたが、このレースで得た情報は、月光チームはめちゃくちゃ速いということ、でも我々のボートスピードが4番手のFOXチームにも負けないものであり、スタートさえこけなければ十分4を取りに行けるということ、そしてもう一つは右へのシフトが継続しているということです。

特に右へのシフトはヘルムの私も感じていましたし、なによりタクティシャンがほぼ確信しているような感がありました。途中チャーリーが上がった時でも、右に居たいと切実なぐらいでした。

2本目は当然右へ伸ばすことを考えるわけですが、想像以上に右が混んでしまい2段目でのスタートを余儀なくされました。ですから、すぐさまタック。右へ伸ばすチームもほかに何チームかいましたが、それぞれ順位にかかわる相手をカバーするために左に返しては右へ返すという具合でしたが、我々はストラテジーを意識して右の戦士となったわけです。実際右へのシフトをとらえているのでまだ返せないな、、、という具合でもありました。

1レグ目の後半を過ぎたであろうところで、スタボを消費するために一度返し、トップであることを確信しつつ下受けでタック。あとはアプローチのみ考え、そのあとは独走しました。最終レグはSiestaの1秒ごとに少しずつ近づいてくる恐怖に怯えながら走っていましたが、アップウインドのボートスピードの力に感謝するような思いでした。

 

中風以上では、パフごとにジェノアで風を抜いてあげることが正解かもしれません。少なくとも僕らはそういう思考でやってうまくいった手ごたえがあります。またこのあたりは口頭で伝えられればとおもいます。

 

全レースを通して、スタートについては先に書いた通りですが、もう1点ダウンウインドレグのボートスピードはあまり速くなかったと思います。サーフィングの技術も磨かなければなりません。これも練習あるのみですね。

 

ヨットレースは熱意が本当に大事だなと思いました。船を陸送することもそうですし、福岡まで車で行くこともそうですが、やはり熱意がなくてはレースはできません。そのためにも、アニオル並みの高い意識で臨むことが必要になってくると思います。ワールドの出場権獲得を絶対目標と考えれば部の全日本へのイメージや取り組み方、はたまた部費の運用の仕方も変わってくるとおもいます。ぜひ全日本にも力を入れていってほしいと思います。

 

今回は出ることに重きを置いていたので特に後悔があるわけではないですし、最終日に予想以上の結果を得られたのでなおさら喜ばしい限りなのですが、、それでも、少しでもうまくなった状態で挑めば1つでも上の順位をとれたなぁと思ってしまうものです。

来年は艇数が増えるでしょう。そのため上位5位を取ることは今回ほど上手くはいかないと思います。ですが、練習を重ねて勝ちにこだわれば少なくとも僕ら以上に良いレースを行えると思っています。サポートはしますから、まずはアニオルを頑張ってもらって、全日本まで熱意を失わずに頑張ってください。

 

p.s.

ユンタさんが、出張計測をやってもいいよとおっしゃってくれています。今後和歌山で全日本があるときなんかに、2艇で出たいとかなったときに事前に深江で艇体重量計測などが可能です。そうじゃなくとも、艇差をなくすために各艇フル計測するのもアリというかぜひ1艇ずつでもいいので常にクラスルールに適合している状態で練習すれば今よりも艇差はなくなり技術力を養いやすくなると思います。ユンタさんを呼ばずとも、今回沢口がクラスルールを読みこんで事前に各測定行ったりもしたので協力できると思います。

今回博多のwhitesquallチームの白浜さんという方にとてもお世話になりました。来年の全日本などでご挨拶するようにしてください。また、全日本で困ったことがあれば相談に乗るよともおしゃってくださっているので、何かあった時、たとえば部品の破損で代替が利かなくなったとか。。。whitesquallチームを頼りにさせてもらってください。

関東のだぼはぜチームにも今回お世話になりました。関東フリートのレースに来ることがあれば、レース前日の土曜に練習いつでもウェルカムと言っていただいています。来年の全日本前に現地でJ/24をチャーターして練習するとか、来年は葉山なのでだいぶ前から葉山に陸送して、関東選手権などの関東のレースに出てみるのもいいかもしれません。


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