中学2年生の夏休みを病院で過ごした。
小さい頃からいろいろあって、よく病院通いしていたけれど
こんなに長く入院したのは初めてだった。
何冊も持って行った本はすぐに読み終えてしまったが
どんな本を読んだかは覚えていない。
そのうち、辞書を読むようになった。
今も、読む本がなくなると、いつの間にか辞書を読んでいる。
『舟を編む』という映画を見たいと思ったのは
辞書を、ことばの意味を調べるものとしてだけではなく
面白い読み物と感じていたことと関係があるのか…
『ことば』にこだわりはある。
そのことばの持つ、正しい意味を知ることは大切だと思う。
でもことばは、時代や使う世代によって、だいぶ違う使われ方もする。
辞書を編むのに10年も20年もかかるとしたら
ひとつのことばの持つ意味が、本来の意味とは違ってくるのではないか?
ことばそのものが変わるのではなく、使われ方が変わるということか?
そんなことを考えながら、映画を見た。
わたし以外のひと達は、この映画をどんなふうに見ていたのか。
何に惹かれてこの映画を見に来たのか、とも思う。
パンフレット
辞書に使われているのと同じ紙を使ったページがあって、手触りがとても良かった。
薄くて、しかも裏うつりしない、ぬめり感のある紙。
ことば…
わたしは今まで文章表現の中で、ことばの持つ正しい意味よりも
言い回しを気にすることの方が多かったように思う。
『初めにことばがあった。ことばは神であった…』
『人はパンだけで生きるのではなく、ただ神のことばによって生きる。』
今は、これらの聖書の箇所を思い起こしている。