モトログ ~ある診断士の終わりなき挑戦~

いま一番大切なのは無利子ではなく、迅速な資金繰り支援


SNSには書きましたが、反響が大きかったのでこちらにも転載。


どうもkurogenkokuです。


アプリでの追い掛け視聴にはなりましたが、NHKスペシャル「新型コロナウイルス どうなる緊急事態宣言 〜医療と経済の行方〜」を見ました。

資金が底を突きいよいよ後のなくなった経営者、融資の申込みをしようにも日本政策金融公庫には面談のアポが取れず、都の制度資金は早くて6月の面談と言われる。
悩んでいるのは経営者だけでなく、仕事を失った従業員もそう。ある派遣労働者の家族の手持ち資金は100円。社会福祉協議会の貸付を申し込むも振り込みは6営業日後。そんなと思うかもしれませんが、これが実態です。

補正予算で政策を拡充していただけるのは、もちろん賛成ですが、最重要課題は「どうしたら1日でも早く困っている方のところに資金を届けることができるか」、すなわちスピード感です。
大臣が「日本政策金融公庫の無担保・無利子融資について、既往取引先で少額であれば2営業日で入金されると聞いている」と発言されましたが、これはさすがに不可能です。いま日本政策金融公庫には爆発的な数の相談申込みが届いていて、職員が必死に対応していますが、人間としての限界を超えています。
先日、家賃補助について与野党の案(毎日新聞掲載)に迅速化という観点で実現性がないと記事を書きました。特に野党案は日本政策金融公庫を通じた資金供給を前提としたものであり、現場を理解した上での議論がなされないと解決策として成り立たないなぁと思った次第です。
加えて働き方改革がスタートしたことで、時間外労働の面での制約もあります。日本政策金融公庫が法令を遵守しようとすれば、資金供給にさらなるブレーキがかかるでしょう。

日本政策金融公庫の処理能力をこれ以上高めるのは現実的ではないので、ここは民間金融機関の活用を進めていくしかないかなと考えています。

4/21付けで金融庁から以下のような文書が発信されています。

https://www.fsa.go.jp/news/r1/ginkou/20200421.pdf

公庫の融資の実行までに時間がかかるので、そのつなぎ資金に民間金融機関が協力してほしいというものです。当該資金については、民間金融機関の融資後に公庫が借り換えすることも可能とあります。それであれば、民間金融機関のプロパー融資でとりあえず資金供給しておき、必要であれば、後から日本政策金融公庫の制度に振り替える。これまでになかったスキームですが、事業者にとっては臨時的な資金繰りの確保、日本政策金融公庫にとっては受付業務の負荷分散といったメリットもあります。


ところで経済産業省のホームページには民間金融機関による「保証料・金利ゼロ」の支援策が打ち出されています。制度そのものに異論はありません。むしろ大歓迎です。ただし、このスキームだとスピード感がないんです。




結局、民間金融機関による「保証料・金利ゼロ」の支援策は、既存のセーフティーネット4号、5号、危機関連保証の中に位置づけられているので、信用保証協会を通さなければなりません。1週間の運転資金しかない事業者がこの制度を申し込んだらどうでしょう。昨日の番組のように「6月にならないと受付できない」という事態が発生してしまうのです。



だから民間金融機関による、即日の「つなぎ融資」を組み合わせないと、スピード感という最重要課題に対する答えにならないと個人的に考えます。

ちなみに秩父市は民間金融機関と連携して、小口のプロパー融資を貸付する制度(1社当たり上限100万円)をつくると、市長が記者発表されました。総額3億円の枠のうち、半分を秩父市、半分を民間金融機関が出します。リスクを分担しながら、300事業所の緊急的な資金繰りを確保しようという素晴らしい取り組みです。秩父市長にもお礼を言いましたよ。
埼玉信用組合はゴールデンウィーク中、休まず融資業務を行うそうです。秩父商工会議所もゴールデンウィークは休まず電話相談を受け付けます。こうして一致団結して、迅速な資金繰りを後押しする取組みがいま一番重要なんです。



日本商工会議所の三村会頭も番組の中で、倒産はもちろん事業をやめてしまう人が増えるのが懸念されると発言されました。おっしゃる通りです。
全国の事業者や支援する立場の皆さんもいまが正念場です。頑張りましょう。

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