あの日も蒸し暑い夜だった。
物足りない気持ちのまま自宅に帰った麻衣は、家族に顔を合わせないまま風呂場へ行き、シャワーを浴びた。
今別れたばかりの和也の匂いを消すかのように、ボディーシャンプーの泡を体中に付けて擦っていた。
バスタオル一枚を体に巻きつけて二階の自室に上がり、灯りを点けないままクーラーのボタンを押した。
クーラーはなかなか冷たい風を送ってくれない。
閉め切った部屋は息が詰まりそうに暑い。
窓を開けて、前庭に植わっているケヤキの枝ごしに向こうを見ると、麻衣が勤めている銀行のある街一帯の空が薄いオレンジ色をして明るい。
麻衣の勤めている銀行は地方都市の中心にあり、自宅はそこから少し外れた郊外にあった。そこは500戸余りの集落で、家々はそれぞれに植木のある庭を持っていた。
麻衣は先ほどまでいた和也のアパートでのことを思い出していた。
あの熱い息使い、激しく気持ちを高揚させる和也の体の下で、以前の彼、修司の顔を思い浮かべていた。
年下の和也に心が添って行かないもどかしさのある中で、愛の行為は終わっていた。
「いつまで修二を想っているのよ。」
自分に言い聞かせるように呟いた。
物足りない気持ちのまま自宅に帰った麻衣は、家族に顔を合わせないまま風呂場へ行き、シャワーを浴びた。
今別れたばかりの和也の匂いを消すかのように、ボディーシャンプーの泡を体中に付けて擦っていた。
バスタオル一枚を体に巻きつけて二階の自室に上がり、灯りを点けないままクーラーのボタンを押した。
クーラーはなかなか冷たい風を送ってくれない。
閉め切った部屋は息が詰まりそうに暑い。
窓を開けて、前庭に植わっているケヤキの枝ごしに向こうを見ると、麻衣が勤めている銀行のある街一帯の空が薄いオレンジ色をして明るい。
麻衣の勤めている銀行は地方都市の中心にあり、自宅はそこから少し外れた郊外にあった。そこは500戸余りの集落で、家々はそれぞれに植木のある庭を持っていた。
麻衣は先ほどまでいた和也のアパートでのことを思い出していた。
あの熱い息使い、激しく気持ちを高揚させる和也の体の下で、以前の彼、修司の顔を思い浮かべていた。
年下の和也に心が添って行かないもどかしさのある中で、愛の行為は終わっていた。
「いつまで修二を想っているのよ。」
自分に言い聞かせるように呟いた。