○長い山道を過ぎ、平坦になった道の路肩で遍路姿の男が手を上げた。急ぐ旅でもないからと車を停めた。聞けば「道に迷って2時間ほどロスをした。明るいうちに予約の宿まで辿り着けない。是非乗せてもらいたい」と。この巡礼で2人目のヒッチハイカーだった。ほぼ同年配、他人事とは思えずゴチャゴチャの助手席を整理し乗せた。
○大寶寺の長い階段を一緒に上り、一緒にお参りしました。彼曰く、「女房とは死別、娘と同居。去年の心臓手術もなんとか回復・・・、今回の巡礼に・・・」。
悲壮感いっぱいでした。別れ際、お礼にと自販機で買ったポカリスエットを戴いた。
一緒に飲もうと誘われたが何故かそのまま分かれた。
○彼は宿にたどり着けただろうか、今ごろお風呂に入ってれば良いのだが。
○これで丁度半分済んだ、ほぼ順調。とは言え、スタンプラリーの気分になってしまってる。気をつけななっくちゃ。遊びも考えなくちゃ。 「巡礼日記」より
◇四国八十八ヶ所霊場会第44番札所 大寶寺より
43番明石寺からの道のりは約80㎞、峠越えの難所がつづき歩けば20時間を超す遍路ころがしの霊場。四国霊場八十八ヶ所のちょうど半分に当たり、中札所といわれる。