数日前のこと。京都御苑の近くまで来たので少し苑内に立ち寄った際に乾御門から入ったので、すぐ近くの一條邸跡へ向かうと……
すでに結実して熟していました。ヤマグワ(山桑)の実です。そう、マルベリーです。おいしそうと思いながら手を伸ばそうとすると近くの葉でひらひらと動くものがちらりと見えました。
糸くず? いいえ、どちらかというと綿菓子のできそこないのように見えます。さわってみると少し粘り気がありますが、指でつまむとすぐに溶けてしまいます。何か虫が分泌したものなのか、でも何という名前の虫かもわからないので、早速スマートフォンを取り出して『ヤマグワ 綿毛』でググってみると森林総合研究所多摩森林科学園のこのページがヒットしました。
どうやらクワキジラミ(桑木虱)というクワの吸汁害虫だそうで、ついたからといってヤマグワが枯れることはないそうですが、葉がくしゃくしゃとなったりと見た目が少し痛々しくなるようです。
さて「虫はどこ?」と探してみると、いました。
葉脈沿いにじっと葉につかまっているのが成虫です。このような蝋質の糸状の物質を出すのは幼虫だそうで、どこが虫体だかわからないようにするためだそうです。
虫嫌いの人には申し訳ありませんが、もう少し大きい姿の成虫がこちら。
見た目はヨコバイ(横這)に似ていると言ってもよいかもしれません。綿菓子だと思っていたら別の葉にはこんなものも……
まるで透明のザラメのようなもので、こちらも触ると粘り気がありました。ひょっとして雨などで糸状の成分が塊となって再結晶化でもしたのでしょうか。
白い糸が風に揺れる姿を見ていると、ちょっと違った白いものが葉っぱについているのを見つけました。
クサカゲロウ(草蜻蛉)の卵でしょう。優曇華ですね。
ヤマグワの実ができて熟しているかどうか確認してみようと思っただけですが、思いも寄らぬものも見つけられて勉強になりました。