京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

今年も咲いていました

2021-07-28 12:54:41 | 歳時記・文化・芸術
今日は土用の丑の日ですね。この数年は毎年恒例のように紹介しているような気がしますが、今年も土用の入りの日には間に合わずとも、丑の日には間に合わせようとでもしたのか、花が咲き始めていました。




ガガイモ(蘿摩)の花です。

昔、宮中ではガガイモの葉を煮出した汁で餅米を練って団子を作り、土用の入りの日に暑気払いとして汁物の具にして食したようです。そして、この風習が庶民にも伝わり広がったことから江戸時代中頃に土用餅(あんころ餅)へと変化していったそうです。


土用の丑の日と言えば「うなぎ」が有名ですね。これは平賀源内が鰻屋から夏場に売れない鰻を売る方法の相談に対し「本日、土用の丑の日」と看板を掲げて売ればよいと提案した説が有力ですが、諸説あるようですね。

なお、土用とは五行に由来する雑節で、元は『土が旺(さかん)なり用事(働きや支配)をする』という意味の「土旺用事」と呼ばれていたものがつづまったようです。

季節の変わり目となる二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の直前の約18日間に、春に割り当てられた「木気」と、夏に割り当てられた「火気」と、秋に割り当てられた「金気」と、冬に割り当てられた「水気」の変わり目に挟み込まれる「土気」の期間で、陰陽道ではこの期間に春は辰(東南東)の方角、夏は未(南南西)の方角、秋は戌(西北西)の方角、冬は丑(北北東)の方角(それぞれ土用期間の旧暦の月にも相当)に回座している土公神の影響が出ると考えられ、土の造作は禁忌とされています。

今年は7月19日が土用の入りでした。立秋前の約18日間にあたる夏土用は五行では「土気」が割り当てられますが、季節の夏には「火気」が割り当てられています。そこで、夏の暑い季節を乗り切るため「火気」を弱めることができる力(相剋)は「水気」です。その「水気」が割り当てられた方角が「北」になります。

夏土用の旧暦月や土公神が回座する方角の「未」の正反対は「丑」で、この「丑」は五行では北の方位に配され「水気」を持ちます。そのため、夏土用は「丑の日」に「水気」にあたるものを積極的に食べるのが「火気」を弱めるのに一番効果的と考えられているようです。さらに「水気」を持つ「北」に割り当てられた色は「黒」です。鰻の蒲焼の色や土用餅(あんころ餅)の色もまさにそのとおりと言えるでしょうか。

このような行事は他の土用では見られませんが、陰が極まるとされる冬至の日にカボチャ(南瓜)を食べるのも、冬至の頃に割り当てられている「水気」を弱めるために「火気」を利用し、南から渡来し、橙色(火気に配される赤色ではありませんが、古代の赤には含目られる色だと思われます)の果肉を食べることで「陽」の気を取り入れようとすることが同じ由来だと思われます。


さて、話を元に戻して、土用餅を食べる風習は元来、土用の入りの日だそうで、地域も関西や北陸が中心の行事だったようですが、全国的に知られるようになってからか、土用の丑の日に食べることも増えてきているようです。酒飲みなのに甘いものも大好きな私としては、土用の入りの日と土用の丑の日の両日とも食べられるほうがうれしいですし、今年は残念ながら1回だけですが、二の丑のある年は3回食べられますよね。これだと、ただの食いしん坊ですね。

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