京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

五條天神社の節分祭~神朮と宝船~

2017-02-04 11:48:39 | 歳時記・文化・芸術
今日は立春、暦のうえでは春で、前日の節分を年越しとしてこの日を元日とする風習もあり、正月節や歳正月ともいいます。

さて昨日は、節分行事に参加されましたか?

ブログ管理人はどこにも行けずでしたが、当倶楽部の会長は京都の五條天神社に行ったそうです。

五條天神社は、この地が鴨川の氾濫原だったことから、もとは水神や雷神を鎮め疫病退散を祈願した御霊社で、天使の宮や天使社とも呼ばれ、後鳥羽上皇時代に五條天神宮と称するようになったそうです。また源義経(牛若丸)と武蔵坊弁慶が出会ったといういわれのある場所でもあります。




社号に天神とありますが、菅原道真とは直接の関連はなく、祭神も薬の神様である少彦名命で、いまでも農耕や医薬、厄除けの神様として崇められています。

ここでは節分の日だけ、日本最古と伝えられる『宝船図』と「神朮」と書かれた紙に包まれた『うけら』が一緒に授与されます。




『宝船図』は、室町時代には節分の日に宮中や親王、公家にだけ献上されていましたが、大正時代に一般にも授与されるようになり、この宝船に厄除け・病除けを祈願すれば、一年間つつがなく暮らせるとのことです。

また『うけら』は、八坂神社で大晦日に行われる「をけら詣り」と元旦の「白朮祭」で有名な『をけら』のことで、大晦日の八坂神社の「をけら火」の火で焚いて作ったお雑煮を食べて無病息災を祈願するのと同様、この神朮を焚いて炒った豆を豆まきに使ったり、焚いた神朮で餅を焼いて食べると無病息災に過ごせるとも言われています。

そういえば、京都市上京区にある「ひょうたん寺」として知られる福勝寺の『ひょうたん守』や、京都市左京区にある須賀神社で授与される『懸想文』など、少し変わった御守が授与される節分行事をされるところもありますね。

一年前から準備すると、昨日退治した鬼に笑われそうですが、来年の節分行事の参考にされてみてはいかがでしょうか。

またまた余談ながら、この五條天神社の近くに『天使突抜』と呼ばれる地名があります。天使を突き抜けるとは物騒なことですが、豊臣秀吉が京の都市改造計画の一環として上京と下京を結ぶ大きな道を通そうとした際に、そのうちの一本をこの五條天神社(天使社)の境内を突き抜けて通そうとしたことから、民衆が反発し、皮肉を込めて『天使突抜』とつけたそうです。
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