京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

京都御苑のエドヒガンが花盛り

2019-03-28 06:39:17 | 雑学・蘊蓄・豆知識
昨日、京都でも桜の開花が発表されました。昨年より5日遅く、平年より1日早いとのこと。でも桜はソメイヨシノ(染井吉野)だけではありませんよ。石薬師御門から京都御苑に入ってすぐのところにあるエドヒガン(江戸彼岸)が、ちょうど八分咲きくらいといったところで、そろそろ満開を迎えようとしています。



エドヒガンは、ヤマザクラ(山桜)、オオヤマザクラ(大山桜)、カスミザクラ(霞桜)、マメザクラ(豆桜)、オオシマザクラ(大島桜)、チョウジザクラ(丁字桜)、タカネザクラ(高嶺桜)、ミヤマザクラ(深山桜)と合わせて、日本本土に自生する桜の原種9種類に数えられます。昨年に新種と発表されたクマノザクラ(熊野桜)を合わせると10種類になりますね。この原種の桜9種類に沖縄のカンヒザクラ(寒緋桜)を加えると日本の桜の基本種となります。


また、エドヒガンはソメイヨシノ(染井吉野)の種子親(母親)で、これは20年ほど前に京都大学の研究グループによってつきとめられました。このエドヒガンに花粉親(父親)のオオシマザクラ(大島桜)の花粉が受粉してできた交雑種がソメイヨシノだとされています。ただし近年のDNA分析の研究結果によると、花粉親はオオシマザクラではなく、オオシマザクラにヤマザクラ(山桜)が交雑した種である可能性が高いそうです。



エドヒガンとソメイヨシノを比べてみると、エドヒガンの葉はソメイヨシノと同様に花が終わってから展開し始め、花はエドヒガンのほうが少し紅色が濃くて小ぶりでしょうか。ソメイヨシノは、花が終わってから葉が展開するところは母親のエドヒガンゆずりで、やや白色で大きな花を咲かせるところは父親のオオシマザクラゆずりといったところでしょうか。

ちょっとソメイヨシノとの関係の話に脱線してしまいましたね。京都御苑といえば、近衛邸跡の枝垂れ桜(糸桜)や出水の枝垂れ桜が有名で、もちろんのことそれぞれ美しいです。でも、京都御苑のエドヒガンは苑内ではこの木だけ(だったはず)なので、樹齢が長くて趣のある桜であるこのエドヒガンもぜひ観賞していただきたいです。

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