先週末の土曜日あたりから、一日を通しての気温が上がった京都です。そのような天候になることをすでに知っていたかのように、普段は誰にも気づかれず路傍で逞しく生育している草たちが花を咲かせ始めています。
こちらは川端通の歩道の植え込みで見つけたコハコベ(小蘩蔞)の花。
コハコベの花
コハコベはヨーロッパ原産の外来種で、春の七草で知られる繁縷(はこべら)とはミドリハコベ(緑蘩蔞)になるそうですが、雄しべの数がコハコベのほうが少なかったり茎が赤色を帯びているなど区別できる違いはあるそうで、どちらか判断しにくい場合は、種子に突起があればミドリハコベ、突起が目立たなければコハコベと判断するようです。
ただし、近縁種のウシハコベ(牛蘩蔞)は花柱が五裂するので、わかりやすいかと思います。
ウシハコベの花(過去記事より再掲。2020年1月撮影)
コハコベの周囲で咲いていたのはホトケノザ(仏の座)の花。
ホトケノザの花
ホトケノザと言っても春の七草の仏の座(ほとけのざ)ではなく、春の七草のホトケノザはキク科ヤブタビラコ属の越年草のコオニタビラコ(小鬼田平子)のことで、本種はシソ科オドリコソウ属の越年草です。
ただ、どちらの名前も植物のある部分を仏様の台座に見立てたことに由来します。春の七草のほうは冬から早春にかけてロゼット状に広がるコオニタビラコの根生葉を譬えたもので、本種は茎を取り囲むようにつく葉を譬えたことにちなみます。
そして、こちらがキュウリグサ(胡瓜草)の花。
キュウリグサの花
道端に生える草花のうち、小さな花の代表選手とも言えるでしょうか。じつは先ほどの春の七草の「仏の座」で出てきたタビラコ(田平子)ですが、地域によってはこのキュウリグサのことをタビラコという別名で呼ぶこともあるそうで、乾いた場所で生育するキュウリグサに対して湿った場所を好む同属の植物にはミズタビラコ(水田平子)という和名がつけられています。
ミズタビラコの花(過去記事より再掲。2021年5月撮影)
たまたま撮影できた3種類の草たちの花ですが、春の七草がらみでいろいろと関連した内容でまとめることができました。まさか春の七草でつながるとは、記事にしてみて初めて気づいて、あらためてびっくり!