京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

時にまつわる名前を持った植物あれこれ

2020-06-10 06:24:41 | 歳時記・文化・芸術
今日6月10日は「時の記念日」ですね。これは、天智天皇10年4月25日に漏尅(漏刻、つまり水時計)を設置して初めて鐘を打ったことにちなみ、日本書紀を紐解くと、天智天皇十年四月に……

夏四月丁卯朔辛卯。置漏尅於新臺。始打候時動鐘鼓。始用漏尅。此漏尅者天皇爲皇太子時始親所製造也。云々。

とあり、この日(夏四月丁卯朔辛卯のことで、今風に書くと4月25日)が西暦(グレゴリオ暦)では671年6月10日にあたります。

そして、100年前の大正9(1920)年に、その年の5月16日から7月4日まで東京教育博物館(現在の国立科学博物館)で開催され連日大盛況となった「時」展覧会の会期中に、時間尊重の宣伝を行うことを目的として『時の記念日』が提案されました。

この提案に、当時の文部省の外郭団体であった生活改善同盟会が即座に賛同し、式典を実施するために東京天文台(現在の国立天文台)と共同で6月10日を記念日に制定したことが『時の記念日』の始まりです。

ですので、今年で『時の記念日』はちょうど100周年なのです。

・・
・・・
そこで、ほとんど思いつきですが、今年が制定から100年でもある「時の記念日」にかこつけて、今日は『時』にまつわる名前を持った植物でも取り上げてみましょうか。

まずは、そのものずばり、時間を知るのに欠かせない道具を名に持つ『時計草(トケイソウ)』ですね。

トケイソウ


日本では花のかたちが時計の針と文字盤に見えることからトケイソウと名付けられていますが、英語ではイエズス会の宣教師が「受難の花」と呼んで南米等での布教活動に利用したことからパッション・フラワーと呼ばれています。こちらについては以下の過去記事で触れています。

他には、特定の時刻を表す名前を持つ植物だと、その代表格は『ハゼラン(爆蘭)』でしょうか。花がはぜるように咲く姿からハゼランという和名がつけられていますが、花が咲き始める時間が午後2時から3時頃であることから、別名の『三時花(サンジカ)』で呼ばれることもあります。

ハゼラン


なお、和名の由来となったその咲き姿からハゼランは『花火草(ハナビグサ)』という名前でも呼ばれますが、これについては以下の過去記事で触れています。

また、この別名に似た名前を持つ植物にアオイ科の外来植物の『ゴジカ』がありますが、漢字で書くと『五時花』ではなく、お昼頃(午の刻)に花を咲かせることから『午時花』と書きます。

日本では、明治以前は不定時法が使われ、日の出のおよそ30分前を「明け六つ」そして日没のおよそ30分後を「暮れ六つ」として、それぞれ日中と夜中を6等分した「一刻」を「九つ」「八つ」「七つ」「六つ」「五つ」「四つ」と呼び分けていました。他にも「子の刻」のように十二支を用いた時刻表記もありましたが今のような「◯時◯分」というような時間感覚はなかったので、明治以降に渡来したハゼランに『三時花』と名付け、江戸時代中期に渡来したゴジカには『午時花』と名付けたのも、こういった文化的背景の影響もあるのでしょうか。

そういう意味では「宵を待つ草」という名前を持ち、江戸時代に渡来した『マツヨイグサ(待宵草)』もゴジカと同じような命名になるでしょうか。マツヨイグサと同属の『ユウゲショウ(夕化粧)』は明治以降の渡来ですが、命名は同じ発想なのかもしれません。

マツヨイグサ


ユウゲショウ


内容をあまり練りもせず思いつきで書いたからか、何だか中途半端で話があっちに行ったりこっちに行ったりと取り留めのないものになりました。

でも、今年は早春から新型コロナウイルスの影響で外出の自粛要請や仕事もテレワーク(リモートワーク)に移行するなど普段と違う生活が強いられ、この数か月ほど『時間』というものに向き合い、その存在を見つめ直す機会を持ったことはこれまでなかったのではないでしょうか。

100年前と同様に、今一度『時間』というものを尊重し、再認識する必要がありそうです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« センダンは双葉より芳しくない? | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。