京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

セミそれともカエルの鳴き声?……伝承遊びの玩具づくりに挑戦!

2022-04-25 18:26:19 | 研究・教育・体験
昨夏から京都市中京区にある児童館の「いきものクラブ」の外部講師を務めることになったブログ管理人ですが、昨秋に同じ児童館で毎月実施されている「お絵描き・工作クラブ」とのコラボレーション企画を体験してみて、当初お願いされた自然観察や自然体験だけでなく、自然にあるものを利用して昔から伝わる文化や遊びも子供たちに伝えられたら楽しいのではと考えるようになりました。

ただ、すべての材料を自然の素材でそれなりの数を揃えるのはなかなか難しいということもあり、作り方を覚えた子供たちが家で眠っているものや使用済みで不要となったものも活用して再現できるほうがよいだろうかとも思い、使い終わった食品用ラップの芯を処分しようとしたときにふと思いつき、まずは台所用品や備品で伝承遊びの玩具づくりができないか試してみました。

試作品としてできあがったのが、こちら。



いわゆる「ブンブンゼミ」と呼ばれるもので、音を鳴らして遊ぶ「おもちゃ」です。音を鳴らして遊んで楽しむことから楽器に譬えて「蝉笛」と呼ばれることもあるようですが、音の鳴る原理から譬えるなら笛というよりバイオリンやチェロなどの弦楽器に近いと思います。

伝統的な作り方では、竹や木の棒の先に松脂を塗り、輪切りにした竹に貼った和紙に穴を開け、糸を通して外れないようにし、糸のもう一方を松脂の部分にゆるく結えます。聞こえる音がセミの鳴き声に聞こえるからというのが名前の由来ですが、振り回す竹の輪切りの太さ等によってはカエルの鳴き声にも聞こえるそうです。

とりあえず、キッチンで使い終わったものや使わずに取り置いたままのもの、普段使いの備品などをためつすがめつ眺めながら揃えた素材がこちら。



写真にあるものを整理してみると、ブンブンゼミそのものの材料となるものが……

・使い終わった食品用ラップの芯   1本
・お弁当についていた竹箸      1膳
・たこ糸              30センチメートル程度
・クッキングシート         10センチメートル程度
・松脂               適量


その他に、ブンブンゼミを作るために必要なものが、以下の材料です。

・シリコンカップ          1つ
・片手鍋              1つ
・木工ボンド            適量
・折り紙              4枚
・茶の実              数個


ただし、松脂を溶かして塗る作業では、最初に考えていた方法だと作りにくいことがわかったので、お鍋とシリコンカップは使わず、別の方法を模索したところ蝋燭と燭台、ライターが必要になるのですが、この写真を撮影したときには知る由もなかったのでした。

さて早速、作り方に入ると、まず食品用ラップの芯を4センチメートル程度の長さになるようカッターで切り分けていきました。切った芯のどちらか片面に、ちょうど太鼓に革を張るような感じでクッキングシートを木工ボンドで貼り付けます。

木工ボンドが乾いたら、クッキングシートの中心部に千枚通し等で穴を開け、たこ糸を通し、通した糸の先は短く折った爪楊枝に結びつけておきます。

ここまでつくり進めた状態がこちら。



今度は竹箸に取り掛かります。竹箸の頭のほうに松脂を塗りつけるのですが、当初はシリコンシートに松脂を入れて湯煎で溶かして塗ろうとしたのですが、なかなか溶けないし、溶けても塗りやすいほど柔らかくならないので、強引に飴細工状態を塗りつけたのですが、なんだか美しくない。

そこで、竹箸に薄く木工ボンドを塗りつけてそこに松脂をまぶし、蝋燭で炙っては溶かし、固まりきらないうちにさらに松脂をまぶして再度蝋燭で炙ることを繰り返して適当な太さまでしてみました。

左2本が湯煎、右2本がロウソクあぶりで、右2本のほうが表面が滑らかでひび割れも起きていません。



松脂を塗ってから、棒から外れないよう中身をくり抜いた茶の実をキャップ代わりに取り付けたのですが、なんだか金色に輝くシメジのように見えたり、まるで「黄◯糖」にチョコレートを被せた「き◯この山」(伏せ字にしなくてもよいかな?)のように見えるのは私だけ???

茶の実がひっつくまでの時間に、食品ラップの芯を装飾しました。そのものをセミのようにしてもよかったのですが、折り紙で簡単に折れるセミを覚えたので、それを貼り付けてみました。でも貼り付けるとセミに見えない……



まあ、とりあえずはできました。あとは鳴るかどうか確かめるだけです。



動画は撮っておりませんが、ちゃんと鳴りましたよ。もし食品ラップの芯を切ったりクッキングシートを貼り付けるのは面倒というかたにはこちら。



コーヒーが好きな方は紙コップでもOKです。底の真ん中に穴を開けてたこ糸を通して振り回せば音が鳴ります。キャップをするとちょっとこもった音になります。

トイレットペーパーの芯でもできますが、食品用ラップと同じ大きさに切り分けると軽いので、同じ糸の長さだと遠心力を稼ぐために振り回す速度を上げなければなりません。もしトイレットペーパーの芯を利用される場合は少し糸の長さを短めにされることをおすすめします。このあたりのことは、高校で物理を履修されていれば回転運動や角運動量のおさらいにもなるかもしれません。

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そうそう、試作後に松脂を調達できないかと近所で探してみたら、樹皮から松脂が少し染み出している木がありました。



たった数十分だけですがちまちまと採集した結果がこちら。およそ2〜3グラム程度とはいえ、時間が掛かるだけであまり効率はよくないですね。




もう少し簡単にできる方法や自然のものを活用する方法が見つかれば、また紹介したいと思います。団体名称の「園芸」とは全く関係ない方向に向かってしまいそうですが……園芸利用ということでご理解くださいませ。

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