京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

意外なところで咲いていた雲龍梅

2022-01-17 17:36:45 | 園芸・植物・自然環境
先週中頃に、そろそろ咲き始めているかと思い、北野天満宮に参拝がてら雲龍梅を見に行ってみようかなと思っていたところ、京都大学医学部附属病院の西側を走る鞠小路通を歩いていた際に、医学部ではなく隣の薬学部の敷地にある医薬系総合研究棟の植え込みで、ひっそりと咲いている姿がなんとなくウメ(梅)の花っぽいように見えたので、近づいて確認してみると……



ウメの花に違いなかったですが、ふと北野天満宮まで見に行こうかなと思っていたら雲龍梅ではないですか。見たいという念が天に通じたのかしら?

ただ、写真に撮ってみるとくねくねとした枝振りがあまり目立たず、早咲きの白梅にしか見えないところが、ちょっと悔しいです。もとより美しく撮る腕前も持ち合わせておりませんが……



植えられてから年数があまり経っていないのか、木そのものはあまり大きくなく、いつも前を通っているのに、いつ植えられたのかも気がついていなかったので、つい最近植樹されたのでしょうか。

まさかの場所で観賞となりましたが、諦めずに思い続けていると何らかのかたちで成就できるのかなと思わされた出来事でした。

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ここからはテーマと関係ない話ですので、読み飛ばしていただいて結構です。

今日は阪神・淡路大震災から27年目の鎮魂の祈念日。当時、私は大学一年生で、京都の自宅から通学していました。

本当にそう感じたかうやむやなところがありますが、その日は南のほう(つまり神戸方面)に頭を向けて寝ていたので、言葉にすると「ゴーッ」というような音に似た感覚が頭の先から迫ってくるような気がして、寝ぼけ眼の半覚醒で「え、なに?」と思ったら下から突き上げられる揺れ(おそらくP波)が起こり、その後に今まで体験したことのない横揺れ(S波)がかなりの時間続いたことを覚えています。

京都で経験した揺れですら、後にも先にも体験したことはない揺れでした。激震地の神戸を地震が襲ったあの時間、午前5時46分、想像もつきませんが、自分が体験した揺れからとんでもない状況であったことは推察できます。

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また、阪神・淡路大震災にまつわることで言えば、その数年後に、専攻が環境学、環境教育でしたので、生活環境のひとつとして「住環境」の講義もあり、そのときの担当教官の言葉が、うろ覚えですが今でも耳に残っています。

その講義の担当教官が阪神間に住まっていたからでしょう、住環境を研究する立場であの震災を体験し、その被害を目の当たりにして、講義中にふと「あの地震、みんなは天災やったか人災やったか、どっちやと思う?」と問いかけられました。すぐに問わず語りで「私は、人災やったと思う。震災後すぐの死者の多くの方が家の下敷きや人工物の倒壊によるものでしょ。人間以外、自分で作ったもので亡くなるという動物はいるんやろか。科学や技術に甘えて、その力に自惚れて、思い上がってるんとちゃうと思わへん?」といった内容だったと覚えています。

さほど有名な大学ではありませんが、他にも「ここまで事実は事実として述べたけど、ここからは私の主観も交えて述べるから、鵜呑みにしないこと。私の述べたことをもとに自分でどう行動するのが最適かを考えなさい」といったことを講義中にいう教官もいたりと、よい意味で考えること、つまり「学問すること」を教えてくれた大学だったと思っています。

卒業してから数年間は、これも何かのご縁か神戸の大学に通うことになり、震災後3年目から5年目あたりの神戸の様子を自分の目で確かめられ、当事者から当時の様子を自分の耳で聞く機会も得られました。

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まだまだ悲しみの癒えない方もいらっしゃることかと思います。でも、この雲龍梅が雲龍の昇天となり、さまざまな思いや悲しみを乗り越えるのではなく、そういった気持ちを持つ自分を受け入れられる、そのような状況に昇華できることを祈ります。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kinntilyann)
2022-01-17 18:23:13
ハッとしました。
確かに、自分でつくったもので死ぬのヒトだけです。
素晴らしい先生でしたね。
今でもお元気なのでしょうか?
もっともっとお話しをうかがいたいものです。
梅はラッキー(^^)v
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Unknown (kyotoengeiclub1923)
2022-01-17 19:43:05
@kinntilyann うさぎ様、こんばんは。

卒業してからお会いしていませんのでご存命かどうか把握していませんが、もう80歳近い年齢だと思います。
私自身が、当時の先生方の年齢に近づいてきました。

肝心の内容はほとんど覚えていませんが、この言葉を聞けただけで講義を受けた意味は十分あったと思っています。
返信する
Unknown (らいとNGC7000)
2022-01-17 21:41:27
はじめまして。
冬牡丹と寒牡丹の違いを調べていて、訪れました。
春を感じさせる育て方や、花の咲いたときの葉のあるなしについて、分かりやすい丁寧な説明をありがとうございます。

神戸に住んでいる私にとって阪神淡路大震災は27年間経っても忘れることができません。鮮明に当時のことを覚えています。
私も友人知人を亡くしました。
人災の側面もあったかもしれませんが、被害に遭われた方の前でどっちだっただろうと問うことははばかられます。

津波があるとわかっていたのに、なぜ逃げなかったの?と問うに等しいことに思います。
未来を生きる若者たちの前だったからこそ、教授もよく考えて見るように、と話されたのでしょう。
便利になった社会ですが、いざというときそのインフラそのものが破壊されたときに、冷静に行動できるか、周りの人たち、ペットを含めて守り切れるかは難しいところです。
災害の起きない、起きても強い社会を作っていく努力を続けなくてはと思いました。
長々と書きましたが、読んで頂きありがとうございました。
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Unknown (kyotoengeiclub1923)
2022-01-18 08:02:11
らいとNGC7000様、おはようございます。

寒牡丹と冬牡丹の違いの違いの記事から当ブログにお越しいただき、厚く御礼申し上げます。

当記事に執筆しました講義のときの発言ですが、被害に遭われた方には哀悼の意を表され、そのうえで研究者として住居学を主とした住環境や都市環境に携わりながら、どうしてそういった被害が防げなかったのか、自責の念を込めたものでした。

当時の私にとっては衝撃的で、あらためて人間にとっての科学や技術とはどういったものか考えるきっかけになり、講義で伝えたいと思われていた重要な理念のひとつはしっかり胸に刻まれているのだと思います。

昨日はいろいろとありし日を思い返す日になりました。
また、あらためてブログを訪問させていただきます。
ありがとうございます。
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