あっという間に1月、2月と過ぎ去り、明けて今日から弥生三月。年を経るにつれ、まさに「一月往ぬる、二月逃げる……」と強く実感するようになってきました。そうだとすれば、今月も気がつけば『三月は去る』となるんでしょうね。
でも今月はそうなるとちょっと困ることがあり、それは当倶楽部の一大イベントとして開催する『つばき展』で、その準備を本格的に始めなければなりません。
とはいえ、今年は例年と比べ、椿だけでなく春の花の咲き方が違うように感じているのは私だけでしょうか。たとえば『梅香る』や『梅の花』というと二月の時候の挨拶ですが、京都ではようやく梅の花が見頃になってきました。この数年はもう少し早く咲き始めていたように思います。でも、陰暦ならちょうど2月を迎えますので、梅の花が咲く本来の時期なのかな。先月下旬に立ち寄った妙顯寺の境内に祀られている慶中稲荷の「左近の梅」もそろそろ見頃となりそうです。
左近の梅
慶中稲荷は、古くは京都御所で御所鎮護の守護神として祀られ、慶中大菩薩とも呼ばれるそうで、その後こちらに移されたようです。古くは「願い事は必ず叶えてくださる」と篤く信仰され、宮中の女官たちに崇敬されていたそうですね。御所に謂れがあるためか、左近の桜ならぬ左近の梅としてこの紅梅が、右近の橘とともに植えられています。参道にも白梅と紅梅が植えられ、白梅のほうが毎年咲き始めが早いようです。
参道傍の白梅
そして、妙顕寺の大本堂や方丈の西隣には塔頭が建ち並んでいますが、その並びの一番南側で寺之内通に面した場所に寺之内幼稚園があり、数本の椿の木が植えられていますが、有楽椿だけが数輪の花を咲かせていました。
有楽椿
梅の花の咲き始めが遅いだけでなく、椿の花も咲き始めが遅い……というより蕾をつけている木が今年は少ないと私の目には見えます。これは京都だけなのか全国的な現象なのか把握していませんが、庭木として椿を育てている方に聞くと、昨秋のうちに蕾を落とした木もあるとのことでした。おそらく生理的落蕾なのだと思いますが、昨年8月の戻り梅雨のような長雨が原因なのか、それともこれまで続いた天候異常等の積年の影響が重なったのかわかりませんが、椿になにがしかの負担が掛かったのかもしれません。
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ということで、いまのところ花が咲いていないだけで蕾がたくさんついているのであれば心配はないのですが、花が咲いていないのではなく蕾がついていないとなると今月下旬の「つばき展」をどうするか、ただ準備するだけでなく例年とは違う展示内容も考慮しながら動かなければならなくなりそうです。
このような展示風景でなくなる?(昨年の展示風景。過去記事より再掲)
アンデルセンの「絵のない絵本」のように「つばき(の花)のないつばき展」でも楽しんでもらえるのなら助かるのですが、そう言うわけにもいかず、じつは「三月は去る」では困るというのは、こういった理由もあるからなのでした。あ、お月様に聞いてみたら「私の話を展示しなさい」とでも、何かヒントを教えてもらえるかな?
お月様といえば月光椿(卜伴椿)も好きな椿のひとつですが、こちらの花も咲いている姿も今年は見ていないなあ……
月光椿(卜伴椿)の花(過去記事より再掲。下鴨神社にて2020年1月撮影)
先ほど、投稿を拝読いたしました。
高知でも咲き始めが遅いのですね。貴重な情報をありがとうございます。😊