12月最初の日曜日のことですが、京都府立植物園のつばき園で早咲きの品種のひとつである椿「菊冬至」が咲き始めていました。
この品種、現在は「菊冬至」と呼ばれていますが、名付けられた当初は菊が咲き終わる(閉じる)頃に咲き始める椿であることから「菊閉じ」と呼ばれていたそうです。でも、いつしか「菊冬至」と呼ばれるようになり、読みも「きくとじ」から「きくとうじ」に変わっています。
これとは別に、水干・水干袴や鎧直垂・鎧直垂袴などの縫い合わせ箇所につけられる房状の飾りを「菊綴」と言いますが、花盛りの状態がこれに似ていることから「菊綴」が語源だという説もあるそうですが、どちらかというと「菊閉じ」のほうが風流かなと思います。
ただし、きれいな花が咲いているのに「閉じ」というのもかわいそうですし、房状の飾りの「菊綴」も言い得て妙なのでこれらを合わせて、菊が咲き終わる頃(菊閉じ)に咲き始めて、花盛りには房状の飾り(菊綴)のように咲き誇り、冬至の頃(菊冬至)に花を楽しめることから、読みは「きくとじ」で漢字に「菊冬至」を当てるのがよいのではないかなと個人的には思っています。