京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

冬牡丹と寒牡丹は何が違うの?

2017-02-16 11:50:25 | 雑学・蘊蓄・豆知識
年始から早春と呼ばれる今頃の時期にかけて、冬の牡丹が見頃を迎えます。各地にある牡丹の名所ではこの時期の花が観賞できるところもあり、春の牡丹と違って藁ぼっちとも呼ばれる藁囲いで覆われた姿が愛らしいと言えるでしょうか。

さて、この時期に展示される牡丹は『冬牡丹』と呼ばれることが多いのですが、冬牡丹という呼び方の他に『寒牡丹』もありますよね。「実際、何か違うの? 何が違うの?」とお思いになったことはないでしょうか。

それぞれの写真を掲載しますね。

(冬牡丹・京都府立植物園)


(寒牡丹・本満寺)


それぞれ花が咲き始めで、比較するにはあまり良い写真ではないかもしれませんが、両者を見比べて、違いがわかりますか?(「花の色が違う」というのは、関係ないですよ)

『冬牡丹』のほうが春咲きの牡丹のような咲き方で葉も展開していて、『寒牡丹』は花だけしか咲いていないことにお気づきでしょうか。

まず『冬牡丹』ですが、春咲き品種の牡丹(春牡丹)そのもので、温室などを利用して牡丹に「春が来た」と思わせて冬に花を咲かせています。

かたや『寒牡丹』は、春だけでなく初冬にも花を咲かせる『二季咲き』という遺伝的性質を持ち合わせている品種で、牡丹自身が冬とわかっていながら咲いています。

少し違いを列記すると、

1.花の咲き方
 
冬牡丹  春牡丹を促成栽培して人工的に咲かせている
 
寒牡丹  二季咲きという遺伝的性質でもって咲いている
 
2.葉の状態
 
冬牡丹  春咲き品種同様、青々とした葉が展開している
 
寒牡丹  花だけが咲き、葉はほとんどない
 
3.茎や枝の状態
冬牡丹  青々とした茎や枝がみられる
 
寒牡丹  冬枯れの状態で黒ずんだ色になっている
 
4.管理方法
 
冬牡丹  寒さに弱いので稲わら等の菰で覆われている
 
寒牡丹  冬にも咲く品種なので菰などで蓋われていない

と整理できるでしょうか。

ひょっとしたら、今まで寒牡丹だと思い込んでいたのは冬牡丹、あるいは冬牡丹だと思っていたのが寒牡丹だったかもしれませんよ。

冬牡丹と寒牡丹の違いの話でした。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
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6 コメント

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納得いたしました。 (Passy)
2019-02-20 07:00:19
わかりやすいご説明、どうもありがとうございました。

冬牡丹の美しさに感動していましたが、
寒牡丹との違いには、思いが至りませんでした。

お陰さまで、大層勉強になりました。

これからも、立ち寄らせていただきたくて
フォローさせていただきます。 
返信する
ありがとうございます (京都園芸倶楽部)
2019-02-20 07:10:10
Passy様、当倶楽部ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。

知らなくてもこの季節の牡丹の花を楽しむことはもちろんできますが、冬牡丹と寒牡丹の違いがわかれば、より牡丹の花を楽しむことができるのではと思います。

これからもよろしくお願い申し上げます。
返信する
黄色い牡丹 (ポピー)
2020-11-16 15:43:48
先日植物園で黄色い牡丹を拝見して冬牡丹?寒牡丹?と迷いこちらへ伺いました
これから安心して「冬牡丹」と紹介できます 
昨年は冬牡丹の展示が有った様子ですが
今年もあるのでしょうか
機会が有ったら拝見しに行きたいです。有難うございました。
返信する
ありがとうございます (京都園芸倶楽部)
2020-11-16 16:01:11
ポピー様、コメントをありがとうございます。

冬牡丹も寒牡丹も春に花を咲かせる牡丹と同じですが、性質や管理方法等の違いで呼び分けられていますので、そのあたりのことを知っているとさらに楽しみが増えるかと思います。

新型コロナウイルスの今後の感染状況にもよるでしょうが、年が明けてからの早春の草花展等が例年どおり開催できれば冬牡丹の展示も行われるかと思います。
返信する
NHK俳句 (326)
2020-12-16 15:30:17
NHK俳句で「冬牡丹」という季語を知り、普通のボタンと何が違うのか検索していたらこちらに。
さらに「寒牡丹」との違いも教えて頂き感謝しております。
今後の作句に参考にさせて頂きます。
有り難うございました。(^人^)
返信する
ありがとうございます (京都園芸倶楽部)
2020-12-16 17:04:32
326様、コメントをありがとうございます。

私もいただきましたコメントでもって「冬牡丹」と「寒牡丹」それぞれが季語だったことを思い出すきっかけになりました。

この投稿記事が今後の句作のお役に立てば大変光栄です。^_^
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