京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

本来のハブ茶はこちらの植物の種子が原料です

2020-08-29 06:40:35 | 園芸・植物・自然環境
5日前に紹介しましたエビスグサ(胡草/夷草)の記事を読んで、早速に当倶楽部の会員の方から今年は自宅でエビスグサとハブソウ(波布草)を育てていますとお便り(メール)をいただきました。ハブソウの花と果実のお写真も添付していただき、当ブログで紹介してもいいよと許可をいただいたので、まずは花の写真から。



↓↓↓高野川河川敷(正確には河川敷の私製花壇)のエビスグサの記事はこちら↓↓↓
・・
・・・
ハブソウもエビスグサもマメ科センナ属の一年草で、ともに原産地は北アメリカ南部から熱帯アメリカとされています。エビスグサの和名の由来は先日も紹介しましたように異国から来た薬草ということで胡(異国人)の薬草という意味でつけられたようですが、ハブソウという和名の由来はハブなどの毒蛇に噛まれたときにハブソウの葉を揉んで傷口に擦り込むと効果があるということにちなみます。でも、その薬理効果は実証されておりませんので、ヘビに噛まれたときは傷口から血と毒を一緒に吸い出す応急処置をして、絶対に医療機関にかかってくださいね。


さて、それぞれの花はというと、エビスグサの花は平開せずに下向きに咲くのに対し、ハブソウはしっかりと平開し横向きに咲かせます。



そして、ハブソウもエビスグサも葉は小葉が4〜6枚の偶数羽状複葉で、1枚目の写真と先日の記事のリンクのサムネイル画像から何となく見てとれるかと思いますが、エビスグサの葉先は丸くてハブソウの葉先は尖っています。


また、ハブソウもエビスグサも花後に細長い莢果ができますが、ハブソウの莢果は太くて短く、上向きにまっすぐ伸びます。それに対し、エビスグサの莢果は細くて長く、湾曲しながら下向きに伸びていきます。

ハブソウの莢果


エビスグサの莢果(先日の記事より再掲)


この莢果の中にある種子をハブ茶として利用するわけですが、ハブソウよりエビスグサのほうが栽培しやすくて採種しやすいので近年はエビスグサの種子を焙じたものを煮出したお茶を「ハブ茶」としているそうです。

また薬草名ではハブソウは「望江南」でエビスグサが「決明」となり、生薬として用いるそれぞれの種子を「望江南子」と「決明子」と呼びます。望江南子は健胃や利尿作用があり、決明子は先日も紹介したとおり便通をよくしたり視力回復の効能があるとされています。

・・
・・・
先日の記事でうっかり触れ忘れたので、最後にちょっとだけ余談。

先述のハブソウの生薬名である「望江南」の語源は調べきれませんでしたが、エビスグサの生薬名である「決明」の語源は効能の視力回復、すなわち「明(めい)を決(ひら)く」に由来する名前です。

そして、4人組音楽グループの「ケツメイシ」のグループ名はこの「決明子」に由来するそうです。グループのメンバーのうち2人が薬学部を卒業した薬剤師さんで、薬草の効能になぞらえて「すべてを出し尽くす」といった意味が込められているんだそうですよ。

ただし、これは表向きのことで実際は命名後に適当に理由をつけただけで、本当は生薬名から適当に選んでグループ名にしたという説もあるそうですが……

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アイノコノウゼンカズラの花... | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。