京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

オトメ? ヒメ? まさかヤサカ?

2021-04-03 08:27:45 | 園芸・植物・自然環境
出町柳から京の奥座敷の八瀬比叡山口と鞍馬を結ぶ叡山電車。ガタゴトとのんびり走る電車で、出町柳駅から一駅目の元田中駅から次の茶山駅、北大路通の踏切までは沿線沿いに道路が走り、さまざまな植物が生えていて車通りも少ないので、ゆっくり観察できる場所のひとつです。

帰化植物ですが、そろそろ在来種のゲンノショウコ(現の証拠)の近縁種で北アメリカ原産のアメリカフウロ(亜米利加風露)の花が咲き始めているかなと思い、先日カメラを持って沿線沿いを歩いていると、このあたりではちょっと見慣れない花を見つけました。アメリカフウロではなさそうですが、同じフウロソウ属の花には違いないようです。




咲き終わって花弁が落ちた姿。




こちらは萼が閉じて、子房が膨らみ始めている姿。




最初はアメリカフウロの色変わりかなと思いましたが、アメリカフウロは淡紅色から白色の花で、これまでにそのような報告はなく、花弁の弁端が軽くへこんでいます。こちらは2年前に、同じ場所で撮影したアメリカフウロの花。


アメリカフウロの花(2019年3月撮影)


ただ、アメリカフウロの花を見つけることが頭の中に占めていたのと、この花の咲いている群落の中からひょっこりとこのようなアメリカフウロの葉が見られるので、次に思い浮かんだのがアメリカフウロの花の色を濃紅色にしたオトメフウロ(乙女風露)でした。


アメリカフウロの葉


でも、オトメフウロはアメリカフウロをそのまま紅色にしたような花なので、かたちが違います。




何だろうと思いましたが、葉のかたちを見ると在来種のヒメフウロ(姫風露)にそっくりです。




ただしヒメフウロの葉にしては切れ込みが浅く、何となく丸みを帯びた葉のような気がします。そして、ヒメフウロの花は雄しべの葯や雌しべの柱頭が紅色をしているのですが、この花の葯は見られなかったものの本来紅色である箇所がすべて黄色く見え、葯や柱頭が黄色いものは帰化種のヤサカフウロ(弥栄風露)であるようです。

こちらは2年前に志賀越道で見つけたヒメフウロの花。ちょっとわかりにくいですが、葯や花糸、雌しべが紅色を帯びています。


ヒメフウロの花(志賀越道の路肩にて2019年4月撮影)


そして、どうもこの2019年に同じ場所でこの花を撮影していたようですが、何かよくわからずお蔵入りにしていたようです。


2019年に同じ場所で撮影していた花


ヒメフウロ同様にヤサカフウロも花弁に地色より濃い紅色の筋が入るようですし、帰化種のほうが在来種より逞しいような気がするのでヤサカフウロなのかなと考えています。

もう少し他の特徴も観察して、より確実な同定を試みたいと考えています。

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