秋の日はつるべ落とし...9月も過ぎ、日の暮れるのが早くなりました。
山々は静かにその姿を保ち、高い空との稜線をくっきりと描いています。
その独特な紅い色に目を惹かれると...ところどころに群れをなして咲く彼岸花は季節の訪れを主張しているかのようです。
先日は中川のKさん宅にお伺いしました。
ご高齢にもかかわらず現在も山のお仕事をされているKさん。
昔ながらのお家、玄関の軒先には手作りの杉玉が。お隣には丸太を切ったアレンジメント!
倉庫では出荷への出番を待つ北山丸太たちが並べられています。
Kさんが心を込めて育てた北山杉。人造絞りや天然出絞(でしぼ)、磨丸太、色々あります。
もっと見ていたいけれど今日のお目当ては...
私たちのリクエストに応えて颯爽と登場して下さった奥さまの出で立ちをご覧下さい。
これが中川の伝統的な女性の作業着、「たちかけ」の姿です。もんぺとは違うのが判りますか?
今ではほとんど着ることはなくなりましたが、昔はみんなこのように手拭いで姉さんかぶり、手作りの半纏にたちかけで山仕事を手伝ったり、こむきや丸太を磨いたりの作業をしていたそうです。
絣の半纏にたすき、そして「たちかけ」は三幅前掛けという三枚の布地を接いだ巻きスカートのようなものをあわせてはきます。
三幅前掛けには幅広の紐がついていて、明るい柄をもってくるのもチョッとしたおしゃれだそうな。
横姿と後ろ姿。
時代の流れとともに衣食住は変化してきました。
特に着るものはより機能的になり、今ではほとんどこの姿は歴史紹介や観光対象としてしか見ることは出来ません。
けれども絣という素材は夏は涼しく冬は下に着込めば暖かい。長袖にたちかけは作業に適し虫なども防御できる、これ以上ないくらい快適で機能的なものだったのではないでしょうか。
先人の知恵に感服すると同時に中川の北山丸太は女性たちの支えがあってこそ、という思いがしてきます。
たちかけ姿は消えても、中川の女性が持つ何か根性のすわったような力強さはずっと伝えられている。だからこそ、北山丸太は消えないように。。
引退した今もパリっと糊をかけて大切にしまわれていたKさんのたちかけには、そんな願いが込められているような気がしました。
最後に...
「半纏とたちかけの隙間にちらっと襦袢を見せるんや。見せるから赤いもんとか可愛いもんを着てな。」
Kさんの奥さまは、乙女のように微笑みながら教えてくれたのでした。。
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