Lady Ella

ひとり語り・・・

老舗

2004-10-20 18:07:15 | 酔言
夕陽が急ぐ秋の夕暮れ時、少しだけ物静かになった
私はその店のカウンターに腰を落とす。
奥の調理場ではかなりのご老人が、機械的にただ黙黙と
いなりをまきつづける。その手はもう何十年も酢飯に
洗われて赤ん坊の手のようにプクプクとしている。
「すみません、いなり20個麻の実ぬきで・・・」
「はいよ~」常連らしいご婦人がいなりを買っていった。
小さなテーブルに腰掛けたじいさんは遠い目でまるで
昔の活気を懐かしむかのようにお酒を啜りこむ。
「ビールを」いつもより少しだけ苦いその液体が喉を
くすぐりながら、ただ暖かい昭和の灯りを胃袋にともし
ながら滑り落ちた。「いなりとうどんを」もっと暖かく
なれる・・・ご老人の目は笑わない、ただうなずく。
4代目はまだ人の街を雑踏に埋もれながら彷徨する。
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« カレーライス。 | トップ | 台風の、 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
少し前の (克生)
2004-10-21 01:55:19
事で恐縮ですが、Chiwakoさんが口ずさんでいた歌、捜しものをしていて偶然見つけました。

「とまどいトワイライト・豊島たづみ」だと思います。思い出せないままがいいって事もあるので迷いましたが言いたがりなのでゴメンなさい。

マスター!これまた宇崎夫妻の作品でした。

それにしても台風・・・そう俺の家は俺が生まれて4時間で流されてしまった・・・らしい・・・残念ながら記憶が・・・あってたまるか!
返信する
それって、 (ella)
2004-10-21 04:21:32
手持ちのなかから見つかったのですか?私全然知らない人でした。でも宇崎夫婦はすごいですねぇ、いい唄なのでしょうか・・・ちょっと聞いてみたいかな。
返信する
おはようございます♪ (chiwako)
2004-10-21 09:10:13
克生さんありがとうございます!ずっ~と知りたかったので

めちゃめちゃ嬉しいです(〃⌒ー⌒〃)

なんでしょ・・・唄っていた方の声なのか歌詞なのか・・・

なぜか忘れることができません

ふとした時、頭の中に流れるんですよね。。。

今、調べてみたら私が13歳の頃の曲でした

こんな歳に何でこんな曲を・・・



機会がありましたらぜひ聴かせてください♪

返信する
よかったぁ。 (ella)
2004-10-21 12:37:34
chiwakoさん、ほんとこの類の事がわかんないと腹立つんだけど、どうしようもない時のほうが多くて・・・そのうち自分でも忘れてしまい、また急に思い出して気になって・・・懐かしくて思い出せない唄特集でもしてみますか。
返信する

コメントを投稿

酔言」カテゴリの最新記事