花と文。(暮らしと本と花と)

日々の心に残る記しておきたいこと。

ある母子の物語を観に。

2015年10月13日 | ひとりの芸術家

チケットをいただいたのもあり、お天気に誘われて

目的はJR京都伊勢丹の中にある美術館「えき」。

 

モーリス・ユトリロ(1883~1955)とその母スュザンヌ・ヴァラドン(1865~1938)

その2人の親子の物語。

私生児として生まれたヴァラドンは幼い時にパリに出る。サーカスの曲芸をしていたが

空中ブランコから落下して退団。ルノワール、ロートレックといった著名な画家たちのモデルとなった。

様々な恋愛関係、18歳で父親のわからない息子を出産し、49歳で21歳年下と再婚する。

自由奔放でエネルギッシュな生き方、ドガが絶賛したデッサン力や個性的な裸婦像などでも圧倒的な

存在感を示している。

 

ユトリロは母ヴァラドン18歳の時に、パリ・モンマルトルで生まれる。父親は不明。7歳の時に、母の結婚相手に

息子として認知されモーリス・ユトリロとなる。絵画と恋愛に忙しい母のもとで、寂しい環境の中、

10代の頃から飲酒癖があり20歳でアルコール依存症のため入院。

治療の一環として医者にすすめられたのが絵を描くことだった。(チラシから抜粋)

 

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ふたりのことについては、かつて観た展覧会で知っていたけれど

このようなまとまった作品を観たのは初めてだった。ユトリロの絵は

有名だったので(私にとって)見れば、あぁユトリロだなというのはある。

 

ヴァラドンの絵は実は数年前までは自覚したことがない。

今回改めて出合って思ったのは、情熱のはじける感覚。

主張の強さ、見せたいものが何なのかが伝わってくる。

太い輪郭線、はっきりとした色彩、美しい女性の体のライン、何が美しい仕草なのか

そういったものを熟知した人。

人が見て、魅力的なものとは何たるかを知っていたからこそ、多くの芸術家たちに

愛されたのでは、そんな感想を持った(あくまでも私の感じ方)。

 

ユトリロの絵とヴァラドンの絵は、まったく似ていない。

時代の色だけが同じように伝わってくる。

 

ユトリロは孤独の中に生きて、絵を描いた人。

晩年は結婚もして、71歳で亡くなる。

晩年のことまでは知らなかった、解説には穏やかな日々だったとと記されていたが。

波乱万丈とはこのことかと2人の人生を語られるときには、そうなるだろう。

母を選べない、ユトリロに同情するものの

ドラマティックに生きたからこそ、作品が生まれたのだとすれば

その運命を受け入れて生きぬいた証が、今ここにあるのだとそんなふうに見た。

            

3枚だけポストカードを買った。

いつも直観で選ぶことにしている。左の一枚だけユトリロのもの。

・・・・・・

ここの美術館は伊勢丹の7階にある。天井も低くて、狭いぶん、作品が我が身に迫ってくるように

感じる。親密であるかのように近しい感覚を持たせてくれたから

絵を味わうには、とても良い美術館だと思った。

 

 

 

 


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