花と文。(暮らしと本と花と)

日々の心に残る記しておきたいこと。

誰かに聞いてもらえたなら。~こころの処方箋~

2014年03月22日 | 

 

尊敬しています。

臨床心理学者 河合隼雄氏  お亡くなりになっておりますが

大切にしている心の一冊です。

「こころの処方箋」 新潮文庫 河合隼雄 著


ひょっとしたら以前にもブログに載せたことがあるかもしれません。
本棚に見つけました。
古めかしい装丁に、このタイトルなので
何か重苦しい内容なのでは?という印象を持つかもしれません。
意外にも中庸を行く感じが心地いいんです。


多分この本を手に取った時には、消化しきれない何かを抱えていたかもしれないし
出口が見えないかのごとく、道に迷うようにして生きていたのかもしれません。
随分昔に買った本なのでわかりませんが。

55に分かれて、テーマに添って紐解いていく感じです。
そしてなんとも寛げるような語り口。
専門家に聞け・・・とはよく言ったもので
そうなのか、と膝を打ちたくなるのです。
気づいていたけど、やっぱりそうなのか。
そんなところに行き着きます。

・マジメも休み休み言え
・心の中の勝負は51対49のことが多い
・説教の効果はその長さと反比例する
・灯を消す方がよく見えることがある
・一人でも二人、二人でも一人で生きるつもり
・・・・・
タイトルも粋ですが、読めば、なんだか肩の力がすっと抜ける。

まさに処方箋なのです。

最後に詩人の谷川俊太郎さんからの言葉が添えられている。

~河合さんには三つの口癖があり
「分かりませんなぁ」「難しいですなぁ」「感激しました」・・・
・・・河合さんの言葉は、決して難しい言葉ではない。すべてなるほどと腑に落ちる言葉ばかりである。「分かったつもり」の「常識」をあるときはずらし、あるときはくつがえして、私たちに新しい視点をもたらしてくれる。・・・私たちは偉い学者の書く難解な言葉に重みがあると考えがちだが、河合さんは大変な学者であるにもかかわらず、万人に「分かる」言葉で語る・・・・~(谷川俊太郎さんより 抜粋)



常識を疑ってみる。正義とやらを疑ってみる。


またそこから出発できる何かがある。


誰かに聞いてもらいたくても、期待する反応が望めない。

そんな気分の時にでも、河合さんのぐるりと見渡す優しい目線と言葉が
きっと救ってくれる。

そんな一冊だと思うのです。



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