花と文。(暮らしと本と花と)

日々の心に残る記しておきたいこと。

クレーが好きな理由。

2015年11月03日 | ひとりの芸術家

「パウル・クレー だれにもないしょ」展

兵庫県立美術館 2015.11.23(月・祝)まで

図録を買った。

ほかの展覧会で観た時には、まったくそそられずに

あるとき、ふっと心の中に紛れ込む。

色合いと線描と、そのどれもが美しくて

まとまった作品に出合ったからこそ

その、なんとなくだけれど、意図するところがわかるようなのだ。

私の身勝手な見方だとしても

クレーと私の中にある、ある共通項を見出す。

好きな絵を探してみる。どれもこれもが好きなのだけれど

たとえば「橋の傍らの三軒の家」1922.

燭台 1937・

彼にとっての世界が、今、私の心にぐっと迫る。

この図録は言葉がとても多くて、現代ではあまり使われていないだろう漢字なども使われている。

難しいと言うひとも多いかもしれなくても

それを紐解く、そんなスリルも味わえる。

解釈を理解できるかどうか。

 

辻井喬 

薔薇の風

かつて、西武百貨店の社長であり、作家。

そのある方の詩も寄せられていた。

一言、一言をじっくりと味わいたいなと思う。

書いた人の人生もきっとどこかに垣間見れるはず。

谷川俊太郎 詩集が、そういえば出ているのを見たことがある。

点と点がつながった。

谷川俊太郎

彼女は吠え、僕たちは叫ぶ

 

みちはどこへつうじているのか

こどもらはまだここしかしらない

すなぼこりをあげてとっくみあっている

 

ははおやはもうしっている

せかいがどんなにふたしかなものか

うたはつかのまのなぐさめ

 

あおぞらにうかぶくもはすぐにきえる

にんげんはせんそうをするいきもの

ながされたちはだいちにかえる

 

たちがれたきにことりがとまる

せんのみちにまよいながら

こころはほほえみのあしあとをさがす

 

・・・・・クレーの作品には数多くの詩が捧げられており、それはクレー受容の重要な一角をなしている。

またクレー自身も詩を書き残し、それは没後『詩集』として刊行された。・・・・・

本展のドイツ語サブタイトル「Spuren des Lachlns(ほほえみのあしあと)」は、ここに掲載した

谷川俊太郎氏の作から拝借した。

この詩はベルンとケルンで開催された展覧会「Paul Klee und der Ferne Osten(パウル・クレーと東アジア)」

に際して書きおろされたものである。・・・・・

                                    展覧会 図録より

 

 

私のまったく個人的な見方であるけれど

クレーはとてもお洒落なのだ。色彩感覚は飛び抜けていて、その配色にまず心奪われる。

子どもでも描けそうな優しさのかたちを持ちつつ

掴みどころのなさに

ますます私の心は揺さぶられる。

いつまでも、家に飾っておきたい

本の見開きを自由にして、ダイニングのカウンターに置いておいてある。

何度見ても飽きないから

きっといつまでも、私の住む家の一角にさりげなく存在を示していることになるだろうと

そんな期待を込めて、今回珍しく図録を買ったのだった。

 

 

 

 


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