貸してくださる方がいて、読みました。
「火花」 又吉直樹著
面白かったし、美しい文学という印象を受けた。
お笑いの世界で生きる人の矜持のようなもの(どんな世界でも共通している)に
焦点をあてて
何か理想としているものがある人間が、受け取る側の都合によって
自分を変化させながら生きていくことは空しい。
抗うこともできずに葛藤する、あるいはそういうふうに生き切る人間と、
現実をあるがままに受け入れていくことを良しとする人間。
二つの狭間で揺れ動く。
又吉さんの「そのまま」であって(eテレの「オイコノミア」を時々観るのだけれど、ほんとにその印象)
人間の根本にある善いものに気づける感性のある方なんだろうなと
そんなことを思った。
昨日の2時間くらいの間に読めるくらい、次々と読みたくなる。
悲しくてあったかい、そんな小説に出合った感じだった。
・・・・・
もっと本を読みたいなと久しぶりに思う。
そういえば、小説をあまり読んでいない。
人の心の中って思えば不思議。自分と他人。
そこに差はないだろうなと思うようになったこの頃。
人間というものが(少しだけかもしれない)わかってきたのかなと思う。
小説を読むと人間というのがわかるような気がするのは
気がするんじゃなくて、書いた人も人間だから
共感できる部分があるのはあたりまえなのだ。(だれでも気づいていることだろうけれど)
感性が豊かな人がいて、それを表現できたのなら
やはり共通見解が増えていく
人間同士のつながりを感じる
そういう役割があるのだなと思うのだった。