ニューヨークの日本領事館より、本日「地下鉄における安全対策」について
注意喚起のメールをいただきました。ありがとうございます。
転載してお知らせします。
(転載ここから↓)
●当館管轄地域内の地下鉄において、邦人の方が暴力の被害に遭う事案が発生しています。
●時間帯や場所に関係なく、地下鉄を利用される際は十分御注意ください。
1 最近、地下鉄で被害に遭った邦人の方から以下の情報提供がありました。なお、残念ながら、いずれのケースも容疑者は見つかっておりません。
(1)(フィラデルフィア市)4月下旬、午後6時半頃、邦人家族4人がフィラデルフィア市庁舎に隣接する地下鉄15th St. Station駅で降車し、ホーム中央付近にあるエスカレーターに向かってベビーカーを押しながら歩いていたところ、ホームの隅にいた4人組の男が向かってきて差別的な言葉を発し、うち一人がベビーカーを押していた父親に菓子袋を投げつけた。また、他の男がフタの開いた牛乳のペットボトルを投げつけ、子供と手をつないで歩いていた母親が牛乳を浴びる被害があった。
(2)(ニューヨーク市)4月中旬、午後7時頃、帰宅途中の邦人女性が都心からブルックリン行きの地下鉄に乗車したところ、Dekalb Avenue駅到着の寸前になって、向かい側に座っていた男が近寄ってきてすぐ左側に立った。違和感を覚えたが無視して携帯電話を見ていたところ、男に右肘で左目辺りを殴られた。相手の男は悪びれる様子もなく、「電車のせいだ」と言って降車した。被害に遭った邦人は目が腫れ上がり、視界がぼやけるなどの症状があり、救急車で応急処置を受けた。
(3)(ニューヨーク市)3月下旬、午後6時頃、NBAの試合を観戦した邦人男性が、試合後、地下鉄Fulton Street 駅の階段を降りたところ、背後から2人組の男に突然襲われ、頭部を繰り返し殴打された上、旅券、現金、クレジットカード、運転免許証などを奪われた。被害者は、途中で意識を失ったが、臨場した警察官の付添いで病院に搬送された。被害に遭った邦人は顔に外傷、出血があり、一時的に記憶が低下するなどの症状が見られた。
2 上記(1)及び(2)の事案は、事前にトラブルになるような予兆はなかったとのことですので、ヘイトクライム(憎悪犯罪=犯罪行為+敵意や偏見)に該当する可能性(立証するのは難しい面があります)、あるいは相手がアジア系に対し良い印象をもっておらず、些細なことに腹を立て、突発的に起こしたヘイトインシデント(憎悪事案。犯罪行為には至らないもの)に該当する可能性、また(3)については、たまたま目に留まった邦人を狙った強盗だった可能性などが考えられますが、以下のような共通点があります。
●夕方の時間帯に発生している。
●周囲に人がいる。
●相手とトラブルになるような予兆はなく、突発的に起きた印象がある。
●たまたまターゲットにされた可能性がある。
●車内や駅構内といった狭い場所で被害に遭い、簡単に逃げ出せない。
●不意の出来事であり、驚いてすぐに動けない。
なお、このような被害を受けた場合、人によっては電車に乗ることに対し恐怖心を覚えたり、また自己肯定感が低くなったりする(自分を責める)など、フラッシュバックして身体面や精神面に悪影響を与えかねません。予期せぬ事件などによって心身に重大な被害を受けた場合は、速やかに警察(911)に通報、相談してください(日本語通訳サービスがあります。また、被害者支援制度や心のケア・サポートもあります。)。
3 多くの人が利用する地下鉄での暴力は決して他人事ではなく、また相手が銃やナイフなどの凶器を持っていることもあり得るため、十分な注意が必要です。また、FBIの統計では、ヘイトクライムが起こりやすい場所として、住居や家の近く、学校、歩道、駐車場、鉄道ターミナルなど、日常生活で当たり前のように過ごす、あるいは往復する場所が最も被害に遭いやすいとの傾向が示されています。地下鉄などの駅構内やホーム、車内では、見知らぬ人たちが狭い空間に押し込められる形となりますので、些細なトラブルで感情が表に出たり、意図しない行動が相手を刺激したりする可能性もあります。公共交通機関内では、他にも様々な犯罪が報告されていますので、日頃から防犯対策に留意し、犯罪に巻き込まれないよう心掛けることが肝要です。
4 在留邦人の皆様におかれましては、同様の被害に遭わないようにするため、以下のような行動をとることも効果的な対策となり得ますので、御家族や身近な方とも共有の上、安全対策に役立てていただきますようお願いします。
また、当館HPに掲載の「写真でわかる地下鉄利用時の留意事項」も御参照ください。
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/pdfs/subway.pdf
(1)一般的な注意事項
●常に周囲を観察し、特異な状況を認めた場合に素早く対応できるよう心掛ける。
●駅の構内を移動する際やホームに立つときは、イヤホンを外す。
●携帯電話で必要な連絡をする場合は、常に背後の安全を意識する。
●切符を買う場合は周囲に注意する。
●事前にメトロカードを用意し、素早く改札を通過できるようにする。
●装飾品に気をつけ、目立つ行動をしない。
(2)乗車する際の注意事項
●人の少ない車両を避ける。
●できる限り単独での利用は避ける。
●駅職員や警察官の有無を確認し、近くで待機する。
●利用客の様子など周囲に注意を払い、挙動不審な者を見つけたら直ちに場所を移動する。
●電車を待つ間、ホームの壁などを背にして立つ(線路へ突き落とされることを防止)。
●降車駅のエスカレーター(出口)近くに乗車する。
●ホームから線路に身を乗り出したりしない。
●座る場合は、発車直前のひったくりを避けるため、ドアから離れたシート中央に座る。
●夜の時間帯や人がまばらなときは、編成車両の真ん中あたりや最後尾に配置される「車掌車」の近くに乗る。
(3)車内における注意事項
●高価なものは外に出さない、見せない。
●リュックサックは前に持つ。
●車内では絶対に寝ない。
●危険を感じたら、次の駅又は多くの人が降りる駅で降車する。
●異常な行動をとる人には、注意しつつも目を合わせない。
●車内の非常通報装置(Emergency Intercom)の位置を確認しておく。
(4)不審者を見つけた場合の注意事項
●素早く場所を移動する。
●相手の動きに注意しつつも、じっと顔を見つめない。場合によっては、周囲に助けを求める。
●言葉による嫌がらせを受けても応じず、無視する。
●嫌がらせや危害を受けても絶対に挑発せず、周囲に助けを求める。
《御参考》
【当館HP】ニューヨーク安全マニュアル
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/j5/index.html
(地下鉄・バスでの安全対策)
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/j5/050-subway.html
(事件や事故に巻き込まれたら)
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/j5/07.html
【FBI】Hate Crime Statistics(ヘイトクライム統計)
https://ucr.fbi.gov/hate-crime/2019
【Department of Justice】REPORT A CRIME(犯罪報告)
https://www.justice.gov/actioncenter/report-crime
【Office for Victims of Crime, Department of Justice】Help for Victims(犯罪被害者支援)
https://www.ovc.ojp.gov/
https://www.ovc.ojp.gov/help-for-victims/help-in-your-state
【MTA】Safety and security(安全・安心のために)
https://new.mta.info/safety-and-security
(転載ここまで)
いずれも理不尽な事件で、被害に遭われた方は本当に怖い思いをされたことでしょう。
心身ともに回復されますよう、心よりお祈りします。
上の事案のうち3番目の、地下鉄「Fulton Street 駅」は
違う路線でマンハッタンとブルックリンに同じ名前の駅があります。
NBA観戦の帰りということなので、ブルックリンのバークレイズセンターの最寄駅かもしれません。