地下鉄ダンサーのバックグラウンド

先日の記事で、NYCの地下鉄でダンスをするグループについて
取り締まりが厳しくなっているというニュースを、実際遭遇したことがある者としてご紹介したのですが、
「彼らが踊る理由」というのをもっと掘り下げた記事がありました。

Smooth Criminals
How Subway Dancing Became A New York City Art Form -- And A Crime

単にブラックカルチャーとかストリートカルチャーの一現象というのではなくて、
彼らが何故地下鉄車内に出没するのか？その理由や彼らの普段の生活、NYCの社会構造など
長いですが、色々と考えさせられました。
動画や写真もあるので、それを眺めるだけでも楽しめる記事でもあります。

公立の教育では主要教科以外は切り捨て傾向にあり、家庭での芸術教育に余裕がない子ども達にとっては
ストリートで見ることができるダンスなどのパフォーマンスが、アートの学びの機会でもあること。
家庭に色々問題があり、高等専門教育を受けて高収入のキャリアを、というような将来が描けない子は
自分のパフォーマンスでお金を稼ぎ、最先端のファッションアイテムを誰よりも早く入手することが何よりも楽しみ、とか、
単純に違法行為だから、迷惑行為だから禁止すれば良いという話ではないこともわかります。
確かに麻薬とか犯罪でお金を稼ぐことに比べれば、ダンスそのものは決して悪いことではないですし。

おそらく地下鉄パフォーマーを取り締まっても、根本的な問題解決にはならないのだと思います。
かといって、この子たちに高等教育の機会をもうけてキャリアパスを用意したとしても、
将来的にそれが高収入かつ安定した生活に結びつくとわかっていても、全員がそれを選択するわけではなく…。

いろいろこれまでの経緯とか、あと政権や行政の長が変わると、結構ガラっと方針が変わったりするので、
なかなか難しいですね。

建前とか綺麗事ではすまない現実が垣間見える内容でした