『母の日』ですね。
息子から、綺麗なカーネーションの花束が届きました。
『母の日』が来る度に、息子から忘れずに届くカーネーションです。
それを見ながら、母であることの喜びに浸っている私ですが、でも、その、喜びの中にチクリと痛みが走るのも、毎年のことで。。。。
私の長男夫婦は、結婚するとすぐに子供を授かりました。
その知らせを聞いたとき、私達夫婦はどんなに嬉しかったことでしょう!!
まだ産まれてもいない孫のことを考えるだけで、未来の『じいじ』と『ばあば』はトロトロに、溶けてしまいそうでした。
でも、その幸せは、長くは続きませんでした。
妊娠何週目だったでしょうか・・・?
「順調に育っていますよ!」と言う、医師の言葉を期待して、嫁は妊産婦の定期検診に向かったのですが、なんと、そこで告げられたのは「胎児の心音が聞こえません!」というもの・・・・。
晴天の霹靂とは、まさに、こういうことを言うのでしょうね・・・?
嫁本人はもちろんでしょうが、私達家族の誰もが信じられませんでした。
だって、彼女は誰よりも健康体でしたし、誰よりも注意深い性格です。
胎児に悪い影響が出ることなど微塵もあるはずがありません。。。。
でも、医師は、胎児を取り出す緊急手術が必要なことだけを淡々と告げて・・・。
長男は泣きました。
気が狂うのではないかと思うほどに・・・。
手術の同意書にサインをすることも拒みました。
「赤ん坊を葬ることになる、そんな書類にサインなどしたくない」・・・と。
子供が出来たと分かったとき、長男は、とても誇らしそうに私達に報告をしてきました。 その時の彼の様子を思い出しながらも、私達にはどうすることも出来ません。
ただ、彼の悲しみを共有し、一緒に泣くだけでした。
そんなことがあって以来、二度と長男夫婦の元にコウノトリが訪れることはありませんでした。 (長男夫婦の年齢を考えると、多分、この先もないでしょう・・・)
現在の長男夫婦は、二人だけで、恋人同士のように仲良く暮らしています。
二人で負った傷を、二人で癒やしてきたのだろうと思います。
考えようでは、その分、二人の絆も強まったのではないかという気もします。
私自身は、孫はいてもいなくても、何も変わりません。
息子と嫁は、かけがえのない家族・・・と思うだけです。
ただ、毎年、『母の日』が来ると、母になれなかった嫁の気持ちを思い、胸にチクリと痛みが走るのです。。。。