●市政news/No6/2023年10月1日号
10月からの実施の中止を求める54万ものオンライン(インターネット)署名に背を向け、岸田自公政権が強行した消費税インボイス制度は、消費税の課税業者にも免税業者にも消費者にも自治体にも負担増をもたらすものです。
売り上げが1,000万円以下の消費税の免税業者も10月からは、インボイスを発行する登録業者になると売り上げが1,000万円以下でも消費税を納めなくてはなりません。
消費税が重荷になり「廃業するしかない」と考えたり、すでに廃業した業者が生れているのはこのためです。
インボイスを発行する登録をしていないために取引を中止された業者もいるほどです。
インボイス=請求書
インボイスとは、直訳すると請求書という意味ですが、消費税制度におけるインボイスとは、適格請求書という意味になります。
そして消費税のインボイスは、商品やサービスの取引(売り買い)で発生した消費税額を記載するものとなっています。
消費税の課税業者が消費税を納める際には、仕入れで支払った消費税は納める消費税から控除できます。これを仕入税額控除と言います。
9月までは、売り上げが1,000万円以下の消費税の免税業者からの仕入れでも、売り上げが1,000万円を超える消費税の課税業者からの仕入れでも、消費税を納める際には、仕入れで支払った消費税額は、伝票や帳簿に基づき自主申告制度に基づいて控除することができました。
10月からはインボイスがなければ仕入税額控除ができない
10月からは、商品やサービスを仕入れた際に支払った消費税を、納める消費税から控除する時には、仕入れ先の業者が発行するインボイスを保存していなければ、仕入れで支払った消費税を納める消費税から控除することができなくなりました。特例や経過措置はあっても期限付き。結局、増税・負担増となります。
アニメ、声優、漫画、小説、絵本が衰退の危機
アニメや声優、漫画などのエンタメ業界では、インボイスによって若い有能な人材がエンタメ業界で働き続けることができなくなる危機や、人材の海外流出など、このままでは「アニメ文化の衰退を招きかねない」という関係者からの危惧の声が上がっています。
インボイスを発行できないからと切り捨てられない
「いない いない ばあ」という、年間約20万部、累計735万部を誇る日本で一番愛されている絵本をはじめ、紙芝居などを出版している「童心社」は、「インボイス制度の導入は反対」と声を上げ、インボイスを発行しない絵本作家や取引先と、従来通りの取引を継続すると表明しています。
童心社の社長は、「『消費税をお願いします。駄目なら原稿料から引きます』とは、とても言えない。その人の作品や原稿、デザインが欲しくて仕事をお願いしているので、『登録事業者』で代わりを探せばいいという話ではない」「技術を持っている小規模な業者とも協力して紙芝居を製作してきた。そういう人たちを切り捨てるなんて、ありえない」と言っています。
また同社の社長は、「出版業界では著者や製作に携わるフリーランスなどが免税業者であっても『インボイス』の発行をお願いせざるを得なくなり、出版に携わる人々の関係を悪化させたり、免税業者である人々が取引から排除されたりすることが起きかねず、出版活動に支障をきたす懸念が大きい」と強調しています。
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