●市政news/No6/2023年10月1日号
免税業者も課税業者も消費者も負担増
増税か取引からの排除か
廃業の危機
中止を求める54万ものオンライン署名に背を向けて10月から強行されたインボイス制度は、売上1千万円以下の免税業者を、消費税を納める増税という負担増か、事務負担の重いインボイスを発行できないことで取引からの排除かという、経営・廃業の危機に追い込むもの。課税業者にも消費者にも自治体にも、負担増をもたらします。
国会ではインボイス制度が実施されることで電気代が値上がりすることも明らかにされました。シルバー人材センターへの発注単価引き上げを政府は自治体に求めていますが、こうした対応は住民の負担増につながりかねません。
経過措置があっても10月から増税
インボイス制度における経過措置は、今年10月から3年間は、インボイスを発行できない業者からの仕入れ税額控除は8割。3年後の10月から3年間の仕入税額控除は5割に下がり、6年後の10月からは仕入税額控除がなくなります。
取引停止か下請単価を切るか身銭を切るか
結局親会社は、仕入にかかる消費税のうち控除できない分は、身銭を切るか、下請単価を切るか、末端小売価格を値上げして消費者の負担増になるか、あるいは、インボイスを発行できない業者を切るかという結果になりかねません。
なお政府は、免税業者でも「益税」はないと認めています。
民商、日商、法人会、税理士団体
漫画家協会、アニメーター・演出協会
俳優連合も「反対」「中止」「凍結」を要求
アニメ・声優・漫画などのエンタメ業界では、フリーランスや零細業者が多く、インボイス制度が実施された場合、新たな事務的・経済的な負担が増えるため、エンタメ団体のアンケートでは、21~27%の人が「廃業を考えている」と回答。東毛地区の零細業者からも、「このままでは廃業するしかない」との多くの声が上がっています。
全国の民主商工会や日本商工会議所、全国法人会総連合のほか、税理士団体や日本漫画家協会、日本俳優連合、日本アニメ―ター・演出協会など多くの団体がインボイス制度について「反対」を表明し、「中止」や「凍結」を求めています。
シルバー人材会員、サンダーズ選手にも影響
シルバー人材センターでは、登録会員も課税業者として申告・納税を迫られることになります。クレインサンダーズなどプロスポーツ選手、建設業の一人親方など、幅広い分野で多数の業者が影響を受けることに。地域経済へのマイナスの影響は避けられません。
シルバー人材の利用者、市も負担増
すでに4月から総額370万円値上げ
太陽光パネルを設置し売電している家庭や、飲み物などの自動販売機を設置している家庭にもインボイス登録の働きかけが行われています。
国会ではインボイスで電気代が値上がりすることも明らかにされました。政府は自治体に、シルバー人材センターへの発注単価の引き上げを求めています。
実際に市シルバー人材センターは4月から、利用者が利用料と合わせて払う事務費を7%から9%に値上げ。値上げ総額370万円は、シルバー人材センターの登録会員から仕入税額控除ができない分に全額補てんされます。
6年後には総額1,850万円値上げ
6年後の10月から経過措置による控除がなくなると、センターの事務費は17%、補てん分、つまり値上げ総額は単純推計1,850万円になります。
この値上げ総額のうち市など公的団体の負担は約400万円と推計されます。
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