仮題 ゴルフ場に犬を連れて行く

日常の取るに足りないこととか、、過去に某機関紙に投稿したエッセイを中心に掲載しています~~~◎

54 ツレずれ雑文-15

2023-06-29 | エッセイ

54 ツレずれ雑文-15

 

昨日のカレー

今月1日、我事務所の開設記念日に合わせたように母が急逝した。

わざわざそんな日を選ぶのは母のそちらの事情かもしれないけどなんだかね・・・

出棺の時、姉や孫たちが思い思いに「おばあちゃん、美味しいものをつくってくれてありがとう!」と次々と田舎のB級料理名を言った。「クジラ汁」とか「コロッケ」とか・・僕は最後に小さな声で「昨日のカレー」と言った。それしか浮かばなかったのだ。

・・そう、僕はあの「母上の昨日のカレー」を作りたかったんだ。

あれは札幌オリンピックの開催された1972年頃、僕は中学生で土曜日の午後に友人が遊びにきていた。 その時におやつ替わりに母上が出してくれた昨日の残りカレーである。「芋と人参と玉ねぎと豚肉の角切に市販のカレー粉」のごく普通の家庭カレーでご飯は今朝の残りの冷や飯だった。

最近そんなカレーを思い出すことがあって五年くらい前から再現を目指しているのだが特にハチミツを入れるような裏技もないはずなのに出来ないのですね。ルーだって当時からあった「インドカレー」か「ヒデキ感激のバーモント」か「ジャワカレー」のいずれかのはずなのにね・・・

 結果として北海道にいる母と最後にあったのは一昨年の9月だった。 その時なぜかあのカレーの話になったのだが認知症の進度と競うように耳が遠くなった母には聞こえているのか理解しているのかさっぱりわからずただ僕の話に頷くだけだった。 呆けていなくたって50年前に作ったカレー粉の銘柄なんて覚えてないよね・・・

     

 

・散歩中のこと

愛犬の散歩中、後ろから「可愛いですね」と2回聞こえて振り返ると人懐こそうな女子中学生が立っていて「触ってもいいですか」と言った。

「大丈夫ですよ、この子は14才なんです、多分貴女と同じくらいでしょ?」と言うと ニコニコして「違います、高3です」といった。 オーマイガー!!やっちまった、怒ったかな? でもあと10年もすると心から嬉しく思えるはずだよ

(2023/0629 機関紙に寄稿予定)