■ 66 父上のカーメモリアル
父は晩年の85才までマイカーを運転していた。札幌郊外の町では移動に車は欠かせない。病院へ連れて行く同居人もいなく仕方なかったのだろうが「ちょっと海を見に新港へ行ってくる」とも言っていたようなので運転は好きだったのだろう。確か28年間この昭和の角型のトヨタカリーナ(4代目1800SE)に乗っていたがスーパーの駐車場にいると窓をトントンと叩いてくる人がいて「いやあ、以前私もこの車乗っていました♡よく今までお乗りですね♡」と声を掛けられることが時々ある と喜んでいた。
父のカリーナを帰省時の外出やスキーによくお借りしたものだがインテリアはレースのカバーやバンプーのシートがなされ昭和そのものだった。目立たないが、試験には5教科共、平均点が取れるクラスメイトのような大人しく静かな車だった。
父が多分これが最後となろう入院となった時に病院に見舞いに行くために乗っていった。帰って車庫入れをし、キーを抜こうとしたらどうやっても抜けず真っ暗な車庫で悪戦苦闘した。イグニッションキーを差し込む部分の上に丸いボタンがついており同時に押していなければ抜けないことをすっかり忘れていたのだ。 だったらどうして病院の駐車場ではスムーズに抜けたのだろうか不思議だった。
2014年2月末、父が亡くなり葬儀が終った確か翌々日、カリーナは義兄に手続きを任せ廃車手続きしてもらった。これはその時、父の相棒の見送りをした最後の写真である。 確か1972に初代カローラ1200ÐX(中古)、1976初代カリーナ1600(中古)と親戚の御下がり中古車を乗り継ぎ1985年早期職場リタイヤしてから初めて4代目カリーナ1800SEを新車購入、最期までワンオーナーで約28年、走行距離は不明・・・特に遠くへ旅行に行くわけではなく近所への足として使っていたが10万km以上は間違いない。
(2024/02/28 未発表)