運転手の休息「最低9時間」案、タクシー業界の作業部会も継続審議に
国際基準の11時間求める声も長時間は居眠り等事故の元。
バスやタクシーなど運輸業界で働く運転手の過労防止策を議論する厚生労働省労働政策審議会は21日、タクシー業界の作業部会を開いた。勤務終了から翌朝の始業までの休息時間を「最低9時間」とする同省の案について、労働組合代表の2人の委員のうち、1人が国際基準の11時間に拡大することを求めて反対したが、労使とも容認論が大勢を占めた。結論は出ず継続審議になった。by池尾伸一
国際基準より大幅に短い厚労省案については17日にバス業界の作業部会があり、やはり労使とも容認の意向を示したが、公衆衛生専門家の委員から安全運行が確保できるか不安視する意見が出ていた。運転手の過労による事故が増える中、日本労働弁護団も反対の声明を公表している。
同省は、運転手の勤務終了後の休息時間について9時間以上取らせることを企業に義務付けた上で、国際基準の11時間については法律的な義務付けのない努力目標にとどめる案を提示。経営側から参加する2人の委員は受け入れる考えを示した。
労働組合側は1人の委員が「原則11時間とすべきだ」と主張する一方で、もう1人は厚労省案を容認する姿勢を示した。
現在の休息時間は1989年に出された告示でタクシー、バス、トラック共通で「最低8時間」。運転手の過労や睡眠不足による事故が増える中、見直しが課題に浮上。厚労省は通勤や食事時間も考慮し最低11時間とする案をいったんは提出したが、経営側が反対したことを受け「9時間案」を示している。
同省は3月末までに新しい告示案をまとめ2024年4月から実施する考えだと。