首相が海上保安大学の卒業式に出席したそうですねぇ。
史上初というのは、いかに歴代首相が海の警備を重要視していなかったかを表してますなぁ。
海国日本の国境を日常守るのは自衛隊や無い、彼等でっせ。
海上保安庁の全保有船を領海線に出動させても、お互いが視認できんぐらいぽつんぽつんとしか並ばんのです。
何しろ、全部合わせても警備救難業務船487隻、水路業務用船18隻、灯台業務用船80隻の合計585隻しかいて無いんですよ。
日本全体の海岸線の総延長距離は約34,000Km、単純に計算すれば海岸線約58Km当たり1隻ですね。
12海里沖の領海線総延長に展開すれば当然船と船の間はズ~ッと遠くなります。
海面上20mのマストの天辺から同じく海面上20mのマストの高さを持った船を視認できる距離は約34kmです。
見えるといっても勿論マストの先っちょだけが水平線上にのぞくだけですよ。
その隙間を埋めるために、航空機がありレーダーを装備しているというても、そんなもんではアカンのです。
御参考までに:
視認出来る水平線までの距離(光達距離)は、
視認距離(海里)=2.07√h1(水面上の自分の眼の高さ)で求められます。
海面上の船同士の場合、
視認距離(海里)=2.07√h1(水面上の自分の眼の高さ)+2.07√h2(目標物の水面上高さ)。
1n.m.(海里)=1.852Km
領海外の12海里(約22Km)以上沖で、レーダーに引っ掛らん小舟に乗り換えられたらお手上げ。
一寸洒落た船外機付きのゴムボートやったら30分も有れば海岸に着きますねんで。
これほどスカスカの国境警備では、やられ放題で好きなようにされるのも無理はおません。
拉致問題でヤイヤイ言うてるけれど、それを可能にした戸締りの手薄さを誰も問題にせんのは何でやろ?
領海内に侵入して来る所謂不審船のほとんどは、35ノット以上の速度が出るんです。
保安庁でそれを上回る性能の船が何隻あるか、知ったら愕然としまっせ。
おまけに、攻撃される事を想定していない構造(ツクリ)の船がほとんどやしねぇ。
何の事は無い、追いつけんから犠牲者が出んかっただけの事なんですよ。
「巡視船は軍艦と違う、防弾措置は過剰装備」てな事を平気で言うんやから、現場は可哀相なもんですなぁ。
以前不審船にカラシニコフで銃撃されてから、ほんの少しはましになったけどね。
最前線とも言うべき対馬の厳原海上保安部にどんな船が居てるかといえば、
あさぐも:PC204 むらくも型 巡視艇 1978年製 軽合金 全長 31.0M 速力 30ノット 兵装 12.7ミリ単装機銃1基
やえぐも:PC207 むらくも型 巡視艇 1979年製 軽合金 全長 31.0M 速力 30ノット 兵装 12.7ミリ単装機銃1基
なつぐも:PC208 むらくも型 巡視艇 1979年製 軽合金 全長 31.0M 速力 30ノット 兵装 12.7ミリ単装機銃1基
たつぐも:PC215 むらくも型 巡視艇 1981年製 軽合金 全長 31.0M 速力 30ノット 兵装 12.7ミリ単装機銃1基
むらくも:PC106 はまゆき型 巡視艇 2002年製 軽合金 全長 32.0M 速力 36ノット 兵装 12.7ミリ単装機銃1基
りんくす:SS-65 りんくす型 監視取締艇 1999年製 FRP 全長 12.0M 速力 50ノット 兵装 無し
隻数こそ6隻ですが内4隻は船齢25年以上の婆さん船。
「りんくす」は速度は速いもののFRP(強化プラスティック)のレジャーボートに毛がはえたようなもんです。
早い話、まともなんは「むらくも」1隻だけやんか!
使命感だけではどうにもならんのが判らんのかいな?
イカンつい我を忘れてしもた・・・。