今日も来たよって宜しく♪
悲しい涙と嬉しい涙って味が違う
ずっと昔、4匹の目の開いてない生まれたばかりの子猫が入ったダンボールを見つけた
ほんと、生まれたばかりの子猫って手のひらよりも小さくて
小さなダンボールに入れられ空き地に捨てられてた
そんな生まれたばかりの赤ちゃん猫の育て方なんて知るはずもない(まだ小学生だったし)
知恵を絞り脱脂綿に温めた牛乳を浸して吸わせてみようと試みたり
けど、グッタリしてる子猫たちは吸う力ところか鳴く力もなかった
身体も冷たくなってて、かすかに身体を動かす程度
間もなく天使になった
ただ泣いた
動かなくなった赤ちゃん猫をひたすらさすって泣いた
助けられなかった子猫
“明日、死んでもらう為に今日一日だけ生きてもらおう”
そう思ってその3つの命を僕は胸に抱えました
そう1日だけ・・・明日“処分”してもらうために
我が家の納屋で野良猫が子ネコを出産
『おいおい……めんどくさいことしてくれたな』
見つけたときは、本当に“お荷物”が降ってきた感じです、ですので即刻 保健所に“処分”を依頼するつもりでした、我が家は全員 ネコ嫌いだし、てゆーか、アレルギーだし……
『“処分”なんてヒドイ!!』
『そのまま、外に放して生かしてあげればいいのに』
というお声もあるかもしれませんが、
近所では、野良猫がゴミを散らかす被害も増えています
もし放してしまえば、更なる被害につながるでしょう
「“処分”しかないよな」
赤ちゃんネコ3頭を抱きながら僕はそう決断したのでした
『こーゆーのは行政機関にしかるべく対処していただくのが一番』
ということで、担当部署に問い合わせた
が、その日はたまたま受け入れをしていない日だったのです
“仕方がない・・明日にしよう”
捕獲した3頭の子ネコと一日を過ごすことになりました
ですが様子を見ているとどんどん弱っていく上にこちらもどう接していいかわからない
『仕方がない明日まで生きられるように動物病院で診てもらって世話の仕方を聞こう』
たった一日生かすためだけに病院へ行くなんて金銭的にも時間的にも時間がムダなコスト、明日には無くなる命なのにハッキリ言って意味がありません
『でも保健所行くまでに死んだらなんかキモチワルイやん?』
『自分の家におるうちに死んだら……イヤやん?』
そんな話を妻として病院へ行きオシッコの出し方やミルクのあげ方など教えてもらいました
(ネコの赤ちゃんは、自分で排泄する力がないのです)
帰りにホームセンターでネコ用のミルクを買いました
ちょうど桜が咲く直前の季節、まだ肌寒い日が続いてるのでペットボトルを湯たんぽ代わりにして、ダンボールの中にタオルを敷き詰め、赤ちゃんたちの寝床にしました
『ミルクは3時間おきに……』
病院で教わったとおりにミルクをあげました
なかなか飲んでくれなくて心配になりましたが夫婦交代で昼も晩もミルクを上げました
『明日まで生きてもらわんと、こっちはキモチワルイねん』
翌日“処分”してもらうために
行政の手でしかるべく“殺して”もらうために
一日だけ僕は必死にネコの赤ちゃんたちに生きてもらいました
そうやって夜が明けました
『やった!!これで保健所に連れていける』
『しんどい一日だったけどこれで解放される』
眠たい目をこすりながら朝日のなかネコの赤ちゃんたちを保健所へ連れて行こう
ダンボールの中で彼らはすやすやと眠っています
『…………』
そっと触れると柔らかさと温かさが伝わってきます
『一日だけやったけど色んなこと学ばせてもらったわ有難う』
たった一日だけの命
今日、死ぬためだけに生かされた命、複雑な気持ちでしたが保健所に連れて行く以外の方法はありませんでした
どう考えてもその選択が最善でした
『ごめんな、うちは全員 ネコがキライやねん』
そう言って彼らの入ったダンボールを抱え家の玄関からクルマへ向かいました
そしてそのまま彼らは
我が家にいるようになりました
一晩だけのはずだったのに
~中略~
1回だけのはずだった動物病院には毎日のように通うようなり
最初は小さなダンボールの住みかだったのが
いつの間にやら野菜用のコンテナになり
それでも追いつかなくて引越し用の巨大ダンボールが住みかになりました
そして何よりも……たった1日だけで終わるはずだった命が2年
我が家でずっと飼うことはできなかったので3頭それぞれ別の里親さんに引き取られていきましたが今でも元気な様子を伝え聞いています
たった1日だけのつもりが
ほんのちょっとだけ労力とお金をかけるつもりが
なぜか膨大なコストをかける結果となった
『なんで“処分”してもらいに連れて行かなかったんだろう?』
今振り返って考えても良く分かりません
ただ保健所へ連れて行こうと彼らをクルマに乗せようとしたら
わけもなく涙があふれてきたのです
『え? なんで?俺、ネコきらいやのに……』
手に抱えたダンボールの中
子ネコたちはまだ開かない目で母親を求めるように必死に動き回っていました
これから殺されに行くなんて全く気づかぬまま……。
その瞬間、僕の脳裏に彼らとの記憶が蘇ってきました
慣れない手であげたミルクをやっと飲んでくれた表情
おしっこを出させるために抱き上げた柔らかい感触
ミャーミャーと必死に鳴きか弱いながらも懸命に生きようとする力強さ
『殺せるわけ……ないやん』
たった一日だけなのに
たった一日だけミルクをあげただけなのに
彼らとの記憶が胸から脳裏に強烈に湧き上がってきたのです
彼らの入ったダンボールを抱えながら僕はクルマの前にうずくまってしまいました
『生きてて欲しい』
理屈で考えている自分のアタマとは裏腹にとめどなく涙が溢れ
僕は彼らの入ったダンボールをただひたすら抱きしめていました
小さな小さな3つの命はそのとき僕に大切なことを教えてくれたのです
『“命”というものは、理屈だけでは計れない』
あの時の子ネコたちのぬくもり
ミルクを飲んでくれた時の感触
初めて目を開けた時の喜び
『生きててくれて良かった』
心からそう思うのです
本当に理屈抜きに
猫だって犬だって一緒に暮らしたら家族
短くとも人生の1ページになるパートナー
宜しかったら
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